第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) 一般演題ポスター
基礎P19

Sat. May 28, 2016 10:30 AM - 11:30 AM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-KS-19-1] 歩行時間測定機器の開発

畑中真彦 (訪問リハビリステーションあすみ)

Keywords:歩行時間測定, 5m歩行, ストップウォッチ

【目的】

臨床で歩行能力を評価する手段として,10m歩行や5m歩行の時間測定が用いられることが多い。しかし,測定にはストップウォッチが一般的に用いられ,その精度は同一の歩行を3回以上測定しなければ信頼性は高くならない(杉原,2004)。さらに,歩行測定器での測定では,精度は高いが高価であることや,測定の開始と停止を足部の通過ではなく,腕や胸部の通過を測定するなど我々が用いる方法とは異なるものが多い。そこで,本研究は,歩行時間測定機器を自作し臨床で使用できる信頼性が得られるかを検証する事を目的としている。

【方法】

被験者は4名(男性2名,女性2名,平均年齢35.75±6.30歳)とした。歩行路は5mの測定区間とし,前後に予備路を3mずつ設置した。歩行速度は至適歩行から最大歩行の間で任意とし,歩行路を10回ずつ歩行させた。今回自作した赤外線センサの測定機器を2つ1組で使用し,1組を測定区間のスタート地点に設置し,もう1組をゴール地点に設置した。測定機器は足部の通過によって測定の開始と停止を行い,歩行にかかった時間をパソコンにて計測し記録した。また,スタート地点とゴール地点のそれぞれに被験者の下肢が映るようにビデオカメラを設置し録画した。録画した映像を解析し,測定区間のスタート地点を足部が超えた時点から計測を開始し,ゴール地点を足部が超えた時点で測定を停止して歩行時間を記録した。そして,機器で測定した歩行時間とビデオカメラの映像から得られた歩行時間とで比較検討を行った。統計学的解析は,機器とビデオカメラで測定した歩行時間について級内相関係数ICC(2.1)を求めた。

【結果】

機器での測定結果の平均は,2.88±0.61秒,ビデオカメラから得られた測定結果は2.84±0.62秒となり,誤差は0.04±0.02秒であった。機器とビデオカメラでの級内相関係数ICC(2.1)はρ=0.99(95%信頼区間0.89-0.99)と高い信頼性が確認された。

【結論】

本研究は,臨床で使用できる歩行時間測定機器を開発し,その精度を検証した。ストップウォッチによる歩行時間の測定では,検者内信頼性ICC(1.1)はρ=0.85,3回の測定では,0.95となり3回以上測定することで高い信頼性を得られると報告されている(杉原,2004)。本研究で自作した測定機器は,級内相関係数ICC(2.1)で,ρ=0.99(95%信頼区間0.89-0.99)と1回の測定でもビデオカメラで測定した歩行時間と高い信頼性が認められた。よって,被験者の負担軽減や時間の短縮を図れるため,臨床での使用が容易になると考える。

【理学療法学研究としての意義】

臨床での歩行時間の測定は,ストップウォッチでの計測がほとんどであるが,本研究で自作した機器は,ストップウォッチでの測定よりも信頼性が高いため,より正確な評価を行うことができると考える。