[P-YB-13-1] 回復期病棟に入院する運動器疾患患者における退院時の排泄動作自立に影響する因子の検討
Keywords:機能的自立度評価法(FIM), 排泄自立度, 回復期
【はじめに,目的】
回復期病棟から自宅への退院を検討するにあたり,介護者から排泄動作の自立を希望されることが多い。多くの先行研究からも,排泄動作の自立が在宅復帰率の向上に影響することが報告されている。しかし,回復期病棟における排泄動作自立に影響する因子についての報告は少ない。入院時の評価情報から,退院時の排泄動作自立の可否を予測することが出来れば,より早期から適切な退院支援を行うことが可能となると考えられる。そこで本研究では,回復期病棟に入院する運動器疾患患者において,退院時の排泄動作自立に影響する因子を検討することを目的とした。
【方法】
2013年4月から2015年9月までに運動器疾患で当院回復期病棟に入院した患者316名(平均年齢:83.3±10.4歳,男性86名,女性230名,大腿骨遠位端骨折176名,圧迫骨折80名,その他60名)を調査対象とした。対象者を,退院時に排泄動作が自立(FIM項目のトイレ動作・トイレ移乗がいずれも6点以上)しているかどうかで2群に分け,入院時のFIM項目・年齢・性別を2群間でMannWhitneyU検定・カイ二乗検定にて比較検討した。階段昇降,清拭,浴槽移乗項目は入院時に未実施の場合が多く,検討項目から除外した。その後,有意差が認められた項目を説明変数とし,退院時の「排泄動作自立」を目的変数とした変数増加法(尤度比)によるロジスティック回帰分析を行った。尚,説明変数間の相関関係がSpearmanの順位相関係数にてr>0.9となった場合は多重共線性の回避のため,一方のFIM項目を除外した。統計ソフトはDr.SPSSII for Windows 11.0.1Jを使用し,有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
退院時に排泄動作が自立していた対象者は199名(63%)であった。全ての入院時FIM項目は,排泄動作自立群が有意に高値であった(p<.05)。年齢は排泄動作自立群で有意に低く(p<.05),性別は2群間に有意な差は認められなかった。上衣更衣・下衣更衣の2項目間,排尿管理・排便管理の2項目間にr>0.9の相関がみられたため,上衣更衣,排尿管理を除外した。残りのFIM項目と年齢を説明変数として,ロジスティック回帰分析を実施したところ,整容[1.25;1.05-1.49],歩行[1.33;1.14-1.56],社会的交流[1.5;1.12-2.0],記憶[1.28;1.03-1.6],年齢[0.96;0.92-0.99]の項目が抽出された[オッズ比;95%信頼区間](いずれもp<.05)。
【結論】
自宅復帰に向けて重要なポイントとなる退院時の排泄動作自立は,入院時の特定のFIM項目(整容,歩行,社会的交流,記憶)の得点が高いこと,また年齢が若いことから予測できることが示唆された。
回復期病棟から自宅への退院を検討するにあたり,介護者から排泄動作の自立を希望されることが多い。多くの先行研究からも,排泄動作の自立が在宅復帰率の向上に影響することが報告されている。しかし,回復期病棟における排泄動作自立に影響する因子についての報告は少ない。入院時の評価情報から,退院時の排泄動作自立の可否を予測することが出来れば,より早期から適切な退院支援を行うことが可能となると考えられる。そこで本研究では,回復期病棟に入院する運動器疾患患者において,退院時の排泄動作自立に影響する因子を検討することを目的とした。
【方法】
2013年4月から2015年9月までに運動器疾患で当院回復期病棟に入院した患者316名(平均年齢:83.3±10.4歳,男性86名,女性230名,大腿骨遠位端骨折176名,圧迫骨折80名,その他60名)を調査対象とした。対象者を,退院時に排泄動作が自立(FIM項目のトイレ動作・トイレ移乗がいずれも6点以上)しているかどうかで2群に分け,入院時のFIM項目・年齢・性別を2群間でMannWhitneyU検定・カイ二乗検定にて比較検討した。階段昇降,清拭,浴槽移乗項目は入院時に未実施の場合が多く,検討項目から除外した。その後,有意差が認められた項目を説明変数とし,退院時の「排泄動作自立」を目的変数とした変数増加法(尤度比)によるロジスティック回帰分析を行った。尚,説明変数間の相関関係がSpearmanの順位相関係数にてr>0.9となった場合は多重共線性の回避のため,一方のFIM項目を除外した。統計ソフトはDr.SPSSII for Windows 11.0.1Jを使用し,有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
退院時に排泄動作が自立していた対象者は199名(63%)であった。全ての入院時FIM項目は,排泄動作自立群が有意に高値であった(p<.05)。年齢は排泄動作自立群で有意に低く(p<.05),性別は2群間に有意な差は認められなかった。上衣更衣・下衣更衣の2項目間,排尿管理・排便管理の2項目間にr>0.9の相関がみられたため,上衣更衣,排尿管理を除外した。残りのFIM項目と年齢を説明変数として,ロジスティック回帰分析を実施したところ,整容[1.25;1.05-1.49],歩行[1.33;1.14-1.56],社会的交流[1.5;1.12-2.0],記憶[1.28;1.03-1.6],年齢[0.96;0.92-0.99]の項目が抽出された[オッズ比;95%信頼区間](いずれもp<.05)。
【結論】
自宅復帰に向けて重要なポイントとなる退院時の排泄動作自立は,入院時の特定のFIM項目(整容,歩行,社会的交流,記憶)の得点が高いこと,また年齢が若いことから予測できることが示唆された。