[P-MT-16-6] 当院における人工股関節全置換術患者の在院日数短縮に向けた取り組み効果の検証
キーワード:人工股関節全置換術, 在院日数, クリニカルパス
【はじめに・目的】
当院はDPC制度を導入しており,質の高い医療の提供と在院日数の短縮が課題であり,クリニカルパス(以下パス)の有効活用が求められる。2012年度より人工股関節全置換術(以下THA)に前方侵入法(以下DAA)が導入された。導入時は術後4週間での自宅退院を目標としていた。段階的なパス改訂や,土曜日リハビリテーション(以下リハ)の導入により在院日数は短縮傾向にある。本研究の目的は,各取り組みの在院日数短縮効果を検証することである。
【方法】
対象はDPC分析ソフトEVEを用いて抽出した。2012年4月以降で,DPCコード;骨頭壊死,股関節症,人工股関節再置換術等,定義副損傷なしに該当する198例とした。対象をパスの改定や,土曜日リハ等の新規取り組み導入により4群に分類した。DAA-THA導入期群25例(平均年齢64±12.9歳),リハアウトカム設定期群48例(66.6±12.7歳)。チームアプローチ導入群10例(67.4歳±14.4歳)。土曜日リハ導入群115例(66.8±11.5歳)。新規取り組みを導入した前後の群閒で,年齢と在院日数(術前,術日を含む)を対応のないt検定を用いて分析した。統計解析はExcel統計2008を使用し有意水準は1%未満とした。
【結果】
DAA-THA導入期群の平均在院日数は26.2±6.4日,最短退院は19日であった。リハアウトカム設定群の平均在院日数は22.4±5.4日,最短退院は13日であり短縮を認めた。チームアプローチ導入群の平均在院日数は14.6日±3.3日,最短退院は10日と更に短縮した。これら2つの取り組みは在院日数を短縮し,統計学的に有意であった(P<0.01)。土曜日リハ導入群の平均在院日数は13.1±3.3日,最短退院は7日であった。在院日数を1日程度短縮したが,有意差を認めなかった(P=0.09)。尚,年齢も有意差を認めなかった。
【結論】
リハアウトカム設定群は,術後3週間での自宅退院を目指し,術後4日までに歩行器,11日までに杖歩行をADL場面で実施出来ることを目標とした。結果多くの症例で達成し,術後3週での自宅退院が可能となった。特に日数の短縮を認めたのはチームアプローチ導入群である。目標を術後7日での自宅退院と定め,各職種がタスク,アウトカムを設定し協業して早期離床に取り組んだ。また術前指導にも力を入れ,入院期間や早期離床の重要性を十分に説明した。結果翌日から独步が可能な症例も存在し,在院日数は大幅に短縮した。土曜日リハ開始群では,在院日数が1日程度短縮したが有意差を認めなかった。土曜日リハ導入に伴う目標在院日数の設定やパスの改定は行わなかった。一日の短縮はリハ休診日が一日減った事が要因と考えられ,土曜日リハをどう活用していくかが今後の課題である。本研究から,パスの段階的な改訂は在院日数短縮に寄与できると考えられた。特に他職種で協同して目標在院日数を設定する事で日数短縮の効果が強いと考える。在院日数の短縮は,病院運営や医療費削減に貢献し有意義である。
当院はDPC制度を導入しており,質の高い医療の提供と在院日数の短縮が課題であり,クリニカルパス(以下パス)の有効活用が求められる。2012年度より人工股関節全置換術(以下THA)に前方侵入法(以下DAA)が導入された。導入時は術後4週間での自宅退院を目標としていた。段階的なパス改訂や,土曜日リハビリテーション(以下リハ)の導入により在院日数は短縮傾向にある。本研究の目的は,各取り組みの在院日数短縮効果を検証することである。
【方法】
対象はDPC分析ソフトEVEを用いて抽出した。2012年4月以降で,DPCコード;骨頭壊死,股関節症,人工股関節再置換術等,定義副損傷なしに該当する198例とした。対象をパスの改定や,土曜日リハ等の新規取り組み導入により4群に分類した。DAA-THA導入期群25例(平均年齢64±12.9歳),リハアウトカム設定期群48例(66.6±12.7歳)。チームアプローチ導入群10例(67.4歳±14.4歳)。土曜日リハ導入群115例(66.8±11.5歳)。新規取り組みを導入した前後の群閒で,年齢と在院日数(術前,術日を含む)を対応のないt検定を用いて分析した。統計解析はExcel統計2008を使用し有意水準は1%未満とした。
【結果】
DAA-THA導入期群の平均在院日数は26.2±6.4日,最短退院は19日であった。リハアウトカム設定群の平均在院日数は22.4±5.4日,最短退院は13日であり短縮を認めた。チームアプローチ導入群の平均在院日数は14.6日±3.3日,最短退院は10日と更に短縮した。これら2つの取り組みは在院日数を短縮し,統計学的に有意であった(P<0.01)。土曜日リハ導入群の平均在院日数は13.1±3.3日,最短退院は7日であった。在院日数を1日程度短縮したが,有意差を認めなかった(P=0.09)。尚,年齢も有意差を認めなかった。
【結論】
リハアウトカム設定群は,術後3週間での自宅退院を目指し,術後4日までに歩行器,11日までに杖歩行をADL場面で実施出来ることを目標とした。結果多くの症例で達成し,術後3週での自宅退院が可能となった。特に日数の短縮を認めたのはチームアプローチ導入群である。目標を術後7日での自宅退院と定め,各職種がタスク,アウトカムを設定し協業して早期離床に取り組んだ。また術前指導にも力を入れ,入院期間や早期離床の重要性を十分に説明した。結果翌日から独步が可能な症例も存在し,在院日数は大幅に短縮した。土曜日リハ開始群では,在院日数が1日程度短縮したが有意差を認めなかった。土曜日リハ導入に伴う目標在院日数の設定やパスの改定は行わなかった。一日の短縮はリハ休診日が一日減った事が要因と考えられ,土曜日リハをどう活用していくかが今後の課題である。本研究から,パスの段階的な改訂は在院日数短縮に寄与できると考えられた。特に他職種で協同して目標在院日数を設定する事で日数短縮の効果が強いと考える。在院日数の短縮は,病院運営や医療費削減に貢献し有意義である。