第51回日本理学療法学術大会

Presentation information

一般演題ポスター

日本運動器理学療法学会 一般演題ポスター
運動器P21

Sat. May 28, 2016 11:40 AM - 12:40 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-MT-21-3] 両側同時人工膝関節全置換術前後の筋力の推移

―年代別による検討―

鈴木壽彦1, 平野和宏2, 五十嵐祐介3, 八木沼由佳4, 川藤沙文1, 樋口謙次4, 中山恭秀3, 安保雅博5 (1.東京慈恵会医科大学附属病院リハビリテーション科, 2.東京慈恵会医科大学附属葛飾医療センターリハビリテーション科, 3.東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科, 4.東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科, 5.東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座)

Keywords:人工膝関節全置換術, 筋力, 後期高齢者

【はじめに,目的】現在,本邦における人工膝関節全置換術(以下TKA)の手術件数は年間8万件以上を数え,在院日数などのコスト面から両側同時例も増えている。また2014年9月から2015年8月までに,本学附属4病院(以下4病院)でTKAの術前理学療法を施行した患者の平均年齢は75.1歳となっており,後期高齢者の数が増加している。高齢になるにつれ,生理的老化や内科的合併症などから,術後の回復に影響を与えると考える。そこで今回2010年から4病院で使用している共通の評価表のデーターを用い,75歳を境に2群に分け,両側同時TKA患者の筋力の推移を示す事を目的とする。



【方法】対象は2010年4月から2015年8月まで4病院で両側同時TKAを施行し,各評価時期に評価が可能であった症例とし,A群(75歳未満)とB群(75歳以上)に分けた。評価項目と症例数(膝数)を術前,術後3週,8週,12週の順に示す。伸展筋力はA群74,106,58,64/B群94,120,76,68。屈曲筋力はA群74,106,58,63/B群92,118,76,67。筋力は膝屈曲60°の位置で最大等尺性筋力を2回計測し,最大値を採用した。得られた値は下腿長でトルク換算し,体重で除した(Nm/kg)。二群それぞれの各評価時期における筋力の推移について一元配置分散分析を用いて検討し,各評価時期における二群間の筋力の差をMann-WhitneyのU検定を用いて比較検討した。



【結果】各評価項目の平均値を評価時期ごとに示す。伸展筋力はA群1.06±0.46,0.74±0.33,1.01±0.44,1.18±0.51/B群1.00±0.38,0.70±0.29,0.91±0.31,0.99±0.33,屈曲筋力はA群0.37±0.16,0.36±0.14,0.45±0.24,0.49±0.22/B群0.31±0.14,0.32±0.14,0.36±0.13,0.38±0.16。一元配置分散分析の結果,A群では伸展筋力の術前と3週,3週と8週,12週,屈曲筋力は術前と12週,3週と8週,12週に有意差が見られた。B群は伸展筋力の術前と3週,3週と8,12週,屈曲筋力は術前と12週で有意差が見られた。Mann-WhitneyのU検定で二群間に有意差が見られたのは,術前屈曲筋力と12週の伸展筋力(p>0.05),屈曲筋力(p>0.01)であった。



【結論】両群共に伸展筋力において3週で一度低下し,その後改善していく。屈曲筋力に関しては術前,3週とも変化は見られず,その後改善傾向を示している。12週の時点で両群間の筋力に有意差は見られたが,両群ともに同様の改善傾向を示しており,年齢による回復度合いに差があるものの,後期高齢者であっても筋力が回復していくことが示された。