[O-MT-12-5] ストレッチングスティック使用前後における呼吸機能・胸郭拡張差・胸椎可動性の変化について
Keywords:ストレッチングスティック, 呼吸機能, 胸郭拡張差
【はじめに,目的】
ストレッチポールエクササイズが与える影響に関しては,脊椎のリアライメント効果(杉野2006),胸郭機能改善(秋山2007),体幹柔軟性改善(伊藤2008)などが報告されている。ただ,使用する中で胸椎棘突起部分に圧痛を認めることがあった。そのため今回,ミナト医科学株式会社製ストレッチングスティック(SD-100S:以下,SS)を用い,胸椎椎間関節・肋椎関節の運動を誘発することで,呼吸機能・胸郭拡張差・胸椎可動性に及ぼす影響を調査した。
【方法】
対象は喫煙歴のない若年健常者23名(男性23名,平均年齢:20±1.0歳)とし,BMI18.5~22であった。SS上での訓練前後に,呼吸機能・胸郭拡張差・端座位両上肢下垂位及び両肘から前腕を接触した肩関節内転,屈曲位(Shoulder Adduction Flexion以下,SAF)を測定した。呼吸機能は,マイクロスパイロ(HI-201,日本光電株式会社製)を用いて肺活量(Vital Capacity:以下,VC),対標準肺活量(以下,%VC)を椅子座位で測定した。胸郭拡張差については股関節90°膝関節90°の安静座位にて,腋窩レベル:第6胸椎棘突起(以下,Th6),剣状突起レベル:第9胸椎棘突起(以下,Th9),第10肋骨レベル:第12胸椎棘突起(以下,Th12)を通る3レベルでの最大呼気時と最大吸気時の胸郭拡張差をメジャーを用いて計測した。SAFは九藤ら1)が報告している胸椎運動動態を把握するための動作であり,最大挙上位の角度を計測した。介入方法は,ミナト医科学株式会社のカタログに沿って,深呼吸に合わせた胸郭拡張運動を実施した。統計学的解析は,SS介入前後のVC,%VC,Th6・Th9・Th12の胸郭拡張差,SAFについて,対応のあるt検定を用いて値を比較した。なお,有意水準は5%とした。
【結果】
VCは0.19±0.27 l,%VCは3.42±2.93と介入後で有意な上昇を認めた(P<0.01)。胸郭拡張差(すべてcm)はTh6で介入前4.33±1.13,介入後5.59±1.00,Th9で介入前4.86±1.79,介入後5.93±1.53,Th12で介入前5.24±2.05,介入後6.30±1.84と全てにおいて介入後の有意な上昇を認めた(P<0.01)。SAFは介入前後で16.3±6°と著名な向上を認めた(P<0.01)。介入中の胸椎棘突起の圧痛は認めなかった。
【結論】
SSの特徴として,胸椎棘突起部分への直接的な刺激を避け,肋椎関節への刺激を入れることで,副運動を誘発し柔軟性向上を引き出すことが挙げられる。SS上での胸式深呼吸による胸郭のリラクセーション効果と上肢下垂・外転90度・上肢挙上位それぞれの課題により各レベルの胸郭の動きが引き出されたことで,介入前後で約1cmの拡張差の増大を認めた。その結果,胸郭ユニットの柔性向上がVC・%VCの増加に繫がったと考えられた。合わせて,SSによる下位胸椎椎間関節の可動性向上によりSAF角度の著名な向上が図れたと考えられた。本研究の結果から,SS使用により呼吸機能・胸郭拡張差・胸椎可動性の向上に影響を与えることが示唆された。
ストレッチポールエクササイズが与える影響に関しては,脊椎のリアライメント効果(杉野2006),胸郭機能改善(秋山2007),体幹柔軟性改善(伊藤2008)などが報告されている。ただ,使用する中で胸椎棘突起部分に圧痛を認めることがあった。そのため今回,ミナト医科学株式会社製ストレッチングスティック(SD-100S:以下,SS)を用い,胸椎椎間関節・肋椎関節の運動を誘発することで,呼吸機能・胸郭拡張差・胸椎可動性に及ぼす影響を調査した。
【方法】
対象は喫煙歴のない若年健常者23名(男性23名,平均年齢:20±1.0歳)とし,BMI18.5~22であった。SS上での訓練前後に,呼吸機能・胸郭拡張差・端座位両上肢下垂位及び両肘から前腕を接触した肩関節内転,屈曲位(Shoulder Adduction Flexion以下,SAF)を測定した。呼吸機能は,マイクロスパイロ(HI-201,日本光電株式会社製)を用いて肺活量(Vital Capacity:以下,VC),対標準肺活量(以下,%VC)を椅子座位で測定した。胸郭拡張差については股関節90°膝関節90°の安静座位にて,腋窩レベル:第6胸椎棘突起(以下,Th6),剣状突起レベル:第9胸椎棘突起(以下,Th9),第10肋骨レベル:第12胸椎棘突起(以下,Th12)を通る3レベルでの最大呼気時と最大吸気時の胸郭拡張差をメジャーを用いて計測した。SAFは九藤ら1)が報告している胸椎運動動態を把握するための動作であり,最大挙上位の角度を計測した。介入方法は,ミナト医科学株式会社のカタログに沿って,深呼吸に合わせた胸郭拡張運動を実施した。統計学的解析は,SS介入前後のVC,%VC,Th6・Th9・Th12の胸郭拡張差,SAFについて,対応のあるt検定を用いて値を比較した。なお,有意水準は5%とした。
【結果】
VCは0.19±0.27 l,%VCは3.42±2.93と介入後で有意な上昇を認めた(P<0.01)。胸郭拡張差(すべてcm)はTh6で介入前4.33±1.13,介入後5.59±1.00,Th9で介入前4.86±1.79,介入後5.93±1.53,Th12で介入前5.24±2.05,介入後6.30±1.84と全てにおいて介入後の有意な上昇を認めた(P<0.01)。SAFは介入前後で16.3±6°と著名な向上を認めた(P<0.01)。介入中の胸椎棘突起の圧痛は認めなかった。
【結論】
SSの特徴として,胸椎棘突起部分への直接的な刺激を避け,肋椎関節への刺激を入れることで,副運動を誘発し柔軟性向上を引き出すことが挙げられる。SS上での胸式深呼吸による胸郭のリラクセーション効果と上肢下垂・外転90度・上肢挙上位それぞれの課題により各レベルの胸郭の動きが引き出されたことで,介入前後で約1cmの拡張差の増大を認めた。その結果,胸郭ユニットの柔性向上がVC・%VCの増加に繫がったと考えられた。合わせて,SSによる下位胸椎椎間関節の可動性向上によりSAF角度の著名な向上が図れたと考えられた。本研究の結果から,SS使用により呼吸機能・胸郭拡張差・胸椎可動性の向上に影響を与えることが示唆された。