[MT-2-2] 臨床現場における取り組み
理学療法はサイエンス(科学)とアート(定性部分)の融合であり,両者のバランスが重要であることはいうまでもない。
質が保証された理学療法を行うために,理学療法士は最良のエビデンスを用い,治療にあたる必要がある。例えば,変形性膝関節症に対するエビデンスレベルが高いとされる治療ガイドラインもいくつか報告されているが,変形性膝関節症という大きなカテゴリーで捉えたガイドラインでは,様々な病態や臨床症状を呈する個々の患者に対応することが困難である。すなわち,変形性膝関節症という1つの疾患名のカテゴリーから出されたエビデンスのみでは,臨床における個別性に対応しにくいということである。今後,変形性膝関節症を病態や臨床症状,あるいは運動学・運動力学的に特徴づけたサブカテゴリーに分類し,エビデンスを構築していくことが重要である。
運動器疾患において,理学療法士が適切な理学療法を提供するためには,単に疾患名に依存した理学療法ではなく,いかに機能障害を評価し,その障害を治療対象とする理学療法に発想を転換することが必要である。我々はこれまでの教育の中で,疾患名から評価項目を抽出し,治療を展開すること,すなわち疾患名ベースの理学療法学を学んできた。しかし,このような思考過程のみでは,理学療法士が最も得意とする対象者の訴えや症状から病態を推測し,仮説に基づき適切な検査法を選択して,対象者に最も適した介入方法を決定していく臨床推論の過程を複雑にし,疾患と機能障害を区別しにくい。
本シンポジウムでは,変形性膝関節症を例として,臨床現場でのエビデンスの構築,利用の現状について述べる。
質が保証された理学療法を行うために,理学療法士は最良のエビデンスを用い,治療にあたる必要がある。例えば,変形性膝関節症に対するエビデンスレベルが高いとされる治療ガイドラインもいくつか報告されているが,変形性膝関節症という大きなカテゴリーで捉えたガイドラインでは,様々な病態や臨床症状を呈する個々の患者に対応することが困難である。すなわち,変形性膝関節症という1つの疾患名のカテゴリーから出されたエビデンスのみでは,臨床における個別性に対応しにくいということである。今後,変形性膝関節症を病態や臨床症状,あるいは運動学・運動力学的に特徴づけたサブカテゴリーに分類し,エビデンスを構築していくことが重要である。
運動器疾患において,理学療法士が適切な理学療法を提供するためには,単に疾患名に依存した理学療法ではなく,いかに機能障害を評価し,その障害を治療対象とする理学療法に発想を転換することが必要である。我々はこれまでの教育の中で,疾患名から評価項目を抽出し,治療を展開すること,すなわち疾患名ベースの理学療法学を学んできた。しかし,このような思考過程のみでは,理学療法士が最も得意とする対象者の訴えや症状から病態を推測し,仮説に基づき適切な検査法を選択して,対象者に最も適した介入方法を決定していく臨床推論の過程を複雑にし,疾患と機能障害を区別しにくい。
本シンポジウムでは,変形性膝関節症を例として,臨床現場でのエビデンスの構築,利用の現状について述べる。