第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本地域理学療法学会 一般演題ポスター
地域P11

Sun. May 29, 2016 10:00 AM - 11:00 AM 第11会場 (産業振興センター 2階 セミナールームA)

[P-TK-11-3] 茨城県におけるシルバーリハビリ体操指導士養成事業と体操指導による地域活動の現状と今後の課題について

養成事業10年間の実績を踏まえて

菅谷公美子1, 秋山泰蔵1,2, 伊藤綾1, 飯田裕章1, 塚田優子1,2, 小室明子1, 大田仁史1 (1.茨城県立健康プラザ, 2.医療法人社団筑波記念会)

Keywords:住民参加型, 介護予防, 体操指導

【はじめに,目的】茨城県では,世界に類をみない超高齢社会は医療・介護専門職だけでは乗り切れないという認識のもと,平成17年度から住民参加型の介護予防事業として,シルバーリハビリ体操指導士(以下指導士)養成事業を茨城県立健康プラザで開始し,10年が経過した。この事業は,概ね60歳以上の常勤の職を持たない茨城県民を対象に講習会を実施し,修了後に指導士として地域住民にボランティアで体操指導する活動である。講習会を運営するスタッフは,リハビリテーション医・保健師・理学療法士・作業療法士・トレーナーである。地域活動の実践者である3級指導士(6日間30時間の講習),地域活動のリーダーを務める2級指導士(5日間25時間の講習),地域で3級養成講習会の講師を務める1級指導士(4日間20時間の講習および6日間30時間の実習)を養成し,県内各地域で指導士が体操教室を開催することや1級指導士が3級指導士を養成することにより,住民が住民を育てる住民参加型の介護予防を展開している。今回は,10年間の指導士養成数と地域活動の現状,今後の課題について報告する。


【方法】茨城県立健康プラザで管理している平成17年度~平成26年度のデータを参照し,①指導士養成数,②1級指導士,2級指導士,3級指導士数,③体操教室の実数,④体操教室延べ開催数,⑤指導士の体操教室への参加延べ数,⑥住民の体操教室への参加延べ数,⑦1級指導士による3級指導士養成数の割合について調査した。また,①~⑦の結果をもとに,住民参加型の地域活動を展開するために重要な項目と今後の課題について考察した。


【結果】平成26年度までに養成した①指導士数は6,685名,②内訳は1級指導士137名,2級指導士2,173名,3級指導士数4,375名であった。平成26年度の③体操教室数は1,681箇所,④体操教室延べ開催数は35,012回,⑤指導士の体操教室への参加延べ数は120,867名,⑥住民の体操教室への参加延べ数は539,512名,⑦平成26年度の1級指導士による3級指導士養成数の割合は64%であった。平成26年度の実績を,5年前の平成21年度と比較すると,④は1.8倍,⑤は1.9倍,⑥は1.6倍,⑦は1.3倍の概ね右肩上がりの結果を示した。①~⑦の結果より,住民参加型の地域活動を展開するために,ボランティアができる活動家を選ぶ,平準化したカリキュラムで指導士を育てる・フォローする,市町村・県単位で指導士を組織して個人を褒賞することが重要と考えられた。また,今後の課題として,指導士の活動数の増加,体操教室参加者の増加,専門職と連携しての指導士の訪問指導による介護予防・日常生活総合事業への参画が挙げられた。


【結論】シルバーリハビリ体操指導養成事業は,茨城型の住民主体の介護予防支援体制の要になるシステムとして機能している。今後の展望として,現在の機能を保持しつつ,指導士が行政と専門職と協働し,介護予防・日常生活支援総合事業へ参画していくことが重要である。