[P-SP-12-4] 難易度の異なるバランスボード上での静止立位時の重心動揺と下腿筋活動
Keywords:バランスボード, 重心動揺, 下腿筋活動
【はじめに,目的】
足関節捻挫は最も発生率の高いスポーツ外傷であり,足部の外傷の80%を占める。足関節捻挫後のリハビリテーションでは,傷害を受けた固有感覚系を再教育するためにバランストレーニングが行われる。これまでバランストレーニングプログラムの効果検証がなされており,内反ストレスに拮抗する長腓骨筋反応時間の短縮や,足関節捻挫の再発率の減少が報告されている。しかし,バランスボードを使用した場合に,器具の難易度の違いが足関節周囲筋の筋活動に与える効果について検討した研究は少ない。本研究は,バランスボードの難易度の違いが下腿筋活動に与える影響を明らかにすることを目的とした。仮説は,難易度が高いバランスボードでは内外側(X)方向,前後(Y)方向への重心動揺が大きくなり,下腿筋活動も高まるとした。
【方法】
対象は,男性4名,女性6名の計10名(年齢22.3±1.6歳,身長162.1±8.7cm,体重54.4±9.0kg)で,足関節捻挫の既往がなく,バランスに影響を与える疾患がない者とした。対象に重心動揺計(T.K.K. 5810重心軌跡測定器,竹井機器社)上に置かれたバランスボードで,両脚立位および片脚立位をとらせた。バランスボードはいずれも床面からの高さが7.5cmで,円柱(底面は凸レンズ状で高さ3.5cm)が付属したもの(A),半球(半径5.5cm)が付属したもの(B)を使用した。片脚立位時の立脚側下肢および筋活動の測定側下肢は非利き脚とした。筋活動の導出筋は前脛骨筋(TA),長腓骨筋(PL),腓腹筋内側頭(GSM)とし,Personal-EMG plus(追坂電子機器社)を用いた。測定時間は5秒間で,測定回数は3回とし,測定はランダムに行った。重心動揺はX方向とY方向の標準偏差を,筋活動は各筋の二乗平均平方根(RMS)を算出し,最大随意収縮時のRMSで除した。統計学的解析にはSPSS for Windows ver. 20.0を用い,バランスボードの種類(A,B)と立位条件(両脚,片脚)を要因とした,二元配置反復測定分散分析を行った。危険率5%未満を有意とした。
【結果】
重心動揺について,X方向とY方向では,バランスボードの種類と立位条件に交互作用が認められた(p<0.01)。バランスボードの種類ではAよりもBで高値を示し(p<0.05),立位条件ではBで片脚立位よりも両脚立位で高値を示した(p<0.05)。筋活動では,バランスボードの種類に主効果が認められ,各筋でAよりもBで高い筋活動を示した(p<0.01)。PLとGSMではさらに立位条件に主効果が認められ,両脚立位より片脚立位で高い筋活動を示した(p<0.01)。
【結論】
本研究で用いたバランスボードはAよりもBで重心動揺が大きく,Bの方が難易度は高いと考える。Bでは片脚立位よりも両脚立位で重心動揺が大きいが,筋活動は片脚立位の方が高かった。難易度が高すぎると足関節以外での姿勢制御が大きくなる可能性があり,バランストレーニングで足関節周囲筋の筋活動を活性化させるためには,難易度と立位条件を組み合わせて考える必要がある。
足関節捻挫は最も発生率の高いスポーツ外傷であり,足部の外傷の80%を占める。足関節捻挫後のリハビリテーションでは,傷害を受けた固有感覚系を再教育するためにバランストレーニングが行われる。これまでバランストレーニングプログラムの効果検証がなされており,内反ストレスに拮抗する長腓骨筋反応時間の短縮や,足関節捻挫の再発率の減少が報告されている。しかし,バランスボードを使用した場合に,器具の難易度の違いが足関節周囲筋の筋活動に与える効果について検討した研究は少ない。本研究は,バランスボードの難易度の違いが下腿筋活動に与える影響を明らかにすることを目的とした。仮説は,難易度が高いバランスボードでは内外側(X)方向,前後(Y)方向への重心動揺が大きくなり,下腿筋活動も高まるとした。
【方法】
対象は,男性4名,女性6名の計10名(年齢22.3±1.6歳,身長162.1±8.7cm,体重54.4±9.0kg)で,足関節捻挫の既往がなく,バランスに影響を与える疾患がない者とした。対象に重心動揺計(T.K.K. 5810重心軌跡測定器,竹井機器社)上に置かれたバランスボードで,両脚立位および片脚立位をとらせた。バランスボードはいずれも床面からの高さが7.5cmで,円柱(底面は凸レンズ状で高さ3.5cm)が付属したもの(A),半球(半径5.5cm)が付属したもの(B)を使用した。片脚立位時の立脚側下肢および筋活動の測定側下肢は非利き脚とした。筋活動の導出筋は前脛骨筋(TA),長腓骨筋(PL),腓腹筋内側頭(GSM)とし,Personal-EMG plus(追坂電子機器社)を用いた。測定時間は5秒間で,測定回数は3回とし,測定はランダムに行った。重心動揺はX方向とY方向の標準偏差を,筋活動は各筋の二乗平均平方根(RMS)を算出し,最大随意収縮時のRMSで除した。統計学的解析にはSPSS for Windows ver. 20.0を用い,バランスボードの種類(A,B)と立位条件(両脚,片脚)を要因とした,二元配置反復測定分散分析を行った。危険率5%未満を有意とした。
【結果】
重心動揺について,X方向とY方向では,バランスボードの種類と立位条件に交互作用が認められた(p<0.01)。バランスボードの種類ではAよりもBで高値を示し(p<0.05),立位条件ではBで片脚立位よりも両脚立位で高値を示した(p<0.05)。筋活動では,バランスボードの種類に主効果が認められ,各筋でAよりもBで高い筋活動を示した(p<0.01)。PLとGSMではさらに立位条件に主効果が認められ,両脚立位より片脚立位で高い筋活動を示した(p<0.01)。
【結論】
本研究で用いたバランスボードはAよりもBで重心動揺が大きく,Bの方が難易度は高いと考える。Bでは片脚立位よりも両脚立位で重心動揺が大きいが,筋活動は片脚立位の方が高かった。難易度が高すぎると足関節以外での姿勢制御が大きくなる可能性があり,バランストレーニングで足関節周囲筋の筋活動を活性化させるためには,難易度と立位条件を組み合わせて考える必要がある。