[P-SP-05-4] 左右両方向への360°回転ジャンプ動作の解析
キーワード:膝前十字靭帯損傷予防プログラム, 回転ジャンプ動作, 膝関節
【はじめに,目的】膝前十字靭帯損傷(以下,ACL損傷)は膝関節スポーツ障害の中で発生率が高いものの一つである。そして,ACL損傷者発生率を減らすために損傷予防プログラムの介入が多くなされている。具体的にはジャンプ動作時に膝関節内外反の中間位と屈曲角度の増加が損傷予防に有効であると報告されている。このジャンプ動作に関して,回転ジャンプ動作も用いられているが,その動作解析の報告は少ない。そこで本研究の目的はACL損傷予防プログラムで用いられている回転ジャンプ動作において,左右両方向への360°回転ジャンプ動作時の膝関節動態の相違を検証することである。
【方法】対象は健常女子高校生6名(平均年齢:16.6±0.4歳,平均身長:159.4±7.2cm,平均体重:46.9±6.1kg)とした。ボールを蹴る脚を利き脚としたところ対象者全てが右利きであった。課題動作は時計回りの360°回転ジャンプ動作(以下,右回転)と反時計回りの360°回転ジャンプ動作(以下,左回転)とした。各ジャンプ動作着地時の膝関節の関節角度・関節モーメントの評価を4枚の床反力計(AMTI社)と6台の赤外線カメラを用いた三次元動作解析装置(Vicon社)にて行った。解析項目は膝関節屈曲角度,屈曲モーメント,外反角度,そして外反モーメントの4項目において足尖接地時(以下,IC)の値とICから100ms間の最大値をそれぞれ算出した。統計学的解析は同一課題間におけるICと最大値の差,そして同一課題間における右下肢と左下肢の最大値の差,更に同一下肢における右回転と左回転の最大値の差にはそれぞれ対応のあるt検定を用いた。なお,有意水準は5%未満とした。
【結果】同一課題間におけるICと最大値の差において,屈曲角度・屈曲モーメント・外反角度全てが着地後有意に増加した(p<0.01)。そして,外反モーメントは左回転のみにおいて着地後有意に増加する結果となった(p<0.01)。しかしながら,同一課題間において右下肢と左下肢には有意な差を認めず,同一下肢における右回転と左回転の差も認めなかった。
【結論】左右両方向への360°回転ジャンプ動作において,足尖接地から膝関節の屈曲・外反運動は有意に増加した。これは着地時に膝関節へ回転ストレスが加わったことが考えられる。そのため,全ての対象者において着地後にACL損傷危険肢位に近づく結果となった。しかしながら,同一課題での左右差や回転方向の左右差については有意差を認めず,回転方向の違いによる膝関節動態の特徴がみられなかった。そのため,左右対称的な動作を実施できている可能性が示唆された。本研究結果から,ACL損傷予防プログラムで回転ジャンプ動作を用いる際はACL損傷危険肢位に近づくことを前提に実施すべきであると考えられる。
【方法】対象は健常女子高校生6名(平均年齢:16.6±0.4歳,平均身長:159.4±7.2cm,平均体重:46.9±6.1kg)とした。ボールを蹴る脚を利き脚としたところ対象者全てが右利きであった。課題動作は時計回りの360°回転ジャンプ動作(以下,右回転)と反時計回りの360°回転ジャンプ動作(以下,左回転)とした。各ジャンプ動作着地時の膝関節の関節角度・関節モーメントの評価を4枚の床反力計(AMTI社)と6台の赤外線カメラを用いた三次元動作解析装置(Vicon社)にて行った。解析項目は膝関節屈曲角度,屈曲モーメント,外反角度,そして外反モーメントの4項目において足尖接地時(以下,IC)の値とICから100ms間の最大値をそれぞれ算出した。統計学的解析は同一課題間におけるICと最大値の差,そして同一課題間における右下肢と左下肢の最大値の差,更に同一下肢における右回転と左回転の最大値の差にはそれぞれ対応のあるt検定を用いた。なお,有意水準は5%未満とした。
【結果】同一課題間におけるICと最大値の差において,屈曲角度・屈曲モーメント・外反角度全てが着地後有意に増加した(p<0.01)。そして,外反モーメントは左回転のみにおいて着地後有意に増加する結果となった(p<0.01)。しかしながら,同一課題間において右下肢と左下肢には有意な差を認めず,同一下肢における右回転と左回転の差も認めなかった。
【結論】左右両方向への360°回転ジャンプ動作において,足尖接地から膝関節の屈曲・外反運動は有意に増加した。これは着地時に膝関節へ回転ストレスが加わったことが考えられる。そのため,全ての対象者において着地後にACL損傷危険肢位に近づく結果となった。しかしながら,同一課題での左右差や回転方向の左右差については有意差を認めず,回転方向の違いによる膝関節動態の特徴がみられなかった。そのため,左右対称的な動作を実施できている可能性が示唆された。本研究結果から,ACL損傷予防プログラムで回転ジャンプ動作を用いる際はACL損傷危険肢位に近づくことを前提に実施すべきであると考えられる。