The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本心血管理学療法学会企画 » シンポジウム2

[HT-3] シンポジウム2 心臓リハビリテーションにおける継承と創生

Sat. May 13, 2017 10:50 AM - 12:20 PM B2会場 (東京ベイ幕張ホール No. 3・4)

座長:松永 篤彦(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科), 座長:渡辺 敏(聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部)

日本心血管理学療法学会企画

[HT-3-3] 心臓リハビリテーションにおける臨床指標の継承と創生

山本 周平 (信州大学医学部附属病院リハビリテーション部)

本邦では1956年に心筋梗塞患者に対する積極的な運動療法が提唱され,心筋梗塞や狭心症に対する心臓リハビリテーションを中心に発展してきた。当時は年齢層も比較的若い層が多い傾向にあったが,2016年の内閣府調査によると65歳以上の高齢者の割合は26.7%であり,2060年には高齢者が人口の約40%に達すると推定されている。またRotterdam studyから,高齢化に追従するように心不全患者数も急増することが明らかとなっており,本邦でも心不全有病率は2055年まで高止まりすると推計されている。超高齢社会,心不全パンデミックに対する特異的な評価ならびに介入が求められている。

心臓リハビリテーションの大きな目的は再発予防と生命予後の改善である。心肺運動負荷試験(CPX)から得られる運動耐容能指標は再発や生命予後に強く関与することから,我々はCPXから得られた運動耐容能の結果をフィードバックし適切な運動指導を行う。しかしながら,上述の通り対象が高齢化していることから,必ずしも生命予後の指標としてCPX評価が実施出来ないケースも多い。“高齢”,“心不全”をキーワードとした際に,大きな問題がADL障害とADL障害に陥る前のフレイル(虚弱)の存在である。心不全患者を対象とした大規模コホート研究によると,ADL障害の合併は約3年以内の死亡率を2.3倍に高めることが報告されているが,特筆すべきはADL障害に至っていないフレイルの状態でも非フレイルと比較して死亡率が2.1倍とADL障害合併と同様に死亡率が高い点である。欧州心臓病学会においても高齢心疾患患者のゴールは移動能力の維持および向上であると明示されており,歩行速度や筋力低下等のフレイル評価が直接的に疾病管理に寄与することを示している。

本シンポジウムでは,筆者らの研究結果を中心に疾病管理の一環としてのフレイルの評価,そしてADLレベルに合わせ従来通り継承すべき評価,そしてこれから創生すべき評価を提案させていただく。