第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本運動器理学療法学会 一般演題ポスター
運動器P24

Sat. May 28, 2016 2:50 PM - 3:50 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-MT-24-4] 理学療法介入時間増加がもたらす影響

回復期リハビリテーション病棟の運動器疾患患者に着目して

鈴木裕之, 鈴木光司 (医療法人社団誠馨会千葉中央メディカルセンター)

Keywords:介入時間, 運動器疾患, 回復期

【はじめに,目的】

2006年度の診療報酬改定により,回復期リハビリテーション病棟では,リハビリテーション介入時間(以下,介入時間)の上限が1日9単位(3時間)に引き上げられた。これ以降,介入時間増加がもたらす影響についての報告は散見されるが,大多数は脳卒中患者に関してであり,運動器疾患患者に関しての報告は少ない。また脳卒中患者を対象としたものであっても,介入時間増加がもたらす影響についての一致した結論は得られていない。そこで本研究の目的は,回復期の運動疾患患者に対する理学療法介入時間増加がもたらす影響を明らかにする事とした。

【方法】

対象は当院の回復期リハビリテーション病棟から2012年4月~2015年3月の間に死亡以外で退院となった運動器疾患患者とした。なお,在棟日数が1週間以内のもの,入棟時FIM118点以上のもの,データに欠損があるものは除外した。方法としては,まず対象患者を介入時間の多い群(以下,多群)と介入時間の少ない群(以下,少群)の2群に分けた。当院に於いては2014年度から人員補充による体制変化に伴い,介入時間が増加した為,2014年度の患者を多群,2012年度~2013年度の患者を少群とした。次に年齢,性別,入棟時FIMを対象患者の基本属性として群間比較した。最後に在棟日数,在宅復帰率,FIM利得(退院時FIM-入棟時FIM),FIM効率(FIM利得/在棟日数)について群間比較をした。統計処理にはSPSS(ver23.0)を使用し,検定はt検定またはχ2検定を用い,有意水準は5%とした。

【結果】

対象となった患者は299名で,多群は102名(男26名/女76名),少群は197名(男65名/女132名)であった。介入時間は1日あたりの平均単位数で多群3.7単位,少群2.7単位であった。基本属性は年齢(多群79歳/少群79歳),性別,入棟時FIM(多群74.3点/少群75.3点)すべてで有意差は認められなかった。またFIM利得(多群15.2点/少群15.2点)は有意差が認められなかった。在宅復帰率(多群86%/少群81%),FIM効率(多群0.37/少群0.31)は有意差が認められないものの,多群で改善傾向であった。在棟日数(多群47.5日/少群52.9日)は多群で約5日,有意に短縮していた(p=0.04)。

【結論】

回復期の運動器疾患患者に対する理学療法介入時間増加がもたらす影響を明らかにするべく,後ろ向きに検討を行った。介入時間が増加することで,在棟日数は有意に減少した。しかし,単一施設で行った限局した条件下での研究であり,普遍的な結論を示す為には,さらに多角的な検討が必要である。