The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会企画 » シンポジウム

[MT-2] シンポジウム 運動器理学療法におけるエビデンスの構築に向けて

Sat. May 13, 2017 10:50 AM - 12:20 PM A1会場 (幕張メッセ国際会議場 コンベンションホール)

座長:木藤 伸宏(広島国際大学総合リハビリテーション学部), 座長:常盤 直孝(川越整形外科リハビリテーション室)

日本運動器理学療法学会企画

[MT-2-3] 多施設間共同研究における取り組み

加藤 浩 (九州看護福祉大学看護福祉学部リハビリテーション学科)

筆者は理学療法士の資格を取得後,大学病院に就職し,12年間の臨床経験を積んだ。その後,研究者として大学に異動し,今年で15年目を迎える。そして,これまでの27年間の仕事を振り返ったとき,臨床現場と研究現場で共に一貫して大切にしてきたことがある。それは「臨床研究」へのこだわりである。理学療法は言うまでもなく,臨床現場から生まれた臨床の学問,即ち,「実学」である。それゆえ,筆者は日々の臨床で直面してきた問題が,そのまま自身の研究テーマに直結する,即ち,臨床に資する臨床研究にこだわってきた。しかし,現在,筆者の所属している大学は,研究機器環境には極めて恵まれているが,附属病院等の臨床施設を併設していないため,臨床研究を継続することは困難であった。そこで,大学の外に目を向け,志を共にする臨床施設の理学療法士と協力,連携することで,臨床研究の実践を可能にしてきた。本来の多施設間共同研究とは,同一の研究デザイン・対象・評価により,被検者を2施設以上の多施設にて募集し研究を進めていく手法である。しかし,現状の日本において臨床現場の理学療法士だけで研究デザインを構築・実践することは容易なことではない。また,大学の研究者だけでエビデンスを構築することも難しい。そこで,まず多施設間共同研究を発展させるための第一歩として,研究のノウハウを持った大学と臨床現場の共同研究の活性化が重要であると考える。本シンポジウムではその共同研究の実践モデルの1部を紹介し,今後の運動器理学療法におけるエビデンスの構築に向けて展望してみたい。