第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本地域理学療法学会 一般演題ポスター
地域P13

Sun. May 29, 2016 11:10 AM - 12:10 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-TK-13-2] 開催場所からみたリハビリテーション会議の実施状況の比較

大西耕平1, 三田裕一2, 近藤由実3, 近藤健3 (1.医療法人大那だいなリハビリクリニックデイケア, 2.医療法人大那だいな紫塚デイケア, 3.医療法人大那だいなリハビリクリニック)

Keywords:通所リハビリテーション, リハビリテーション会議, 自宅訪問

【はじめに,目的】

「リハビリテーション(以下,リハ)会議」とは,生活期リハの目標や内容,多職種協働に向けた支援方針を協議するものであり,平成27年度介護報酬改定でリハマネジメント加算IIの算定要件として位置づけられている。当法人では,利用者全員にリハ会議を実施しており,開催場所は自宅と通所リハ施設に大別される。自宅でのリハ会議開催は,実際の生活状況の把握に有用と考えられるが,利用者・事業者の双方にとって負担になる。今回は,開催場所によるリハ会議の実施状況の違いを明らかにし,リハ会議の効率的な運営の一助とすることを目的とした。

【方法】

対象者は当法人通所リハ(2施設;定員38名,48名)を利用している167名。この対象者に対し,2015年4月から9月までに実施した876件のリハ会議の実施状況を会議録から調査した。調査項目は,会議の構成員,検討事項(生活状況,リハ内容,動作確認・指導,福祉用具,住宅改修,環境整備,利用サービスの変更)とし,開催場所により,自宅群316件,施設群560件に分け比較した。2群の比較には対応のないt検定,Mann-WhitneyのU検定を用いた。また,対象期間中に3回以上自宅でリハ会議を開催したかどうかを従属変数とし,ロジスティック回帰分析を行った。独立変数は,年齢などの基礎情報,リハ会議での検討事項,個別リハ実施記録から調査したBarthel Index(B.I),MMSEの点数とし,変数の選択には変数増加法を用いた。なお,有意水準は5%未満とした。

【結果】

2群の比較の結果,1回の会議の平均参加人数は自宅群4.9人,施設群4.0人であった。構成員の参加率(自宅群,施設群:%)は,家族(91.4,36.1),ケアマネージャー(87.7,73.9),福祉用具レンタル業者(12.3,3.0),訪問介護業者(4.7,0.7)が施設群よりも自宅群で有意に多かった。専任医(30.7,42.9),通所リハ職員(27.2,34.5)の参加率に有意な差は認められなかった。会議の検討事項の比較では,生活状況(98.7,93.9),リハ内容(96.8,93.4),動作確認・指導(64.2,32.7),環境整備(8.2,2.0)が施設群よりも自宅群で有意に多く,その他の項目では有意な差は認められなかった。ロジスティック回帰分析の結果,変数増加法により年齢,B.I,動作確認・指導,住宅改修の変数が得られ,動作確認・指導(オッズ比:1.9)と住宅改修(3.4)が有意であった。判別的中率は81.4%であり,高い的中率を示した。

【結論】

自宅でのリハ会議開催では,家族やケアマネージャー,福祉用具レンタル業者など生活期リハにおける多職種連携を行いやすい状況にあり,自宅環境での動作確認・指導や環境整備の実施が多いことが明らかとなった。また,3回以上自宅での会議開催が必要であった要因としては,動作確認・指導,住宅改修の検討が挙げられた。より生活に則したリハの提供や支援方針を協議するためには,利用者のニーズに基づき,自宅でリハ会議を開催することが有効と考えられる。