第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題ポスター

日本運動器理学療法学会 一般演題ポスター
運動器P07

2016年5月27日(金) 15:20 〜 16:20 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-MT-07-2] 大腿骨頸部骨折を受傷した症例の歩行自立度および達成期間

木村誉, 今田健 (錦海テーション病院リハビリテーション技術部)

キーワード:回復期, 大腿骨頸部骨折, 歩行自立度

【はじめに,目的】大腿骨頸部骨折(以下,頸部骨折)を受傷した患者に対する理学療法において,入院中に,より早期かつ高い水準で歩行能力を自立させることは重要な課題である。歩行の自立度に関する要因を調査した先行研究は散見されるものの,自立の達成期間を調査した報告は見当たらない。当院に入院,退院した頸部骨折を受傷し症例の歩行自立度および達成期間について調査した。




【方法】2013年3月1日から2015年9月30日までに入院,退院した症例のうち,頸部骨折を受傷した症例である49例について後方視的調査を行った。男性15例(平均年齢78.0歳,標準偏差6.7),女性34例(平均年齢80.6歳,標準偏差13.3)であった。除外基準は,急性期病院へ転院の症例とした。調査項目は発症から当院入院までの日数,回復期での在院日数,機能的自立度評価法(以下,FIM)得点,受傷前,退院時の移動状態とした。傷前,退院時の移動状態は,電子カルテより受傷前の歩行状態を抽出した。屋外歩行時には見守りが必要な患者が存在したが,主に用いられている歩行手段とした。歩行距離については問わず,自立歩行可能=1,T字杖歩行可能=2,4点杖歩行可能=3,歩行器・老人車歩行可能=4,移乗可能=5,移乗にも至らない=6の6段階で採点した。歩行自立の達成期間については,FIMの歩行の項目が6点以上となった時期とした。受傷前の歩行状態と退院時の歩行状態についてχ2検定を適用し,2要因間の関連の程度としてCramer's Vを用いた。統計はR2.8.1を使用し,有意水準は5%とした。




【結果】術式について,1名の保存療法となった症例以外は手術療法(γ-nail,人工骨頭置換術,Parallel Femoral Nail)を施行した。発症から当院入院までの平均日数が男性26.4日(標準偏差12.5),女性26.5日(標準偏差10.7),回復期リハ病棟での在院日数は男性65.7日(標準偏差26.5),女性73.3日(標準偏差21.8)であった。入院時のFIM運動項目合計点は(以下,運動FIM)は57点(標準偏差14.6),入院時のFIM認知項目合計点(以下,認知FIM)は26点(標準偏差8.4),退院時は運動FIMが75点(標準偏差12.8),認知FIMが27点(標準偏差8.0)であった。受傷前歩行状態は,自立歩行28例,T杖歩行12例,4点杖3例,歩行器5例,移乗1例であった。退院時の歩行状態は,自立歩行8例,T杖歩行20例,4点杖7例,歩行器11例,移乗3例であった。受傷前と退院時の歩行状態の関連はp<0.001で有意な差を認め,Cramer's Vは0.522であった。退院時FIMの歩行に関して,6点以上が26例,5点以下が23例であった。歩行自立の達成期間について,中央値は32日(最小0-最大83)であった。




【結論】受傷前,退院時の歩行状態について,やや強い関連を認めており,先行研究と一致する結果であった。FIM歩行の6点以上の症例において,半数が当院へ入院してから32日までに歩行自立を達成していることが示された。