第52回日本理学療法学術大会

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日本理学療法教育学会 » 口述発表

[O-ED-04] 口述演題(教育)04

卒前教育2

2017年5月13日(土) 18:10 〜 19:10 A5会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室302)

座長:芳野 純(帝京平成大学健康メディカル学部理学療法学科)

日本理学療法教育学会

[O-ED-04-4] 研究活動に対する取り組み姿勢は卒業時に育成されているか

逢坂 幸佳, 高橋 謙一 (四国医療専門学校理学療法学科)

キーワード:研究活動, 質問紙法, 取り組み姿勢

【はじめに,目的】

本校の研究活動に対するカリキュラムは,1年次に講義形式で基礎研究方法論,2・3年次に演習形式として基礎研究活動,4年次に卒業研究を行っている。特に基礎研究活動・卒業研究においては,担当教員によって研究題目の選定から発表方法までを身につけさせ,卒後の学問研究へ繋げることを目的に指導を行っている。しかし卒業研究に対しての調査や卒業時に研究に対する意識調査を行ったことはない。本研究の目的は,卒業時に生涯学習の一つである研究活動に取り組む姿勢が育成されているかを確認し,今後の研究教育に活かすことである。

【方法】

対象は卒業直前の4年理学療法学科と作業療法学科の学生で,本調査に同意を得た41名である。方法は質問紙法を用いて,研究に対する印象と理由,卒業後の研究への取り組みと理由,学内指導の良かった点,要望点について無記名で実施した。はい,いいえに関する統計処理は,BINOM.DIST(二項分布確率)を用いて,有意水準を5%とした。

【結果】

アンケート回収率は95%(39名/41名)であった。①「研究は難しい」は,はい38名(97.4%),いいえ1名(2.6%)で有意差を認めた(p<0.01)。②難しい理由は,デザイン設定9名(23.1%),テーマの決定8名(21.0%),考察11名(28.2%),統計6名(15.4%),まとめること3名(7.7%),知識が必要3名(7.7%),その他5名(12.8%)。③「卒業後研究に取り組むか」は,取り組む24名(61.5%),取り組まない15名(38.5%)で有意差を認めた(p<0.05)。④取り組む理由は,成長・勉強になる11名(28.2%),専門性が身に付く9名(23.1%),幅が広がる2名(5.1%),卒論を活かしたい2名(5.1%)。⑤取り組まない理由は,研究より臨床手技が大事7名(17.9%),大変3名(7.7%),余裕がない2名(5.1%),実施したい研究がない2名(5.1%),必要と思わない1名(2.6%)。⑥学内研究指導で良かった点(選択回答・複数回答)は,教員の指導内容23名(59.0%),図書室・書籍の充実19名(48.7%),研究期間7名(17.9%),測定器具6名(15.4%),講義内容6名(15.4%)であった。⑦研究指導への要望は,指導を多くする1名(2.6%),器具が少ない1名(2.6%),器具が古い1名(2.6%),文献が少ない1名(2.6%),統計処理を教えてほしい1名(2.6%)であった。

【結論】

研究に取り組みたい学生は多く,卒業時に研究活動に対する取り組み姿勢が養われていることが分かった。これは研究が難しいと感じていても基礎研究活動や卒業研究を通して成長できたことや専門性が身に着いた経験ができたためと考える。一方,取り組みたくない学生の中には,研究より臨床手技が大事という意見が聞かれた。これは卒業直前で臨床への不安が強く,臨床技術の向上が最優先と捉えていることが考えられる。今後は,臨床と研究の相互依存を示し,研究の必要性をさらに指導していくことが必要と考える。