[O-HT-01-3] 心臓リハビリテーション患者における運動耐容能と骨格筋評価の関係について
Keywords:心疾患, 運動耐容能, 筋輝度
【はじめに,目的】
心疾患患者において骨格筋機能は運動耐容能と関連する。非侵襲的な骨格筋評価は筋力や筋量の評価が一般的であるが,近年骨格筋の質的評価手法として,超音波診断装置による骨格筋輝度測定が用いられてきた。筋輝度は筋内脂肪の浸潤や非収縮組織の増加により高値を示すと言われている。筋の質的評価と運動耐容能の関係を検討した報告は散見するが,心臓リハビリテーション(心リハ)患者における筋輝度測定を用いた質的評価は臨床的に一般化されていない。そこで本研究の目的は心リハ患者における運動耐容能を規定する要因として従来の骨格筋評価に質的評価を含めて検討することである。
【方法】
試験デザインは1施設後ろ向き観察研究で,対象は2015年6月~2016年9月までに新規に回復期外来心リハを導入した25名(男性12名,女性13名,平均年齢70.0±11.9歳)で全例3ヶ月間の通院型心リハを完遂した。通院型心リハは週1回,嫌気性代謝閾値(AT)レベルの強度による有酸素運動20分,レジスタンストレーニング20分,ストレッチ20分の合計60分で構成された。介入前に超音波筋輝度および筋厚測定,膝伸展筋力,生体電気インピーダンス(BIA)法による全身筋量,心肺運動負荷試験(CPX)によるPeak VO2とAT VO2を測定し,3ヶ月後に再評価を施行した。統計学的解析は,同時期における各種評価の関連をピアソン相関係数を用いて検討し,さらに運動耐容能と相関が見られた項目に対し,ステップワイズ法による重回帰分析を行った。いずれの検定において有意水準は5%未満とした。
【結果】
リハビリ介入時のPeak VO2(14.5±4.7)は筋輝度(58.6±12.1,r=-.566,p<.01),筋厚(2.49±0.71,r=.670,p<.01),筋力(29.9±12.6,r=.694,p<.01),筋量(40.2±9.4,r=.448,p<.01),いずれも相関を認め,3ヶ月後も同様であった。しかし3ヶ月間の変化値⊿Peak VO2は,いずれの変化値とも相関は認めなかった。Peak VO2を従属変数とした重回帰分析では,リハビリ介入時に筋力(β=.694,p<.01),3ヶ月後は筋輝度(β=-.595,p<.01)が抽出された。
【結論】
骨格筋機能はVO2を規定する重要な因子であるが,心リハ患者のDeconditioningにより骨格筋回復段階は異なり,各種骨格筋評価は患者の回復段階を推察しプログラム調整に寄与すると思われる。特に筋輝度を用いた筋の質的評価は維持期心リハ患者の運動耐容能に影響を与える可能性がある。
心疾患患者において骨格筋機能は運動耐容能と関連する。非侵襲的な骨格筋評価は筋力や筋量の評価が一般的であるが,近年骨格筋の質的評価手法として,超音波診断装置による骨格筋輝度測定が用いられてきた。筋輝度は筋内脂肪の浸潤や非収縮組織の増加により高値を示すと言われている。筋の質的評価と運動耐容能の関係を検討した報告は散見するが,心臓リハビリテーション(心リハ)患者における筋輝度測定を用いた質的評価は臨床的に一般化されていない。そこで本研究の目的は心リハ患者における運動耐容能を規定する要因として従来の骨格筋評価に質的評価を含めて検討することである。
【方法】
試験デザインは1施設後ろ向き観察研究で,対象は2015年6月~2016年9月までに新規に回復期外来心リハを導入した25名(男性12名,女性13名,平均年齢70.0±11.9歳)で全例3ヶ月間の通院型心リハを完遂した。通院型心リハは週1回,嫌気性代謝閾値(AT)レベルの強度による有酸素運動20分,レジスタンストレーニング20分,ストレッチ20分の合計60分で構成された。介入前に超音波筋輝度および筋厚測定,膝伸展筋力,生体電気インピーダンス(BIA)法による全身筋量,心肺運動負荷試験(CPX)によるPeak VO2とAT VO2を測定し,3ヶ月後に再評価を施行した。統計学的解析は,同時期における各種評価の関連をピアソン相関係数を用いて検討し,さらに運動耐容能と相関が見られた項目に対し,ステップワイズ法による重回帰分析を行った。いずれの検定において有意水準は5%未満とした。
【結果】
リハビリ介入時のPeak VO2(14.5±4.7)は筋輝度(58.6±12.1,r=-.566,p<.01),筋厚(2.49±0.71,r=.670,p<.01),筋力(29.9±12.6,r=.694,p<.01),筋量(40.2±9.4,r=.448,p<.01),いずれも相関を認め,3ヶ月後も同様であった。しかし3ヶ月間の変化値⊿Peak VO2は,いずれの変化値とも相関は認めなかった。Peak VO2を従属変数とした重回帰分析では,リハビリ介入時に筋力(β=.694,p<.01),3ヶ月後は筋輝度(β=-.595,p<.01)が抽出された。
【結論】
骨格筋機能はVO2を規定する重要な因子であるが,心リハ患者のDeconditioningにより骨格筋回復段階は異なり,各種骨格筋評価は患者の回復段階を推察しプログラム調整に寄与すると思われる。特に筋輝度を用いた筋の質的評価は維持期心リハ患者の運動耐容能に影響を与える可能性がある。