[O-MT-03-1] ストレッチポールひめトレが身体に影響を与える期間について
―腹横筋と座位の重心動揺に着目して―
Keywords:ストレッチポールひめトレ, 腹横筋, 重心動揺
【はじめに,目的】
2010年,株式会社LPNにより骨盤底筋群のトレーニングとして,ストレッチポールひめトレ(以下,SPH)というツールが開発された。我々は過去3年間の日本理学療法学術大会で,SPHの効果について検証し発表してきた。先行研究ではSPHの効果について期間に関する検証は,まだされていない。今回は,重心動揺面積と腹横筋筋厚に着目し,SPHを用いたトレーニングを行い,身体に影響が現れるまでの期間を検証することを目的とした。
【方法】
対象者は,男性学生43名(21.6±1.1歳)。トレーニング群(以下,A群)22名,コントロール群(以下,B群)21名を無作為に設定した。A群はトレーニングを週3回,4週間継続して行った。林田らの研究をもとにトレーニングはJCCAが推奨するものを1.5倍の回数に設定した。実験初日に測定を行い,A群は毎週トレーニング3回目に測定,B群は毎週測定を行った。測定機器として,腹横筋筋厚の測定には超音波診断装置(Nemio XG SSA-580A:東芝社製),重心動揺面積の測定にはバランスWiiボード(以下,Wiiボード:任天堂社製)を使用した。重心動揺面積は,高さ40cmの台に乗せたWiiボード上に座り,姿勢は股・膝関節90°屈曲位,足は腰幅に開き足底を接地させ,測定時間は10秒とした。腹横筋筋厚の測定は,安静臥位とし上肢は体幹につけ下肢は伸展位とした。布施らの先行研究からプローブ圧を0.5N以下とし,測定位置は前腋窩線上で肋骨下縁と腸骨稜の中央にて測定を行った。撮影した画像は画像解析ソフトImage Jを用いて解析した。測定結果をもとにA群とB群の比較を行った。統計学的解析はIBM SPSS statics23を使用し,Student's T-test,Welch's T-test,Mann-Whitney検定を用いた。有意水準は5%未満とした。筋厚測定の信頼性は,級内相関係数(以下,ICC)を用いて,検者内信頼性を確認した。
【結果】
ICC(1.3)の結果,筋厚測定については0.916と高い信頼性を得た。座位重心動揺面積は,A群に4週間後に有意な減少が認められた(P<0.05)。腹横筋筋厚については,A群においてトレーニング4週間後に有意な増加が認められた(P<0.05)。
【結論】
本研究によりSPHを使用したトレーニングを行うことで,4週間後に腹横筋筋厚の増加,並びに座位重心動揺面積の減少効果が明らかとなった。Carriereらによると「骨盤底筋群,腹横筋はインナーマッスルとして体幹の安定性に関与する」と述べている。また,山内は「トレーニング開始後20日まで筋力の増加は筋横断面積の増加を伴わず,その後は筋力の増加と筋横断面積の増加が平行する」と述べており,このことから,SPHを使用したトレーニングは効果出現期間として,4週間継続することで効果の発揮が期待できると示唆された。今後はさらに個体数を増やし,効果的な負荷量やアウターマッスルへの影響についても詳細に検討していく必要がある。
2010年,株式会社LPNにより骨盤底筋群のトレーニングとして,ストレッチポールひめトレ(以下,SPH)というツールが開発された。我々は過去3年間の日本理学療法学術大会で,SPHの効果について検証し発表してきた。先行研究ではSPHの効果について期間に関する検証は,まだされていない。今回は,重心動揺面積と腹横筋筋厚に着目し,SPHを用いたトレーニングを行い,身体に影響が現れるまでの期間を検証することを目的とした。
【方法】
対象者は,男性学生43名(21.6±1.1歳)。トレーニング群(以下,A群)22名,コントロール群(以下,B群)21名を無作為に設定した。A群はトレーニングを週3回,4週間継続して行った。林田らの研究をもとにトレーニングはJCCAが推奨するものを1.5倍の回数に設定した。実験初日に測定を行い,A群は毎週トレーニング3回目に測定,B群は毎週測定を行った。測定機器として,腹横筋筋厚の測定には超音波診断装置(Nemio XG SSA-580A:東芝社製),重心動揺面積の測定にはバランスWiiボード(以下,Wiiボード:任天堂社製)を使用した。重心動揺面積は,高さ40cmの台に乗せたWiiボード上に座り,姿勢は股・膝関節90°屈曲位,足は腰幅に開き足底を接地させ,測定時間は10秒とした。腹横筋筋厚の測定は,安静臥位とし上肢は体幹につけ下肢は伸展位とした。布施らの先行研究からプローブ圧を0.5N以下とし,測定位置は前腋窩線上で肋骨下縁と腸骨稜の中央にて測定を行った。撮影した画像は画像解析ソフトImage Jを用いて解析した。測定結果をもとにA群とB群の比較を行った。統計学的解析はIBM SPSS statics23を使用し,Student's T-test,Welch's T-test,Mann-Whitney検定を用いた。有意水準は5%未満とした。筋厚測定の信頼性は,級内相関係数(以下,ICC)を用いて,検者内信頼性を確認した。
【結果】
ICC(1.3)の結果,筋厚測定については0.916と高い信頼性を得た。座位重心動揺面積は,A群に4週間後に有意な減少が認められた(P<0.05)。腹横筋筋厚については,A群においてトレーニング4週間後に有意な増加が認められた(P<0.05)。
【結論】
本研究によりSPHを使用したトレーニングを行うことで,4週間後に腹横筋筋厚の増加,並びに座位重心動揺面積の減少効果が明らかとなった。Carriereらによると「骨盤底筋群,腹横筋はインナーマッスルとして体幹の安定性に関与する」と述べている。また,山内は「トレーニング開始後20日まで筋力の増加は筋横断面積の増加を伴わず,その後は筋力の増加と筋横断面積の増加が平行する」と述べており,このことから,SPHを使用したトレーニングは効果出現期間として,4週間継続することで効果の発揮が期待できると示唆された。今後はさらに個体数を増やし,効果的な負荷量やアウターマッスルへの影響についても詳細に検討していく必要がある。