第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本地域理学療法学会 一般演題ポスター
地域P11

Sun. May 29, 2016 10:00 AM - 11:00 AM 第11会場 (産業振興センター 2階 セミナールームA)

[P-TK-11-4] サ高住内の重度要介護高齢者に対する小集団個別リハビリの有効性について

合法的小集団個別リハビリを活用した廃用性予防に向けた挑戦

櫻井謙治, 吉岡一優 (株式会社NCM)

Keywords:小集団個別リハビリ, 重度要介護高齢者, 離床活動時間の確保

【はじめに,目的】

当施設「アップルウッド西大寺」は,医療対応・機能回復型のサ高住である。リハビリは,訪問看護I5で行う維持期のリハビリであり,その目的は,廃用性予防・残存機能強化が主であるにも関わらず,20分~40分程度と短時間の場合が一般的なのではないだろうか。リハビリ以外の時間で毎日23時間以上臥床が続くならば,むしろ廃用性が進行することは否定できない。

今回,対象者は廃用に陥り易い経管栄養・吸痰等が必要な方とし,小集団内で順番に個別リハビリを行う提供方法で行った。通常の個別リハビリよりも,離床活動時間が格段に多く確保できる為,効果が大きいのではないかとの仮説を立てて取り組んだ。そして「小集団個別リハビリ」の有効性について,若干の知見を得たので報告する。

【方法】

対象者は経管栄養等の方10名で輸液・末梢点滴・腸瘻各1名,経鼻経管栄養3名,胃瘻4名。平均要介護度4.4。試験期間は平成26年10月1日からの3週間,週6日ペースで取り組んだ。日中約3時間以上の離床のうち,小集団個別リハビリは運動強度2METsから3METs・運動量は週12エクササイズ以上の提供を目標とした。及び他職種連携での離床活動90分/日以上とローテーションして行うこととした。

具体的な方法は,重症度に合わせて3~4名の2種類のグルーピングを行い,小集団内で個別リハビリ等を実施した。実施内容は,①最重症群には,離床・背面開放マッサージ・手指ROMエクササイズとコミュニケーション等,②重度介助者群に対して,離床以外に坐位前傾運動や起立着席運動,立位歩行等を提供した。

運用と手順は,①毎朝,他職種連携にて離床可否判定後,車椅子離床を行った。②レベル別に車椅子離床と背面開放マッサージ等・休息・運動の各活動を提供し,延べ離床活動時間を長く確保した。

評価は,ビデオ撮影と動作分析評価から改善効果を検証した。

【結果】

以前の活動性の経過は,全員が現状維持に留まっていた。しかし今回の試みで,1)10名全員2時間連続離床が可能となった。2)坐骨支持でリクライニング車椅子から背面開放状態にすると頸部回旋を伴う追視が可能となった方1名。3)平行棒を両手で把持し,本人の意思で体幹前傾運動が可能となった方2名。4)介助にて起立着席運動が可能となった方3名。5)座面を15cmアップすれば自力で起立できるようになった方1名。6)歩行器介助歩行が平均15m可能となった方1名。7)全く変化無し2名。

今回,仮説通り,経管栄養等が必要な重度要介護高齢者であっても,8割の方に改善が得られた。

【結論】

制度下における合法的小集団個別リハビリは,臥床時間を短縮し,より多くの離床活動時間を確保する手段である。休息は必要だが,長時間確保できれば,廃用性予防・残存機能強化により有効であると考えます。