[O-MT-03-3] 大腿骨近位部骨形態を指標とした大腿骨前捻角の予測
Keywords:前捻角予測, CT画像, 近位大腿骨
【背景】
大腿骨前捻角は,股関節の運動を考えるうえで重要な因子である。前捻角は後顆軸と頚部軸のなす角を計測するが,臨床の股関節CT撮影は大腿骨近位部の撮影範囲までのことがほとんどで,大腿骨後顆軸が不明である。本研究の目的は,大腿骨近位部のCT画像から前捻角を予測する方法を明らかにすることである。
【方法】
札幌医科大学所蔵の骨学的異常のない大腿骨骨標本40体と札幌医科大学病院整形外科を受診して寛骨臼形成不全と診断された40名のCT画像をもちいた。CT画像を三次元画像ソフトにより三次元構築し,三次元コンピューター支援設計ツールソフトで計測した。はじめに前捻角を計測し,前捻角予測因子として大腿骨近位部のランドマークである大転子,小転子,粗線のなす角をそれぞれ計測した。これらを水平面投影角で計測し,独立変数とした。また,前捻角を従属変数としてステップワイズ法で適切な変数を選択した。これらの変数を使った重回帰分析により,前捻角予測式および予測値の95%誤差範囲を算出した。
【結果】
ステップワイズ法から導き出された適切な変数は,大転子後縁―大転子外側縁―大腿骨頚部軸のなす角(GLP av)および小転子後縁―大転子外側縁―大転子後縁のなす角(GPLL angle)の2つであった。正常におけるGLP avおよびGPLL angleを変数とした重回帰式は以下(1)であった。
前捻角予測値=(1.09×GLP av)+(0.08×GPLL angle)-46.00…(1)
このとき,R=0.92,R2=0.85,予測値の95%予測区間は3.27-4.82°であった。
また形成不全における重回帰式は以下(2)であった。
前捻角予測値=(0.97×GLP av)+(-0.006×GPLL angle)-38.32…(2)
このときR=0.94,R2=0.87,予測値の95%予測区間は3.75-5.47°であった。
このうち,GLP avは前捻角と高い相関がみられ,前捻角予測のための単一指標となる可能性が示された。正常におけるGLP avを変数とした単回帰式は以下(3)であった。
前捻角予測値=(1.05×GLP av)-45.99…(3)
このとき,R=0.92,R2=0.85,予測値の95%予測区間は3.30-4.86°であった。
また形成不全における単回帰式は以下(4)であった。
前捻角予測値=(0.97×GLP av)-38.32…(4)
このときR=0.94,R2=0.87,予測値の95%予測区間は3.75-5.47°であった。
これら計測値を臨床のCT画像で計測するためには,大腿骨頭中心・大転子外側縁・後縁の座標からベクトルの内積をもちいることで簡便に計測することが可能である。
【結論】
後顆軸が不明なCT画像からGLP av(大転子外側縁-大転子後縁-大腿骨頚部軸)およびGPLL(大転子後縁-大転子外側縁-小転子後縁)を評価することで,高い精度で前捻角を予測することが可能である。また,GLP avのみでも十分な精度で前捻角を予測できることが明らかになった。したがって,大腿骨遠位部が撮影されていない大腿骨近位部のCT画像でも,本研究の前捻角予測法により簡便に前捻角を予測することが可能である。
大腿骨前捻角は,股関節の運動を考えるうえで重要な因子である。前捻角は後顆軸と頚部軸のなす角を計測するが,臨床の股関節CT撮影は大腿骨近位部の撮影範囲までのことがほとんどで,大腿骨後顆軸が不明である。本研究の目的は,大腿骨近位部のCT画像から前捻角を予測する方法を明らかにすることである。
【方法】
札幌医科大学所蔵の骨学的異常のない大腿骨骨標本40体と札幌医科大学病院整形外科を受診して寛骨臼形成不全と診断された40名のCT画像をもちいた。CT画像を三次元画像ソフトにより三次元構築し,三次元コンピューター支援設計ツールソフトで計測した。はじめに前捻角を計測し,前捻角予測因子として大腿骨近位部のランドマークである大転子,小転子,粗線のなす角をそれぞれ計測した。これらを水平面投影角で計測し,独立変数とした。また,前捻角を従属変数としてステップワイズ法で適切な変数を選択した。これらの変数を使った重回帰分析により,前捻角予測式および予測値の95%誤差範囲を算出した。
【結果】
ステップワイズ法から導き出された適切な変数は,大転子後縁―大転子外側縁―大腿骨頚部軸のなす角(GLP av)および小転子後縁―大転子外側縁―大転子後縁のなす角(GPLL angle)の2つであった。正常におけるGLP avおよびGPLL angleを変数とした重回帰式は以下(1)であった。
前捻角予測値=(1.09×GLP av)+(0.08×GPLL angle)-46.00…(1)
このとき,R=0.92,R2=0.85,予測値の95%予測区間は3.27-4.82°であった。
また形成不全における重回帰式は以下(2)であった。
前捻角予測値=(0.97×GLP av)+(-0.006×GPLL angle)-38.32…(2)
このときR=0.94,R2=0.87,予測値の95%予測区間は3.75-5.47°であった。
このうち,GLP avは前捻角と高い相関がみられ,前捻角予測のための単一指標となる可能性が示された。正常におけるGLP avを変数とした単回帰式は以下(3)であった。
前捻角予測値=(1.05×GLP av)-45.99…(3)
このとき,R=0.92,R2=0.85,予測値の95%予測区間は3.30-4.86°であった。
また形成不全における単回帰式は以下(4)であった。
前捻角予測値=(0.97×GLP av)-38.32…(4)
このときR=0.94,R2=0.87,予測値の95%予測区間は3.75-5.47°であった。
これら計測値を臨床のCT画像で計測するためには,大腿骨頭中心・大転子外側縁・後縁の座標からベクトルの内積をもちいることで簡便に計測することが可能である。
【結論】
後顆軸が不明なCT画像からGLP av(大転子外側縁-大転子後縁-大腿骨頚部軸)およびGPLL(大転子後縁-大転子外側縁-小転子後縁)を評価することで,高い精度で前捻角を予測することが可能である。また,GLP avのみでも十分な精度で前捻角を予測できることが明らかになった。したがって,大腿骨遠位部が撮影されていない大腿骨近位部のCT画像でも,本研究の前捻角予測法により簡便に前捻角を予測することが可能である。