[O-MT-14-5] 運動介入が脊椎アライメントに及ぼす影響
Keywords:脊椎アライメント, 介入, ロコモティブシンドローム
【はじめに,目的】
高齢者の脊椎アライメントは,運動機能と関連があり,転倒のリスク因子としても報告されている。また,手術によりSagittal Vertical Axis(以下SVA)を改善させる事で,Quality of lifeの改善につながると報告されており,脊椎アライメントを修正し,SVAを改善させる事は,高齢者の生活の質を高める上で重要である。しかし,運動療法が脊椎アライメントに与える影響に関しては報告が少なく,レントゲン画像を用いた詳細な分析が行われた報告は見当たらない。
本研究の目的は,運動療法前後の脊椎アライメントを詳細に評価し,どのような症例に対して,運動療法が効果的なのかを検討する事である。
【方法】
対象は,運動器不安定症と診断された地域在住高齢女性51名(年齢75.3±5.5歳)である。理学療法介入は,6か月間とし,対象者に合わせて運動療法を行った。また,日本整形外科学会が推奨するロコトレをもとに,自宅での運動も指導した。
脊椎アライメントの評価は,介入前後の前額面,矢状面の脊柱全長のレントゲン画像を用いて,SVA,C2-7 angle,T1 slope,Thoracic kyphosis,Lumber lordosis(以下LL),Pelvic tilt(以下PT),Sacral slope(以下SS),Pelvic incidence,Cobb angle,Center sacral vertical line(以下CSV)とC7 plumb lineの距離を計測した。レントゲンの撮影肢位は,肩幅に足を開き,肩関節屈曲45°,肘関節を屈曲させて指先は鎖骨中央に触れることとした。
統計解析は,SVA改善の有無を従属変数,介入前のSVA以外の項目を独立変数として,ロジスティック回帰分析を実施した。また,介入前後の各項目の変化量を算出し,SVA改善の有無を従属変数,介入前後のSVA以外の項目の変化量を独立変数として,ロジスティック回帰分析を実施した。有意水準は5%とした。
【結果】
SVAが改善したのは,30人(58.8%)であった。介入前の各項目を独立変数としたロジスティック回帰分析の結果,SVAの改善と関連する要因として,PT(オッズ比=0.84,95%信頼区間=0.70-0.96)と,CSVとC7 plumb lineの距離(オッズ比=0.96,95%信頼区間=0.90-0.99)が抽出された(p<0.05)。
また,介入前後の各項目の変化量を独立変数としたロジスティック回帰分析の結果,SVAの改善と関連する要因として,T1 slope(オッズ比=0.91,95%信頼区間=0.80-0.99),LL(オッズ比=1.12,95%信頼区間=1.01-1.28),SS(オッズ比=0.88,95%信頼区間=0.77-0.98)の変化量が抽出された(p<0.05)。
【結論】
本研究の結果から,PTが小さく,CSVとC7 plumb lineの距離が短い症例に対して,運動療法が効果的である可能性が示唆された。また,T1 slopeの減少,LLの増大,SSの減少がSVAの改善に影響を及ぼす可能性があることが示唆された。
高齢者の脊椎アライメントは,運動機能と関連があり,転倒のリスク因子としても報告されている。また,手術によりSagittal Vertical Axis(以下SVA)を改善させる事で,Quality of lifeの改善につながると報告されており,脊椎アライメントを修正し,SVAを改善させる事は,高齢者の生活の質を高める上で重要である。しかし,運動療法が脊椎アライメントに与える影響に関しては報告が少なく,レントゲン画像を用いた詳細な分析が行われた報告は見当たらない。
本研究の目的は,運動療法前後の脊椎アライメントを詳細に評価し,どのような症例に対して,運動療法が効果的なのかを検討する事である。
【方法】
対象は,運動器不安定症と診断された地域在住高齢女性51名(年齢75.3±5.5歳)である。理学療法介入は,6か月間とし,対象者に合わせて運動療法を行った。また,日本整形外科学会が推奨するロコトレをもとに,自宅での運動も指導した。
脊椎アライメントの評価は,介入前後の前額面,矢状面の脊柱全長のレントゲン画像を用いて,SVA,C2-7 angle,T1 slope,Thoracic kyphosis,Lumber lordosis(以下LL),Pelvic tilt(以下PT),Sacral slope(以下SS),Pelvic incidence,Cobb angle,Center sacral vertical line(以下CSV)とC7 plumb lineの距離を計測した。レントゲンの撮影肢位は,肩幅に足を開き,肩関節屈曲45°,肘関節を屈曲させて指先は鎖骨中央に触れることとした。
統計解析は,SVA改善の有無を従属変数,介入前のSVA以外の項目を独立変数として,ロジスティック回帰分析を実施した。また,介入前後の各項目の変化量を算出し,SVA改善の有無を従属変数,介入前後のSVA以外の項目の変化量を独立変数として,ロジスティック回帰分析を実施した。有意水準は5%とした。
【結果】
SVAが改善したのは,30人(58.8%)であった。介入前の各項目を独立変数としたロジスティック回帰分析の結果,SVAの改善と関連する要因として,PT(オッズ比=0.84,95%信頼区間=0.70-0.96)と,CSVとC7 plumb lineの距離(オッズ比=0.96,95%信頼区間=0.90-0.99)が抽出された(p<0.05)。
また,介入前後の各項目の変化量を独立変数としたロジスティック回帰分析の結果,SVAの改善と関連する要因として,T1 slope(オッズ比=0.91,95%信頼区間=0.80-0.99),LL(オッズ比=1.12,95%信頼区間=1.01-1.28),SS(オッズ比=0.88,95%信頼区間=0.77-0.98)の変化量が抽出された(p<0.05)。
【結論】
本研究の結果から,PTが小さく,CSVとC7 plumb lineの距離が短い症例に対して,運動療法が効果的である可能性が示唆された。また,T1 slopeの減少,LLの増大,SSの減少がSVAの改善に影響を及ぼす可能性があることが示唆された。