[P-MT-30-3] 肩甲骨の三次元的動態解析のリハビリテーションへの応用
Keywords:肩甲骨, リハビリテーション, 動態解析
【はじめに,目的】
近年,リバース型人工肩関節全置換術(以下RSA)が諸外国では盛んに行われるようになってきている。我が国においてもRSAを施行することが散見されるようになってきた。RSAの特徴は,上腕骨と肩甲骨の関係性が既存の人工関節とは異なり,関節中心が内側下方に移動することで,三角筋のレバーアームが延長し,三角筋のみで上肢挙上が可能になると言われており,その動作には肩甲骨の可動性が重要とされている。肩関節のリハビリテーションにおいても,肩甲骨の可動性が重要とされているが,RSA術後の肩甲骨に対するリハビリテーションに関する情報は少ない。
そこで今回,RSA術後の肩甲骨動態解析を目的に,肩甲骨動態解析専用ソフトGANESHAを使用しRSA術後の肩甲骨を動態解析した。また,動態解析と共に肩関節外転ROMとの関係を比較した結果,簡易的に肩甲骨の評価が可能となり,リハビリテーションへ応用できる可能性を認めたので報告する。
【方法】
肩甲骨の動態解析には,大阪市立大学工学部で開発された肩甲骨動態解析専用ソフトGANESHAを使用した。対象は,腱板損傷後の,RSA術後6カ月の患者5人,平均78.4歳を,透視下で肩関節外転時に肩関節を撮影。正面写真を使用し肩甲骨の動態解析を行った。また,RSA術後患者の肩関節外転ROMの平均127°を基準に良好群と不良群で分けて比較した。
【結果】
RSA術後の肩甲骨動態解析では,不良群で非常に早期からの肩甲骨の動きが認められた。また,良好群と不良群での外転ROMの比較では有意差を認め,肩甲骨の動きで肩関節可動域を確保していた。
【結論】
RSAはGrammontにより初めてステムとソケットがデザインされ,我が国でも2014年に認可された。肩甲骨の運動は,肩関節のリハビリテーションを行う際には,欠くことのできない要素であるが,GANESHAを使用することで肩甲骨運動の三次元的動態解析を行い,客観的な肩甲骨の評価が可能となりリハビリテーション応用への可能性を認めた。理学療法の場面において,肩甲骨に対する運動療法を行う機会は非常に多いが,肩甲骨と肩関節を分けて判断することは困難である。D.WalkerはRSA術後の肩甲上腕リズムは1.3:1に変化すると報告しており,肩甲上腕関節に可動域制限がある際は,肩甲骨の動きで代償するとされている。今回,RSA術後の肩甲骨動態解析の結果から不良群で,非常に早期からの肩甲骨の動きが認められた。また,肩関節外転ROMの良好群と不良群で優位差が認められたのは,RSA術後の肩関節では,可動域を確保するために肩甲骨の動きが生じていると考えられた。今後は効果的なリハビリテーションを行うために,肩甲骨の客観的な評価を行い,肩関節の可動域向上を目指し,QOL,ADLの向上へ繋げたいと考える。
近年,リバース型人工肩関節全置換術(以下RSA)が諸外国では盛んに行われるようになってきている。我が国においてもRSAを施行することが散見されるようになってきた。RSAの特徴は,上腕骨と肩甲骨の関係性が既存の人工関節とは異なり,関節中心が内側下方に移動することで,三角筋のレバーアームが延長し,三角筋のみで上肢挙上が可能になると言われており,その動作には肩甲骨の可動性が重要とされている。肩関節のリハビリテーションにおいても,肩甲骨の可動性が重要とされているが,RSA術後の肩甲骨に対するリハビリテーションに関する情報は少ない。
そこで今回,RSA術後の肩甲骨動態解析を目的に,肩甲骨動態解析専用ソフトGANESHAを使用しRSA術後の肩甲骨を動態解析した。また,動態解析と共に肩関節外転ROMとの関係を比較した結果,簡易的に肩甲骨の評価が可能となり,リハビリテーションへ応用できる可能性を認めたので報告する。
【方法】
肩甲骨の動態解析には,大阪市立大学工学部で開発された肩甲骨動態解析専用ソフトGANESHAを使用した。対象は,腱板損傷後の,RSA術後6カ月の患者5人,平均78.4歳を,透視下で肩関節外転時に肩関節を撮影。正面写真を使用し肩甲骨の動態解析を行った。また,RSA術後患者の肩関節外転ROMの平均127°を基準に良好群と不良群で分けて比較した。
【結果】
RSA術後の肩甲骨動態解析では,不良群で非常に早期からの肩甲骨の動きが認められた。また,良好群と不良群での外転ROMの比較では有意差を認め,肩甲骨の動きで肩関節可動域を確保していた。
【結論】
RSAはGrammontにより初めてステムとソケットがデザインされ,我が国でも2014年に認可された。肩甲骨の運動は,肩関節のリハビリテーションを行う際には,欠くことのできない要素であるが,GANESHAを使用することで肩甲骨運動の三次元的動態解析を行い,客観的な肩甲骨の評価が可能となりリハビリテーション応用への可能性を認めた。理学療法の場面において,肩甲骨に対する運動療法を行う機会は非常に多いが,肩甲骨と肩関節を分けて判断することは困難である。D.WalkerはRSA術後の肩甲上腕リズムは1.3:1に変化すると報告しており,肩甲上腕関節に可動域制限がある際は,肩甲骨の動きで代償するとされている。今回,RSA術後の肩甲骨動態解析の結果から不良群で,非常に早期からの肩甲骨の動きが認められた。また,肩関節外転ROMの良好群と不良群で優位差が認められたのは,RSA術後の肩関節では,可動域を確保するために肩甲骨の動きが生じていると考えられた。今後は効果的なリハビリテーションを行うために,肩甲骨の客観的な評価を行い,肩関節の可動域向上を目指し,QOL,ADLの向上へ繋げたいと考える。