第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) 一般演題ポスター
基礎P04

Fri. May 27, 2016 11:50 AM - 12:50 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-KS-04-5] Modified Navicular DropとDynamic Navicular Dropの関係―走行動作に着目して―

熊澤義弘, 松本美帆, 城下貴司 (群馬パース大学)

Keywords:内側縦アーチ, 走行, 舟状骨

【はじめに,目的】Brody(1982)はNavicular drop test(以下ND)を提唱した。NDは,端坐位と立位において,床から舟状骨結節の高さを計測しその差を算出する方法である。城下(2013)はModified Navicular Drop Test(以下Modified ND)を提唱した。Modified NDは坐位時20%荷重でのNDの計測を推奨するものである。また,Rasmus(2009)はDynamic Navicular Drop(以下DND)を提唱した。DNDは歩行時の立脚相の内,踵接地時の舟状骨結節の高さと,最も舟状骨結節が低下した時の高さとの差を算出する方法である。Michael(2012)らはNDとDNDを計測し,相関係数を算出した結果,NDと歩行でのDNDには有意な相関性があったと報告した(r=0.357,p<0.001)。以上から,NDと走行時のDNDの関係性に関しての報告が少ないため,本研究で明確化することを目的とした。

【方法】本研究の対象は6ヶ月以内に著明な整形外科疾患の既往のない健常成人15名とした。静的な足内側縦アーチは,デジタルノギス,体重計2台,昇降式ベッドを使用してModified NDの計測を行った。DNDの計測で使用する機材は三次元動作解析装置,赤外線カメラ9台,床反力計1枚とした。被験者に全身に38個の反射マーカーを貼付した。走行の計測は定常走行とし,床反力計の1枚目に踵接地させた。解析はModified NDを小群(5mm未満群)と大群(5mm以上群)に分類した。統計は単回帰分析とMann-Whitneyの検定を用いた(有意水準5%未満)。

【結果】Modified NDと走行のDNDは,相関が見られなかった(R=0.207,R2=0.047,p=0.496)Modified ND大群・小群で分けたDNDは大群:7.8±1.0mm,小群:7.8±0.7mmであり,有意差は見られなかった(p=0.738)舟状骨が最も低下した時の走行周期と足関節内的底屈モーメント(以下AM)最大値の走行周期は,相関が見られた(R=0.706,R2=0.499,p0.00694)。舟状骨が最も低下した時の走行周期と動的足関節背屈角度(以下AA)の最大値の走行周期は相関が見られた(R=0.676,R2=0.457,p=0.00111)。AMの最大値の走行周期とAAの最大値の走行周期は相関が見られた(R=0.766,R2=0.587,p=0.00224)。AMの最大値とAAの最大値は負の相関が見られた(R=0.622,R2=0.387,p=0.00231)。

【結論】Modified NDと走行のDNDは相関が見られず,分類されたModified NDとDNDにおいても有意差は見られなかった。MichaelらはNDと歩行のDNDは有意な相関を報告した。しながら,本研究では,内側縦アーチを変動させる要因は走行には見られず,走行よりも歩行に関連性があることが示唆された。舟状骨が最も低下した時とモーメント最大値,足関節背屈角度最大値の3つの走行周期は同期し,モーメントと足関節背屈角度は負の相関が示唆されたことは,興味深い結果だった。