[P-YB-18-4] 腰痛有訴者と腰痛非有訴者の端座位における体幹・骨盤肢位と体幹筋持久力の比較
Keywords:腰痛, 座位, 姿勢
【目的】職業性疾病の腰痛予防対策は,労働者の健康確保にとって大きな課題となっている。今回,腰痛有訴者と非有訴者の体幹・骨盤肢位と体幹筋持久力の違いから腰痛との関係を明らかにし,腰痛に対する理学療法の一助とすることである。
【方法】対象は20から30代で脊椎疾患の既往がない当院の男性職員(平均年齢26.3±3.3歳)とした。Von Korff MらのChronic Pain GradeでGrade0「この半年間に腰痛なし」群(なし群:12名:平均年齢27.1±3.9歳),GradeI~II「この半年間に腰痛あり」群(あり群12名:平均年齢25.4±2.1歳)とし2群に分類した。股関節,膝関節屈曲90度の端坐位で無意識的な姿勢として①「楽な姿勢」,次に意識的な姿勢として②「良いと思う姿勢」と③「骨盤中間位と思う姿勢」の順に指示し左右の骨盤傾斜角,体幹側屈・回旋角度を測定した。次に端座位にて疼痛のない範囲で骨盤前傾・後傾の最大骨盤傾斜角を測定した。骨盤傾斜角は上前腸骨棘と大転子を結んだ線と大転子を通る水平線とのなす角とし,体幹側屈・回旋角度は日本整形外科学会が制定する測定法に準じた。骨盤傾斜角,体幹側屈角の測定にはタイガー医療器レベルゴニオメーターを,体幹回旋角は酒井医療株式会社プラスチック角度計を使用した。また,体幹筋持久力を伊藤らの体幹筋持久力評価法を用い,腹筋持久力は両膝屈曲位で体幹挙上し肩甲骨下角が床に着くまでの時間,背筋持久力は胸骨を浮かし,剣状突起が床に着いた時間を測定した。いずれも両手は後頭部で組み下肢の固定は行わなかった。各測定は計2回別日に実施し,その平均値を使用した。統計処理はMann-WhitneyのU検定で2群間の比較を行い有意水準5%とした。
【結果】骨盤傾斜角(右/左)は姿勢①なし群78.8±5.6度/82.2±5.5度,あり群94.7±6.7度/97.3±6.3度,姿勢②なし群70.3±3.1度/74.5±2.9度,あり群77.3±4.6度/80.8±4.1度,姿勢③なし群71.8±4.1度/76.3±4.4度,あり群78.2±6.0度/82.5±6.6度でどの姿勢でも有意差を認めた。体幹側屈角は姿勢①両群間に有意差はなく,姿勢②なし群0.5±0.4度/あり群1.4±0.9度,姿勢③なし群0.6±0.5度/あり群1.3±0.8度で有意差を認めた。体幹回旋角度,骨盤前後傾可動域,腹筋持久力に有意差はなかった。背筋持久力はなし群57.7±18.5秒,あり群39.1±26.0秒で有意差を認めた。
【考察】意識的または無意識的な端座位姿勢において腰痛有訴者が非有訴者より骨盤後傾する要因として,腰痛有訴者の背筋持久力の低下による骨盤後傾位での動作が習慣化され偏位した姿勢アライメントが構築されるためと推測される。さらに骨盤後傾は下部脊椎を固定化し上部脊椎に左右不均衡な運動を強いらせ,その偏位した姿勢が意識的な端座位において腰痛有訴者の体幹側屈を誘発したと推察される。以上より,意識的に正しいアライメントでの座位保持能力の向上を図ることは腰痛有訴者に対し有効な治療手段の一つとした。
【方法】対象は20から30代で脊椎疾患の既往がない当院の男性職員(平均年齢26.3±3.3歳)とした。Von Korff MらのChronic Pain GradeでGrade0「この半年間に腰痛なし」群(なし群:12名:平均年齢27.1±3.9歳),GradeI~II「この半年間に腰痛あり」群(あり群12名:平均年齢25.4±2.1歳)とし2群に分類した。股関節,膝関節屈曲90度の端坐位で無意識的な姿勢として①「楽な姿勢」,次に意識的な姿勢として②「良いと思う姿勢」と③「骨盤中間位と思う姿勢」の順に指示し左右の骨盤傾斜角,体幹側屈・回旋角度を測定した。次に端座位にて疼痛のない範囲で骨盤前傾・後傾の最大骨盤傾斜角を測定した。骨盤傾斜角は上前腸骨棘と大転子を結んだ線と大転子を通る水平線とのなす角とし,体幹側屈・回旋角度は日本整形外科学会が制定する測定法に準じた。骨盤傾斜角,体幹側屈角の測定にはタイガー医療器レベルゴニオメーターを,体幹回旋角は酒井医療株式会社プラスチック角度計を使用した。また,体幹筋持久力を伊藤らの体幹筋持久力評価法を用い,腹筋持久力は両膝屈曲位で体幹挙上し肩甲骨下角が床に着くまでの時間,背筋持久力は胸骨を浮かし,剣状突起が床に着いた時間を測定した。いずれも両手は後頭部で組み下肢の固定は行わなかった。各測定は計2回別日に実施し,その平均値を使用した。統計処理はMann-WhitneyのU検定で2群間の比較を行い有意水準5%とした。
【結果】骨盤傾斜角(右/左)は姿勢①なし群78.8±5.6度/82.2±5.5度,あり群94.7±6.7度/97.3±6.3度,姿勢②なし群70.3±3.1度/74.5±2.9度,あり群77.3±4.6度/80.8±4.1度,姿勢③なし群71.8±4.1度/76.3±4.4度,あり群78.2±6.0度/82.5±6.6度でどの姿勢でも有意差を認めた。体幹側屈角は姿勢①両群間に有意差はなく,姿勢②なし群0.5±0.4度/あり群1.4±0.9度,姿勢③なし群0.6±0.5度/あり群1.3±0.8度で有意差を認めた。体幹回旋角度,骨盤前後傾可動域,腹筋持久力に有意差はなかった。背筋持久力はなし群57.7±18.5秒,あり群39.1±26.0秒で有意差を認めた。
【考察】意識的または無意識的な端座位姿勢において腰痛有訴者が非有訴者より骨盤後傾する要因として,腰痛有訴者の背筋持久力の低下による骨盤後傾位での動作が習慣化され偏位した姿勢アライメントが構築されるためと推測される。さらに骨盤後傾は下部脊椎を固定化し上部脊椎に左右不均衡な運動を強いらせ,その偏位した姿勢が意識的な端座位において腰痛有訴者の体幹側屈を誘発したと推察される。以上より,意識的に正しいアライメントでの座位保持能力の向上を図ることは腰痛有訴者に対し有効な治療手段の一つとした。