[P-MT-19-3] 変形性膝関節症に対する骨切り術前後の膝関節内反モーメントと筋張力
キーワード:3次元全身筋骨格モデル, 大腿筋膜張筋, 膝関節内反モーメント
【はじめに,目的】
内側型変形性膝関節症(以下膝OA)の主症状は,内側大腿脛骨関節由来の疼痛である。さらに,臨床上外側広筋の過剰収縮や腸脛靱帯の過緊張症例と頻繁に遭遇する。膝OAは,脛骨大腿関節内側部に過剰な圧迫力が加わることで脛骨内側顆の沈下が進行すると考えられ,その結果,腸脛靱帯や外側側副靱帯の過緊張が生じると推察される。楔状開大型高位脛骨骨切り術(Opening wedge high tivial osteotomy;以下OWHTO)や脛骨顆外反骨切り術(Tibial Condylar Valgus Osteotomy;以下TCVO)などの関節温存手術は,荷重量の膝関節外側部への分散と関節安定性再獲得を目的としており,術後アライメント変化は筋の過剰収縮に影響することが推測できる。
これまでわれわれは3次元全身筋骨格モデルを作成し,スクワット動作などの解析を報告した。本研究の目的は,3次元全身筋骨格モデルで骨切り術前後の膝関節内反モーメントおよび筋張力を明らかにすることである。
【方法】
3次元全身筋骨格モデルの構築
骨格モデルはMaterialise社製MIMICSを用いて健常男性成人のCTから3次元抽出した。筋骨格モデルは豊田中央研究所製EICASを使用し,3次元抽出した骨格とMRIを基に作成した。各筋の断面積はMRIより算出し,関節可動性はモーメントに影響を及ぼすため最終域で抵抗がかかるようにした。
解析条件
歩行時の計測は,3次元動作解析装置VICON MXおよび床反力計を用いた。取得したデータより3次元全身筋骨格モデルで骨切り前後の値を算出した。対象は膝OA1例(身長155.0 cm,体重66.8 kg,Kellgren-Lawrence分類III)で,術式はTCVO+OWHTOだった。計測した座標位置を3次元体幹筋骨格モデルに反映させ,立脚期の関節モーメント,筋活動量を算出した。
【結果】
骨切り前後で立脚期の膝関節内反モーメント,筋張力を算出した。術前で立脚期に体幹側屈がみられたが,術後では減少した。立脚期膝関節内反モーメントは2峰性を呈しており,第1ピーク,第2ピーク共に術前で高かった。膝関節内反モーメントは術前後で0.39Nm/kgから0.21Nm/kgに減少した。筋活動量は特に大腿筋膜張筋で35.7%から21.4%に減少した。
【結論】
今回,術後で膝関節内反モーメントが減少し,骨切り術による荷重分散および歩行時の関節安定性の再獲得が明らかとなった。また,特に大腿筋膜張筋で筋活動量の減少が認められた。今回の3次元全身筋骨格モデルにより,外側不安定性などアライメント変化が大腿筋膜張筋の筋活動量を向上させると言えた。大腿筋膜張筋の疼痛はアライメント異常から生じていると考えられるため,大腿筋膜張筋のストレッチのみならず膝関節内反モーメントを減少させるように股関節内転筋の筋力強化が重要となる。
内側型変形性膝関節症(以下膝OA)の主症状は,内側大腿脛骨関節由来の疼痛である。さらに,臨床上外側広筋の過剰収縮や腸脛靱帯の過緊張症例と頻繁に遭遇する。膝OAは,脛骨大腿関節内側部に過剰な圧迫力が加わることで脛骨内側顆の沈下が進行すると考えられ,その結果,腸脛靱帯や外側側副靱帯の過緊張が生じると推察される。楔状開大型高位脛骨骨切り術(Opening wedge high tivial osteotomy;以下OWHTO)や脛骨顆外反骨切り術(Tibial Condylar Valgus Osteotomy;以下TCVO)などの関節温存手術は,荷重量の膝関節外側部への分散と関節安定性再獲得を目的としており,術後アライメント変化は筋の過剰収縮に影響することが推測できる。
これまでわれわれは3次元全身筋骨格モデルを作成し,スクワット動作などの解析を報告した。本研究の目的は,3次元全身筋骨格モデルで骨切り術前後の膝関節内反モーメントおよび筋張力を明らかにすることである。
【方法】
3次元全身筋骨格モデルの構築
骨格モデルはMaterialise社製MIMICSを用いて健常男性成人のCTから3次元抽出した。筋骨格モデルは豊田中央研究所製EICASを使用し,3次元抽出した骨格とMRIを基に作成した。各筋の断面積はMRIより算出し,関節可動性はモーメントに影響を及ぼすため最終域で抵抗がかかるようにした。
解析条件
歩行時の計測は,3次元動作解析装置VICON MXおよび床反力計を用いた。取得したデータより3次元全身筋骨格モデルで骨切り前後の値を算出した。対象は膝OA1例(身長155.0 cm,体重66.8 kg,Kellgren-Lawrence分類III)で,術式はTCVO+OWHTOだった。計測した座標位置を3次元体幹筋骨格モデルに反映させ,立脚期の関節モーメント,筋活動量を算出した。
【結果】
骨切り前後で立脚期の膝関節内反モーメント,筋張力を算出した。術前で立脚期に体幹側屈がみられたが,術後では減少した。立脚期膝関節内反モーメントは2峰性を呈しており,第1ピーク,第2ピーク共に術前で高かった。膝関節内反モーメントは術前後で0.39Nm/kgから0.21Nm/kgに減少した。筋活動量は特に大腿筋膜張筋で35.7%から21.4%に減少した。
【結論】
今回,術後で膝関節内反モーメントが減少し,骨切り術による荷重分散および歩行時の関節安定性の再獲得が明らかとなった。また,特に大腿筋膜張筋で筋活動量の減少が認められた。今回の3次元全身筋骨格モデルにより,外側不安定性などアライメント変化が大腿筋膜張筋の筋活動量を向上させると言えた。大腿筋膜張筋の疼痛はアライメント異常から生じていると考えられるため,大腿筋膜張筋のストレッチのみならず膝関節内反モーメントを減少させるように股関節内転筋の筋力強化が重要となる。