第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本地域理学療法学会 一般演題ポスター
地域P09

Sat. May 28, 2016 2:50 PM - 3:50 PM 第11会場 (産業振興センター 2階 セミナールームA)

[P-TK-09-5] 脳血管疾患における栄養状態が日常生活動作能力向上の一要因となり得る

小宮里紗 (蒲田リハビリテーション病院)

Keywords:日常生活動作, 栄養状態, 脳血管疾患

【はじめに,目的】

近年理学療法における栄養管理の重要性が指摘されており,脳血管疾患では栄養状態が十分であれば日常生活動作(以下:ADL)能力が高いとの報告もある。当院ではADL能力の指標として機能的自立度評価法(以下:FIM)における利得を用いてリハビリテーション(以下:リハビリ)効果を検討しているが,FIM利得と栄養状態の関連に着目した報告は少ない。そこでFIMの運動項目総得点(以下:m-FIM)と血清Albumin値(以下:Alb値)に着目し,脳血管疾患での各重症度間におけるm-FIM利得との関連性を検討した。

【方法】

対象は平成23年9月1日から平成27年3月31日の期間内に当院に在院した脳血管疾患算定者の内,Mini-Mental State Examinationが25点以上の398名とした。また,症状の悪化等により急性期病院へ転院となった者を除外した。対象を入院時のm-FIMから3群(重度群<39点,中等度群<78点,軽度群)に分け,さらに入院時のAlb値でそれぞれを2群(低値群<3.5g/dlと正常群)に分類した。これらの分類間で[年齢,性別,在院日数,m-FIM利得]に対し分散分析を行い,多重比較検定にはTukey-Kramer法を用いた。

統計処理にはSPSSを用いた。なお,有意水準は5%未満とした。

【結果】

①m-FIM中等度群および軽度群においてAlb値低値群・正常群のm-FIM利得の有意差はみられなかった。

②m-FIM重度群では,Alb値低値群(m-FIM利得=24.1±17.8点)に比べAlb値正常群(m-FIM利得=38.8±17.8点)のm-FIM利得が有意に高かった(p<0.05)。

【結論】

m-FIM中等度および軽度群に関しては,Alb低値群と正常群の違いによるm-FIM利得の有意差はみられなかったが,重度群においては有意差がみられた。この結果から,m-FIM重度群では入院時より栄養状態が良好なことで,より効率のよいADL能力の改善がみられることが示唆された。よって,入院時のAlb値がADL能力改善の有効な予後予測因子となり得ることが考えられた。