第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本神経理学療法学会 一般演題ポスター
神経P10

Fri. May 27, 2016 4:30 PM - 5:30 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-NV-10-2] パーキンソン病におけるInternational Classification of Functioning,ICF CORE SETS作成の試み

梅原圭二, 清水兼悦 (医療法人札幌山の上病院)

Keywords:ICF, パーキンソン病, 症例検討

【はじめに,目的】International Classification of Functioning(以下ICF)は,心身機能,身体構造,活動と参加,環境因子で,約1400を超えるカテゴリーが網羅されている(個人因子はカテゴリー化されていない)。しかし,ICFは包括的であり複雑ある為,日々の臨床場面では使いにくいとの批判がある。近年,ICFを使いやすくする為に,各疾患に使用頻度が高いカテゴリーを集約したICF Core Setが作成されている。だが,パーキンソン病(以下PD)のICF Core Set報告は少ない。今回,我々は,当院で開催されたグランド・カンファレンスと呼ばれる症例検討会(以下GC)で,PD症例に使われたICFカテゴリーを集約した。本研究の目的は,PDに使われるICFカテゴリーとその傾向を明らかにする事である。


【方法】対象は2009年~2015年の間に,当院GCで検討されたPDの56例で男性24名,女性32名であった。PD重症度分類Hoehn and Yahr stageは,II度9名,III度28名,IV度18名,V度1名であった。対象年齢の中央値は,78.5(74.5-82.0)歳,PD罹患期間は,5.0(3.0-7.3)年であった。GCで使用されたICFカテゴリーをコード化し,その使用頻度を算出,検討した。


【結果】カテゴリーは,心身機能で110,身体構造で38,活動と参加で96,環境因子で20が使用されていた。使用頻度では,心身機能:b755不随運動反射機能(67.9%),b710関節可動性の機能(64.3%),b164高次認知機能(62.5%)などb7神経筋骨格と運動に関する機能,b1精神機能が高値だった。それ以外は,b280痛みの感覚(46.4%),b420血圧の機能(35.7%),b510摂食機能(25.0%),b440呼吸機能(18.0%)などであった。身体構造:s750下肢構造(62.5%),s760体幹の構造(37.5%)が高値だった。活動と参加:d410基本的な姿勢の変換(92.9%),d415姿勢の保持(89.3%),d450歩行(80.4%)のd4運動・移動が高値だった。それ以外は,d760家族関係(60.7%),d170書くこと(55.4%),d230日課の遂行(53.6%),などであった。環境因子:e355保健の専門職(77.0%),e310家族(60.7%),e1101薬(52.0%)が高値だった。


【結論】結果より,使用頻度が高いカテゴリーを想定できた。よって,PDのリハビリで考慮する点と利用できる利点が絞りやすくなった。しかし,未だ多くのPTがInternational Classification of Disease(ICD)の方が親しみやすいと考えられる。だが,ICFとICDの2つの違う分類法をすり合わせを行う事で,相乗効果が期待できる。今後も,更なるICFデータの蓄積を継続し,より日々の臨床場面に寄与する努力をしていきたい。