[P-SP-10-5] 体組成から得られた女子バレーボール選手の部位別筋肉量と四肢周径の関係性
生体電気インピーダンス法(In Body570)を用いて
Keywords:女子バレーボール選手, In Body, 四肢周径
【はじめに,目的】
ヒトの身体運動で発揮される筋張力と筋断面積が比例することは,従来多くの研究で報告されている。理学療法評価の四肢周径も,スポーツ選手における筋張力との関連性を導き出す一手段であり,動機づけに用いる最も簡便な方法である。しかし,女性の体脂肪量は男性に比べ多く,必ずしも四肢周径が筋肉量に比例するとは考えにくい。そこで,我々は安静時と最大収縮時の周径に注目し,生体電気インピーダンス法で得られた体組成との関連について,女子バレーボール選手における知見を得たのでここに報告する。
【方法】
整形疾患および神経疾患を呈さない女性25名(平均年齢19.5±0.6歳,利き手:全員右)とし,A群:バレーボール選手(13名)とB群:非スポーツ(12名)に分類した。全対象にIn Body570(BIOSPACE社製)を用い,BMI,体脂肪量(BFM),体水分均衡,部位別筋肉量,右腕(RA),左腕(LA),体幹(TR),右脚(RL),左脚(LL)を測定した。次にメジャーを使用し(計測値は1mm単位),背臥位にて肘関節90度屈曲位で安静時上腕周径(C)と膝関節伸展位(膝蓋骨上縁5cm)で安静時大腿周径(VM)を測定,同時に両方の最大随意収縮周径(MVC)を計測した。収縮に伴う筋形質の変化を考慮し,MVCからCとVMをそれぞれ差分した値(MVC-C,MVC-VM)を用いた。以上の項目を両群で比較し,統計処理には対応のないt検定(有意水準5%未満)を行った。体組成から得られた値よりA群の部位別筋肉量と四肢周径の関係性を回帰分析(有意水準5%未満)にて,回帰式を算出した。
【結果】
In Bodyと周径で得られた値を項目ごとに(A群/B群)で記す。BMI(kg/m2):(22.6/21.4),BFI(kg):(17.1/16.5),体水分均衡:(0.38/0.38),RA(kg):(1.92/1.64),LA(kg):(1.86/1.59),TR(kg):(17.8/16.0),RL(kg):(6.62/5.86),LL(kg):(6.61/5.81),右MVC-C(cm):(1.6/0.3),左MVC-C(cm):(1.24/0.56),右MVC-VM(cm):(0.55/0.25),左MVC-VM(cm):(0.43/0.28)。全ての部位別筋肉量と左右MVC-C,右MVC-VMに有意差が認められた(P<0.05)。A群の部位別筋肉量と四肢周径の相関はRAと右MVC-C(r=0.52;p<0.01),LAと左MVC-C(r=0.14),RLと右MVC-VM(r=0.67;p<0.01),LLと左MVC-VM(r=0.26)と右側に相関関係が示された。RAと右MVC-Cの関係はy=0.0098x+1.432,RLと右MVC-VMの関係はy=0.0292x+5.165となった。
【結論】
今回の女子バレーボール選手の部位別筋肉量はB群に比べ有意に高く,In Bodyで得られた右上下肢筋肉量とCとVMの周径差に相関関係を認めた。また,MVC-Cは平均1.6cm,スパイク時の踏切側である利き足は,MVC-VMが平均0.55cmであった。体脂肪量,体水分均衡に有意差は生じていない。今回の結果から,女子バレーボール選手に限定的ではあるが,最大収縮から安静時周径の差を介した評価は,筋量の指標となり,障害予防やスポーツ復帰の観点からも,周径差は正の数値が望ましいことが示唆された。
ヒトの身体運動で発揮される筋張力と筋断面積が比例することは,従来多くの研究で報告されている。理学療法評価の四肢周径も,スポーツ選手における筋張力との関連性を導き出す一手段であり,動機づけに用いる最も簡便な方法である。しかし,女性の体脂肪量は男性に比べ多く,必ずしも四肢周径が筋肉量に比例するとは考えにくい。そこで,我々は安静時と最大収縮時の周径に注目し,生体電気インピーダンス法で得られた体組成との関連について,女子バレーボール選手における知見を得たのでここに報告する。
【方法】
整形疾患および神経疾患を呈さない女性25名(平均年齢19.5±0.6歳,利き手:全員右)とし,A群:バレーボール選手(13名)とB群:非スポーツ(12名)に分類した。全対象にIn Body570(BIOSPACE社製)を用い,BMI,体脂肪量(BFM),体水分均衡,部位別筋肉量,右腕(RA),左腕(LA),体幹(TR),右脚(RL),左脚(LL)を測定した。次にメジャーを使用し(計測値は1mm単位),背臥位にて肘関節90度屈曲位で安静時上腕周径(C)と膝関節伸展位(膝蓋骨上縁5cm)で安静時大腿周径(VM)を測定,同時に両方の最大随意収縮周径(MVC)を計測した。収縮に伴う筋形質の変化を考慮し,MVCからCとVMをそれぞれ差分した値(MVC-C,MVC-VM)を用いた。以上の項目を両群で比較し,統計処理には対応のないt検定(有意水準5%未満)を行った。体組成から得られた値よりA群の部位別筋肉量と四肢周径の関係性を回帰分析(有意水準5%未満)にて,回帰式を算出した。
【結果】
In Bodyと周径で得られた値を項目ごとに(A群/B群)で記す。BMI(kg/m2):(22.6/21.4),BFI(kg):(17.1/16.5),体水分均衡:(0.38/0.38),RA(kg):(1.92/1.64),LA(kg):(1.86/1.59),TR(kg):(17.8/16.0),RL(kg):(6.62/5.86),LL(kg):(6.61/5.81),右MVC-C(cm):(1.6/0.3),左MVC-C(cm):(1.24/0.56),右MVC-VM(cm):(0.55/0.25),左MVC-VM(cm):(0.43/0.28)。全ての部位別筋肉量と左右MVC-C,右MVC-VMに有意差が認められた(P<0.05)。A群の部位別筋肉量と四肢周径の相関はRAと右MVC-C(r=0.52;p<0.01),LAと左MVC-C(r=0.14),RLと右MVC-VM(r=0.67;p<0.01),LLと左MVC-VM(r=0.26)と右側に相関関係が示された。RAと右MVC-Cの関係はy=0.0098x+1.432,RLと右MVC-VMの関係はy=0.0292x+5.165となった。
【結論】
今回の女子バレーボール選手の部位別筋肉量はB群に比べ有意に高く,In Bodyで得られた右上下肢筋肉量とCとVMの周径差に相関関係を認めた。また,MVC-Cは平均1.6cm,スパイク時の踏切側である利き足は,MVC-VMが平均0.55cmであった。体脂肪量,体水分均衡に有意差は生じていない。今回の結果から,女子バレーボール選手に限定的ではあるが,最大収縮から安静時周径の差を介した評価は,筋量の指標となり,障害予防やスポーツ復帰の観点からも,周径差は正の数値が望ましいことが示唆された。