[KS-4-1] 難治性疼痛のリハビリテーション研究
①幻肢痛に対するリハビリテーション研究
幻肢痛を有する多くの患者は,幻肢をイメージの中で動かすことができない(幻肢の随意運動をしているような知覚ができない)という作業仮説が報告されていた。我々は,「ヒトの両手運動は片側の運動によって干渉される」という特性を利用して,幻肢の随意運動を健肢で定量評価することに成功しており,定量化された幻肢の随意運動と幻肢痛との間に有意な相関関係があるということを明らかにした(Osumi, Sumitani, et al., Neurosci Lett 2015)。そして,仮想現実(Virtual Reality:VR)を用いたリハビリテーションで,あたかも幻肢が動いているかのような経験を積むことによって,幻肢の随意運動が獲得され,幻肢痛が改善することを明らかにした(Osumi, Sumitani, et al., Eur J Pain 2016)。このことは,幻肢痛のリハビリテーションにおけるエビデンス構築になるとともに,幻肢痛の発現機序の一端を明らかにする研究となった。
②複合性局所疼痛症候群(Complex Regional Pain Syndrome:CRPS)に対するリハビリテーション研究
CRPSは四肢外傷後に生じる難治性疼痛であり,疼痛以外にも知覚-運動協応の破綻が生じていると報告されている。我々は上肢CRPSの到達運動を3次元位置計測システムによって計測し,得られた座標データから時系列速度を算出し,運動企図を反映する「加速期」と感覚フィードバックによる運動調整を反映する「減速期」の2つの運動フェーズに分けた。そして,運動企図を反映する加速期では運動の過小化および緩慢化が認められることを報告した(Osumi, Sumitani, et al., J Pain Res 2016)。運動の過小化・緩慢化は運動恐怖心と密接に関係していることから,CRPS患者の運動企図は運動恐怖によって修飾されてしまっていることを明らかにした。このことは,CRPS患者の運動特性を明らかにするだけでなく,患者教育を取り入れた運動療法の重要性を示す研究となった。
幻肢痛を有する多くの患者は,幻肢をイメージの中で動かすことができない(幻肢の随意運動をしているような知覚ができない)という作業仮説が報告されていた。我々は,「ヒトの両手運動は片側の運動によって干渉される」という特性を利用して,幻肢の随意運動を健肢で定量評価することに成功しており,定量化された幻肢の随意運動と幻肢痛との間に有意な相関関係があるということを明らかにした(Osumi, Sumitani, et al., Neurosci Lett 2015)。そして,仮想現実(Virtual Reality:VR)を用いたリハビリテーションで,あたかも幻肢が動いているかのような経験を積むことによって,幻肢の随意運動が獲得され,幻肢痛が改善することを明らかにした(Osumi, Sumitani, et al., Eur J Pain 2016)。このことは,幻肢痛のリハビリテーションにおけるエビデンス構築になるとともに,幻肢痛の発現機序の一端を明らかにする研究となった。
②複合性局所疼痛症候群(Complex Regional Pain Syndrome:CRPS)に対するリハビリテーション研究
CRPSは四肢外傷後に生じる難治性疼痛であり,疼痛以外にも知覚-運動協応の破綻が生じていると報告されている。我々は上肢CRPSの到達運動を3次元位置計測システムによって計測し,得られた座標データから時系列速度を算出し,運動企図を反映する「加速期」と感覚フィードバックによる運動調整を反映する「減速期」の2つの運動フェーズに分けた。そして,運動企図を反映する加速期では運動の過小化および緩慢化が認められることを報告した(Osumi, Sumitani, et al., J Pain Res 2016)。運動の過小化・緩慢化は運動恐怖心と密接に関係していることから,CRPS患者の運動企図は運動恐怖によって修飾されてしまっていることを明らかにした。このことは,CRPS患者の運動特性を明らかにするだけでなく,患者教育を取り入れた運動療法の重要性を示す研究となった。