第52回日本理学療法学術大会

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[O-ED-02] 口述演題(教育)02

管理運営

2017年5月13日(土) 10:50 〜 11:50 A6会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室303)

座長:小山 理惠子(鎌倉リハビリテーション聖テレジア病院リハビリテーション部)

日本理学療法教育学会

[O-ED-02-6] 回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価体制構築と検証

松浦 道子1, 玉村 悠介1, 吉川 創1, 錦見 俊雄2 (1.社会医療法人若弘会わかくさ竜間リハビリテーション病院療法部, 2.社会医療法人若弘会わかくさ竜間リハビリテーション病院診療部)

キーワード:回復期, 管理体制, アウトカム

【はじめに,目的】

平成28年度診療報酬改定では,回復期リハビリテーション(以下,リハビリ)病棟において,FIM運動項目と在棟日数からなる実績指数を用いた,アウトカム評価が導入された。当院でも改定に対応して,アウトカム評価体制を構築した。アウトカム評価対象からの除外者選定は,2病棟の専従医師,看護師,療法士,社会福祉士,医療事務職が,退棟時予測をもとに合議にて行っている。今回,その評価体制の検証を行った。


【方法】

対象は,当院回復期リハビリ病棟に平成28年4月1日以降入棟し,7月1日から9月30日の間に退院した患者65名(男性31名,女性34名)。平均年齢74.3±12.1歳。

方法は,当院患者データベースを用いて,後ろ向き調査を行った。退棟患者を,アウトカム評価対象者(以下,対象群)と評価対象からの除外者(以下,除外群)に分け,性別,年齢,疾患分類,高次脳機能障害有無,入院時・退院時のFIM(認知項目,運動項目),在棟日数,実績指数を比較した。分析には,χ2検定,Fisherの直接確率法,Mann-WhitneyのU検定を用いた。


【結果】

人数は,対象群51名,除外群14名。性別は,対象群男性41.7%,女性52.9%,除外群男性50%,女性50%。平均年齢は,対象群73.9±12.6歳,除外群75.8±9.9歳。疾患比率は,対象群脳血管51.0%,骨折35.3%,廃用13.7%,除外群脳血管64.3%,骨折21.4%,廃用14.3%。

評価対象からの除外基準比較では,入棟時FIM運動20点以下者比率は,対象群23.5%,除外群57.1%(p<0.05)。入棟時FIM運動76点以上者比率は,対象群2.0%,除外群7.1%。入棟時FIM認知24点以下者比率は,対象群58.8%,除外群92.9%(p<0.05)。年齢80歳以上者比率は,対象群29.4%,除外群42.9%。高次脳機能障害者比率は,対象群35.3%,除外群57.1%。

入棟時FIM運動平均は,対象群36.4点,除外群27.9点(p<0.05)。退棟時FIM運動平均は,対象群67.9点,除外群34.1点(p<0.01)。入棟時FIM認知平均は,対象群22.8点,除外群12.7点(p<0.05),退棟時FIM認知平均は,対象群26.9点,除外群13.6点(p<0.01)。FIM運動の退棟時と入棟時の差平均は,対象群31.5点,除外群6.1(p<0.01)。在棟日数/上限日数の平均は,対象群0.65,除外群0.51。実績指数は,対象群48.7点,除外群12.1点(p<0.01)。

【結論】

当院におけるアウトカム指標は,除外群と比べて対象群で高く,管理体制は機能しているといえる。また除外対象者は,入棟時FIM認知の低い者,入棟時FIM運動の低い者を中心に選定していた。退棟時の結果では,対象群と除外群の在棟日数/上限日数に差はなく,退棟時FIM運動・認知に差を認めたため,FIM向上の見込みがある者を選定していたことが示唆された。今後はさらに,能力向上予測の可視化が必要と考える。