[O-KS-14-1] 角度,時間情報からみた起き上がり動作の再現性の検討
Keywords:起き上がり, 三次元動作解析システム, 再現性
【はじめに,目的】起き上がり動作は基本的動作に位置づけられ,遂行可能な前提により日常生活が成り立つ。しかし,起き上がりに関する報告はビデオカメラを用いた定性的なものが殆どであり,定量的には,起き上がり完了までの所要時間を指標とした報告が散見するのみである。さらに,同一の対象に起き上がり動作を10回施行させると10回とも同じ起き上がりパターンを呈するものはないとの報告もある。そこで,本研究の目的は,起き上がり動作を角度と時間情報から定量的に評価し,その再現性を検討することとした。
【方法】対象は,平均年齢21歳,平均身長171.2cm,平均体重63.8kgの健常成人男性10名であった。身体部位計26ヶ所に赤外線反射マーカを貼付した。起き上がり時のマーカ情報を三次元動作解析システム(MAC 3D System,Motion Analysis)にて収録(frame rate 100Hz)し,データ統合解析プログラム(KineAnalyzer,キッセイコムテック)を用い,頚部屈曲・回旋,体幹屈曲・回旋の角度・時間情報を算出した。動作は,対象の自由な方法および速度で3回施行し,口頭合図にてプラットホーム上に背臥位で静止した状態から,右側へ端座位になるまでとした。身体各部位のマーカ情報から加速度を算出し,背臥位の状態3000msの3軸(X-Y-Z)の合成加速度が平均値+3SDを超える時点を動作開始,頭頂部の合成加速度が平均値+3SDに戻る時点を動作の終了と定義した。その後,最も時間データの短いサンプルを基準としてデータ数で正規化を行った。対象10名の3回の起き上がり時の最大角度と最小角度の差および動作時間,最大角度までの到達時間から級内相関係数(ICC)を求め,起き上がり動作の再現性の検討を行った。統計処理は,統計処理ソフト(SPSS Statistics Ver.21)を用い有意水準は5%とした。
【結果】角度情報のICC(1,1)(1,3)はそれぞれ,頚部屈曲(0.615,0.827),体幹屈曲(0.445,0.706)であった。頚部回旋,体幹回旋に関しては,有意な級内相関係数は得られなかった。動作時間のICC(1,1)(1,3)は(0.765,0.907)であった。到達時間のICC(1,1)(1,3)は体幹屈曲(0.365,0.633),頚部回旋(0.515,0.761)であり,頚部屈曲,体幹回旋は有意な級内相関係数は得られなかった。
【結論】本研究は,起き上がり動作の定量的解析による再現性に関して角度,時間情報を基に検討した。結果より角度情報は矢状面上において複数回測定することで一定の再現性が得られるが,水平面上の関節運動に関しては,個人により多様性がみられ,起き上がり動作を観察する際には注意深く観察することの重要性が示唆された。また,動作時間に高い再現性が得られ,最大角度までの到達時間で再現性が得られなかった事も,動作パターンの多様性を意味していると考えられる。そのため,起き上がり動作を定量的に観察するためには,角度情報のみではなく,筋電図等の指標を用い,関節運動のタイミングに関して検討していく必要性がある。
【方法】対象は,平均年齢21歳,平均身長171.2cm,平均体重63.8kgの健常成人男性10名であった。身体部位計26ヶ所に赤外線反射マーカを貼付した。起き上がり時のマーカ情報を三次元動作解析システム(MAC 3D System,Motion Analysis)にて収録(frame rate 100Hz)し,データ統合解析プログラム(KineAnalyzer,キッセイコムテック)を用い,頚部屈曲・回旋,体幹屈曲・回旋の角度・時間情報を算出した。動作は,対象の自由な方法および速度で3回施行し,口頭合図にてプラットホーム上に背臥位で静止した状態から,右側へ端座位になるまでとした。身体各部位のマーカ情報から加速度を算出し,背臥位の状態3000msの3軸(X-Y-Z)の合成加速度が平均値+3SDを超える時点を動作開始,頭頂部の合成加速度が平均値+3SDに戻る時点を動作の終了と定義した。その後,最も時間データの短いサンプルを基準としてデータ数で正規化を行った。対象10名の3回の起き上がり時の最大角度と最小角度の差および動作時間,最大角度までの到達時間から級内相関係数(ICC)を求め,起き上がり動作の再現性の検討を行った。統計処理は,統計処理ソフト(SPSS Statistics Ver.21)を用い有意水準は5%とした。
【結果】角度情報のICC(1,1)(1,3)はそれぞれ,頚部屈曲(0.615,0.827),体幹屈曲(0.445,0.706)であった。頚部回旋,体幹回旋に関しては,有意な級内相関係数は得られなかった。動作時間のICC(1,1)(1,3)は(0.765,0.907)であった。到達時間のICC(1,1)(1,3)は体幹屈曲(0.365,0.633),頚部回旋(0.515,0.761)であり,頚部屈曲,体幹回旋は有意な級内相関係数は得られなかった。
【結論】本研究は,起き上がり動作の定量的解析による再現性に関して角度,時間情報を基に検討した。結果より角度情報は矢状面上において複数回測定することで一定の再現性が得られるが,水平面上の関節運動に関しては,個人により多様性がみられ,起き上がり動作を観察する際には注意深く観察することの重要性が示唆された。また,動作時間に高い再現性が得られ,最大角度までの到達時間で再現性が得られなかった事も,動作パターンの多様性を意味していると考えられる。そのため,起き上がり動作を定量的に観察するためには,角度情報のみではなく,筋電図等の指標を用い,関節運動のタイミングに関して検討していく必要性がある。