第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本運動器理学療法学会 一般演題ポスター
運動器P22

Sat. May 28, 2016 2:50 PM - 3:50 PM 第11会場 (産業振興センター 2階 セミナールームA)

[P-MT-22-4] 当院におけるリバース型人工肩関節置換術後プログラムの紹介とその効果について

~当院術後6か月の短期成績と海外長期成績を比較して~

藤原健太1, 川上基好1, 柏木孝介1, 貴志真也1, 中根康博2, 原田誠2 (1.医療法人スミヤ角谷整形外科病院リハビリテーション科, 2.医療法人スミヤ角谷整形外科病院関節整形外科)

Keywords:リバース型人工肩関節置換術, 理学療法プログラム, 短期成績

【はじめに,目的】

リバース型人工肩関節置換術(以下RSA)は国内においてリハビリテーションプログラムについての報告は少なく確立されていないのが現状である。RSAにおけるリハビリテーションプログラムの確立を目的に当院で取り組んでいるリハビリテーションプログラムを紹介しその効果について検討する。

【方法】

2014年7月~2015年4月にRSAを施行した14例中,6か月以上経過観察可能であった12例を対象とした。男性8例,女性4例,平均年齢75.2歳である。リハビリテーションプログラムは装具固定を4週間,他動過外旋,伸展・内転・内旋の複合運動を禁忌肢位として,PhaseI~IVに分けて実施した。全Phaseにおいて体幹・肩甲骨のアライメント,三角筋の機能を重視した。PhaseI(術後1週):消炎処置,手・肘関節可動域(以下ROM)練習,肩甲帯relaxation。PhaseII(術後2~4週):肩関節運動(自動・他動),術創部の癒着管理。PhaseIII(術後1~3か月):積極的な筋力増強訓練(特に三角筋前部線維),ROM拡大。PhaseIV(3~4か月):更なる上肢帯の筋力増強,日常生活動作(以下ADL)制限なし。

【結果】

当院の術前→術後6か月の成績は自動屈曲72.9±15.7°→130.4±25.5°,他動屈曲138.3±27.1°→142.9±25.6°,自動外転78.3±35.6°→114±25.4°,他動外転118±21.2°→130±19.4°,自動下垂位外旋40±21.5°→36.3±11.9°,他動下垂位外旋55.8±13.2°→58.8±15.8°,結滞動作L4-L3→L5-L4であった。JOA scoreは55.7±6→83.9±6.7(疼痛13.7→26.3,機能8.5→16.7,可動域15.5→21.7)と全体的に改善がみられた。

【結論】

当院でRSA術後理学療法プログラムは短期成績ではあるが海外と比較して早期に良好な改善がみられた。特に屈曲・外転自動運動において著明な改善がみられた。海外では保険の違いからリハビリテーションプログラムは週に2回程度のフォローかまたはセルフエクササイズが中心である。海外と比べ当院では術後2週から4週にかけて入院し集中的に早期理学療法を行っていたことが早期改善の一要因として考えられる。理学療法アプローチのポイントとしては肩甲骨アライメントの是正や機能改善,三角筋機能の早期獲得を中心に考え施行した。今後は中期から長期成績もみていく必要性がある。また,当プログラムを基本に装具OFFの時期や運動療法介入の時期,三角筋評価,ADL動作に着眼した患者立脚型の評価も加えていき,改善・確率につなげていきたいと考える。