第51回日本理学療法学術大会

Presentation information

一般演題ポスター

日本地域理学療法学会 一般演題ポスター
地域P04

Fri. May 27, 2016 4:30 PM - 5:30 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-TK-04-1] 高齢化の進む地域の地域包括ケア病棟の現状と課題

東啓太, 荒牧恭平 (一般社団法人因島医師会因島医師会病院)

Keywords:地域包括ケア病棟, 高齢化社会, 在宅復帰

【はじめに,目的】

当院は2014年9月より地域包括ケア病棟を開設し運営している。広島県の因島地域は2015年7月現在,高齢化率38.9%,後期高齢者率19.5%で,厚生労働省の予測する2025年の高齢者割合に近い高齢化地域である。当病棟を利用する高齢者が,住み慣れた地域で自分らしい暮らしをより長く継続できるように,地域の包括的な支援やサービスを提供するために開設から1年での現状と課題を把握する。

【方法】

対象は2015年5月から7月に地域包括ケア病棟を退院した全患者77名[男性36名,女性41名;年齢中央値83歳(18~98歳)]である。調査項目は疾病分類,リハビリ処方割合,地域包括ケア病棟在院日数,転帰先,在宅復帰率,退院に向けたリハ職種を含む多職種カンファレンスの有無,多職種カンファレンスを実施するまでの期間とした。

【結果】

疾病分類は整形外科疾患23.4%,心疾患9.1%,呼吸器疾患19.5%,糖尿病9.1%,脳血管障害2.6%,がん・腫瘍5.1%,耳鼻科3.9%,その他27.3%で,リハビリ処方割合は74.0%,地域包括ケア病棟在院日数は中央値32日(3~60日),転帰先は自宅63.6%,在宅復帰・療養支援機能強化型介護老人保健施設13.0%,当院の他の病棟へ転棟6.5%,グループホーム5.2%,他院への転院2.6%,死亡2.6%,その他施設1.3%であり,在宅復帰率は90.7%であった。多職種カンファレンスを開催したのは21.1%で,多職種カンファレンスまでの期間は中央値35日(20~56日)であった。

【結論】

当院地域包括ケア病棟では,年齢や疾患が偏らず様々な患者が入棟する。その中で年齢中央値は83歳と高く,地域包括ケア病棟を退院し在宅で生活を送るために,何らかの在宅サービスを使用することがある。しかし,要介護認定を受けていない場合,申請から認定に至るまでに約1カ月の期間を要すため,多職種カンファレンスの開催が遅れることにより,サービスの調節が遅れ,入院延長を余儀なくされるケースがある。その期間を,充実した在宅支援に取り組む期間として,入院早期から在宅復帰に向けて,ADL・IADLも含めた生活指導や在宅サービスを受けるための事務的な手続き,担当者との連絡・調整等きめ細かなアプローチの思考や検証を行い,退院後の生活をより長く安全に在宅や地域で過ごせるように,地域包括ケア病棟として地域での役割を強化することが課題である。また,在宅復帰90.7%という結果を得た理由は,医師会病院という特性により地域開業医との密接な連携があること。また同一法人で併設された80床の介護老人保健施設,通常規模通所リハ,大規模通所リハ,在宅ケアセンター(訪問看護・リハ・介護,ケアマネステーション,包括支援センター),及び隣接された小規模多機能型居宅介護施設,看護小規模多機能居宅介護施設を有しており,種々の在宅サービスが機能的に提供できる体制が整っている事と考えた。