[P-MT-35-3] 痛みリエゾン外来における慢性疼痛患者の痛みと動作能力の関係
キーワード:痛み, 痛みリエゾン, 理学療法
【はじめに】
2012年4月より慢性疼痛患者に対し,痛みリエゾン外来(開始時は麻酔科リエゾン外来)を開始した。チームは麻酔科医,整形外科医,精神科医,理学療法士,看護師,臨床心理士,薬剤師で構成されている。条件として問診票の記入ができるもの,各医療者側の検査測定が可能なものとした。6ヵ月を治療期間とし,初診時,1ヵ月目,3ヵ月目,終了時の6ヵ月目で定期的な検査測定から評価を実施している。
【目的】
理学療法を施行した前後の変化,痛みと動作能力の関係を比較検討する。
【対象と方法】
対象は他院にて身体的・精神的に治療困難とされた慢性疼痛患者136名のうち,理学療法にて6ヵ月間経過が追えた,50例(55.7±15.3歳,男性20名・女性30名)とした。
主な疾患の内訳は脊柱管狭窄症12例,頸椎症9例,変形性脊椎症6例,腰椎椎間板ヘルニア4例,筋筋膜性腰痛2例,繊維筋痛症2例,その他15例であった。
症候は腰痛15例,全身痛11例,下肢痛7例,頭頸部痛3例,坐骨神経痛4名,その他10名であった。理学療法前後の測定項目はTimed up & go test(以下,TUG),Finger Floor Distance(以下,FFD),片脚立位時間とし,痛みの測定はNumeric Rating Scale(以下,NRS)にて施行し,最も痛みの強い時期のNRSを使用した。
検討項目はTUG,FFD,片脚立位時間に対し①初診時のPT施行前後の比較,②6ヵ月時のPT施行前後を比較,③初診時PT施行前と6ヵ月時のPT施行後の比較はWilcoxon符号付順位和検定ならびに,④初診時PT開始前TUG,FFD,片脚立位時間とNRSの関係性,⑤6ヵ月時PT施行後TUG,FFD,片脚立位時間とNRSの関係性についてはピアソンの積率相関係数を用い,5%水準にて統計学的検討を行った。
【結果】
初回時の理学療法施行した前後では,FFDのみ16.7±17.1cmと12.1±15.5cmであり施行前後で有意差(p<0.05)が認められた。6ヵ月時の理学療法施行した前後ではTUG10.0±5.7秒と9.4±5.1秒,FFDは11.6±13.4cmと7.1±9.6cm,左片脚立位時間では27.9±19.6秒と30.2±19.7秒施行前後で有意差(p<0.05)があった。初回時の理学療法施行前と6ヵ月時のPT施行後の比較ではTUG,FFD,左片脚立位時間で有意差(p<0.01)が認められ,右片脚立位時間では有意差は無かった。
初診時TUG,FFD,片脚立位時間とNRSの関係性では,TUGとNRS間に弱いながら相関関係(r=0.33,p<0.05)を認めた。また6ヵ月時TUG,FFD,片脚立位時間とNRSの相関関係は,初診時と同様にTUGとNRS間に弱いながらも相関関係(r=0.42,p<0.05)を認めた。
【結論】
痛みリエゾン外来が6ヶ月間継続可能な症例では理学療法に対し,施行直後より良好な反応を示す患者が多く,初回時と6ヶ月時では明らかな改善がみられた。またNRSとTUGに弱いながらも相関関係を認め,PT開始時よりも6ヵ月時に相関関係が強くなる傾向がみられた。慢性疼痛患者の痛みの改善度と動作能力をみる指標として,TUGが利用できることが示唆された。
2012年4月より慢性疼痛患者に対し,痛みリエゾン外来(開始時は麻酔科リエゾン外来)を開始した。チームは麻酔科医,整形外科医,精神科医,理学療法士,看護師,臨床心理士,薬剤師で構成されている。条件として問診票の記入ができるもの,各医療者側の検査測定が可能なものとした。6ヵ月を治療期間とし,初診時,1ヵ月目,3ヵ月目,終了時の6ヵ月目で定期的な検査測定から評価を実施している。
【目的】
理学療法を施行した前後の変化,痛みと動作能力の関係を比較検討する。
【対象と方法】
対象は他院にて身体的・精神的に治療困難とされた慢性疼痛患者136名のうち,理学療法にて6ヵ月間経過が追えた,50例(55.7±15.3歳,男性20名・女性30名)とした。
主な疾患の内訳は脊柱管狭窄症12例,頸椎症9例,変形性脊椎症6例,腰椎椎間板ヘルニア4例,筋筋膜性腰痛2例,繊維筋痛症2例,その他15例であった。
症候は腰痛15例,全身痛11例,下肢痛7例,頭頸部痛3例,坐骨神経痛4名,その他10名であった。理学療法前後の測定項目はTimed up & go test(以下,TUG),Finger Floor Distance(以下,FFD),片脚立位時間とし,痛みの測定はNumeric Rating Scale(以下,NRS)にて施行し,最も痛みの強い時期のNRSを使用した。
検討項目はTUG,FFD,片脚立位時間に対し①初診時のPT施行前後の比較,②6ヵ月時のPT施行前後を比較,③初診時PT施行前と6ヵ月時のPT施行後の比較はWilcoxon符号付順位和検定ならびに,④初診時PT開始前TUG,FFD,片脚立位時間とNRSの関係性,⑤6ヵ月時PT施行後TUG,FFD,片脚立位時間とNRSの関係性についてはピアソンの積率相関係数を用い,5%水準にて統計学的検討を行った。
【結果】
初回時の理学療法施行した前後では,FFDのみ16.7±17.1cmと12.1±15.5cmであり施行前後で有意差(p<0.05)が認められた。6ヵ月時の理学療法施行した前後ではTUG10.0±5.7秒と9.4±5.1秒,FFDは11.6±13.4cmと7.1±9.6cm,左片脚立位時間では27.9±19.6秒と30.2±19.7秒施行前後で有意差(p<0.05)があった。初回時の理学療法施行前と6ヵ月時のPT施行後の比較ではTUG,FFD,左片脚立位時間で有意差(p<0.01)が認められ,右片脚立位時間では有意差は無かった。
初診時TUG,FFD,片脚立位時間とNRSの関係性では,TUGとNRS間に弱いながら相関関係(r=0.33,p<0.05)を認めた。また6ヵ月時TUG,FFD,片脚立位時間とNRSの相関関係は,初診時と同様にTUGとNRS間に弱いながらも相関関係(r=0.42,p<0.05)を認めた。
【結論】
痛みリエゾン外来が6ヶ月間継続可能な症例では理学療法に対し,施行直後より良好な反応を示す患者が多く,初回時と6ヶ月時では明らかな改善がみられた。またNRSとTUGに弱いながらも相関関係を認め,PT開始時よりも6ヵ月時に相関関係が強くなる傾向がみられた。慢性疼痛患者の痛みの改善度と動作能力をみる指標として,TUGが利用できることが示唆された。