[P-HT-04-2] 栄養補助剤の有無よる膝伸展筋力の比較
～高齢慢性心不全患者への無作為化比較試験～
Keywords:高齢慢性心不全, 栄養補助剤, Resistance Training
【はじめに，目的】
近年，骨格筋量を効率よく増加するためには，Resistance Trainingに栄養補助剤を併用することが最も有用であるという報告がなされるようになってきた。しかし，これらは地域在住高齢者などを対象としており，高齢心不全患者を対象とした研究はない。今回，高齢心不全患者に対して栄養補助剤を用いることで通常の心臓リハビリテーション（以下，CR）と比較して効率よく筋力強化が行えるかを介入研究にて検討したためここに報告する。
【方法】
平成24年4月から平成27年9月の間に，慢性心不全急性増悪と診断され外来もしくは入院にて当院CRの適応となった32例とした。このうち①年齢が80歳未満，②心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインの運動禁忌基準，③指示理解困難，④当院入院時BMI＜18.5未満，⑤主治医の指示により運動禁忌，⑥CR継続3カ月未満を除く18例を介入対象とした。
研究デザインは無作為化比較試験とした。割り付けは，置換ブロック法を用いて18例を9名ずつ2群に分け，一方を通常CR群（以下，Ex群），もう一方を通常CR＋栄養補助剤摂取群（以下，S/Ex群）とした。患者背景に関する項目として，性別，年齢，身長，体重，BMIを調査した。血液検査及び心エコーに関する項目として，TP，Alb，Hb，eGFR，BNP，LVEF（％），をカルテより調査した。身体機能に関する項目として，等尺性膝伸展筋力体重比（以下，WBI）を測定した。Ex群，S/Ex群ともに心大血管リハビリテーションに関するガイドラインに準じCRを施行し，S/Ex群のみCR終了後直後に栄養補助剤（1パックあたり125ml，200kcal，ビタミンD12.5μg，タンパク質10.0g，BCAA2，500mg）を摂取した。なお，筋力の測定にはHand Held Dynamometerを使用し，初期評価を入院後1週間以内，最終評価を退院前1週間以内に行った。
統計学的解析を行うにあたり，交絡因子としてCR継続日数が考えられるため，要因を栄養補助剤の使用の有無，共変量を当院でのCR継続日数，反復測定要因を入院時WBIと退院時WBIの2水準とした分割プロットデザインによる共分散分析を使用した。分割プロットデザインによる共分散分析の結果，共変量と要因の回帰の平行性が有意ではなかった（p=0.834）。また，共変量も有意ではなかったため（p=0.630），共変量を解析から除外し，2分割プロットデザインによる分散分析を行った。なお統計学的解析には，SPSS statistics ver.22.0を使用し，有意水準は5％未満とした。
【結果】
分割プロットデザインによる分散分析の結果，2要因による交互作用が有意（p＜0.05）であったため，水準毎に分けて比較を行った結果，WBIはEx群では20.1±6.2から24.4±8.5からへ，S/Ex群では24.0±5.8から36.5±6.8へと有意に増加した（p＜0.05）。
【結論】
CR直後に栄養補助剤を摂取することで，通常のCRに比較して効果的に膝伸展筋力の増強を図れることが示唆された。
近年，骨格筋量を効率よく増加するためには，Resistance Trainingに栄養補助剤を併用することが最も有用であるという報告がなされるようになってきた。しかし，これらは地域在住高齢者などを対象としており，高齢心不全患者を対象とした研究はない。今回，高齢心不全患者に対して栄養補助剤を用いることで通常の心臓リハビリテーション（以下，CR）と比較して効率よく筋力強化が行えるかを介入研究にて検討したためここに報告する。
【方法】
平成24年4月から平成27年9月の間に，慢性心不全急性増悪と診断され外来もしくは入院にて当院CRの適応となった32例とした。このうち①年齢が80歳未満，②心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインの運動禁忌基準，③指示理解困難，④当院入院時BMI＜18.5未満，⑤主治医の指示により運動禁忌，⑥CR継続3カ月未満を除く18例を介入対象とした。
研究デザインは無作為化比較試験とした。割り付けは，置換ブロック法を用いて18例を9名ずつ2群に分け，一方を通常CR群（以下，Ex群），もう一方を通常CR＋栄養補助剤摂取群（以下，S/Ex群）とした。患者背景に関する項目として，性別，年齢，身長，体重，BMIを調査した。血液検査及び心エコーに関する項目として，TP，Alb，Hb，eGFR，BNP，LVEF（％），をカルテより調査した。身体機能に関する項目として，等尺性膝伸展筋力体重比（以下，WBI）を測定した。Ex群，S/Ex群ともに心大血管リハビリテーションに関するガイドラインに準じCRを施行し，S/Ex群のみCR終了後直後に栄養補助剤（1パックあたり125ml，200kcal，ビタミンD12.5μg，タンパク質10.0g，BCAA2，500mg）を摂取した。なお，筋力の測定にはHand Held Dynamometerを使用し，初期評価を入院後1週間以内，最終評価を退院前1週間以内に行った。
統計学的解析を行うにあたり，交絡因子としてCR継続日数が考えられるため，要因を栄養補助剤の使用の有無，共変量を当院でのCR継続日数，反復測定要因を入院時WBIと退院時WBIの2水準とした分割プロットデザインによる共分散分析を使用した。分割プロットデザインによる共分散分析の結果，共変量と要因の回帰の平行性が有意ではなかった（p=0.834）。また，共変量も有意ではなかったため（p=0.630），共変量を解析から除外し，2分割プロットデザインによる分散分析を行った。なお統計学的解析には，SPSS statistics ver.22.0を使用し，有意水準は5％未満とした。
【結果】
分割プロットデザインによる分散分析の結果，2要因による交互作用が有意（p＜0.05）であったため，水準毎に分けて比較を行った結果，WBIはEx群では20.1±6.2から24.4±8.5からへ，S/Ex群では24.0±5.8から36.5±6.8へと有意に増加した（p＜0.05）。
【結論】
CR直後に栄養補助剤を摂取することで，通常のCRに比較して効果的に膝伸展筋力の増強を図れることが示唆された。