[O-MT-19-5] 腰部脊柱管狭窄症手術患者の術後歩行能力に関与する身体的特徴
Keywords:腰部脊柱管狭窄症, 歩行能力, 身体的特徴
【目的】
腰部脊柱管狭窄症(以下LSS)患者では間欠性跛行に代表されるように歩行機能障害を呈することが多い。歩行機能障害は術後3ヶ月時に改善することが多いが,どういった身体的特徴が歩行能力獲得に必要なのかを調査した報告は少ない。そこで本研究の目的はLSS術後患者における術後3ヶ月時の歩行能力に関与する身体的特徴を明らかにすることである。
【方法】
対象は当院にて2016年1月~6月に脊椎専門医がLSSにて手術を施行した37名(平均年齢66.9歳,男性25名,女性12名)とした。術前,術後3ヶ月時に基礎情報,理学所見,JOA,JOABPEQを取得し,術後3ヶ月時のJOA「I-C.歩行能力に関して」の設問で「まったく正常に歩行が可能」であった患者を歩行能力良好と定義し良好群と不良群の2群に分けた。2群間の基礎情報(年齢,性別,身長,体重,BMI,有病期間,内科疾患・下肢疾患有無,処置椎間数),術前・術後3ヶ月時の理学所見(toe Walk・heel Walk可否,立ち上がりテスト,2ステップテスト(身長で除して正規化),10m歩行時間,腰痛・下肢痛・下肢しびれvisual analog scale(以下VAS)改善率(50%以下を改善と定義),術後3ヶ月時JOABPEQ歩行機能障害ドメイン獲得点数を比較した。統計学的検討ではStudent t-test,Mann-WhitneyのU検定,Fisherの正確確率検定を用いて有意水準は5%とした。
【結果】
術後3ヶ月時において良好群23名,不良群14名であり,基礎情報に有意差を認める項目はなかった。理学所見では術後3ヶ月時の立ち上がりテスト・2ステップテストに有意差を認めた。立ち上がりテストは「片脚40cmまたは両脚10cmが可能」において良好群が73%,不良群が14%であり,2ステップテストは「身長の1.15倍」をカットオフとして1.15倍以上の者の割合は良好群70%,不良群29%(感度58.8%特異度80.0%)であった。VAS改善率は全てに有意差を認め,それぞれ改善した者の割合は腰痛(良好群74%不良群36%),下肢痛(良好群91%不良群50%),下肢しびれ(良好群91%不良群43%)であった。JOABPEQ歩行機能障害ドメイン獲得点数に有意差を認め,良好群64.9±24.4,不良群30.6±22.7であった。
【結論】
村永らは立ち上がりテストと膝伸展筋力/体重比(体重支持指数WBI:weight bearing index)との関係について報告しており両脚で10cm台からの立ち上がり動作には片脚あたり51.9±14.0%,片脚で40cm台からの立ち上がり動作には62.3±14.3%必要と述べている。2ステップテストに関しても6分間歩行距離,平均歩行速度と正の相関があったと述べている。先行研究をふまえLSS術後患者が連続歩行を獲得するためには筋力が一つの因子であることが示唆された。術後3ヶ月時に連続歩行を獲得するためには「両脚で10cm台から立ち上がり動作可能」,「2ステップテストで身長の1.15倍以上ステップ可能」を具体的な目標として下肢筋力に介入することで術後3ヶ月時の歩行機能を改善することができると考える。
腰部脊柱管狭窄症(以下LSS)患者では間欠性跛行に代表されるように歩行機能障害を呈することが多い。歩行機能障害は術後3ヶ月時に改善することが多いが,どういった身体的特徴が歩行能力獲得に必要なのかを調査した報告は少ない。そこで本研究の目的はLSS術後患者における術後3ヶ月時の歩行能力に関与する身体的特徴を明らかにすることである。
【方法】
対象は当院にて2016年1月~6月に脊椎専門医がLSSにて手術を施行した37名(平均年齢66.9歳,男性25名,女性12名)とした。術前,術後3ヶ月時に基礎情報,理学所見,JOA,JOABPEQを取得し,術後3ヶ月時のJOA「I-C.歩行能力に関して」の設問で「まったく正常に歩行が可能」であった患者を歩行能力良好と定義し良好群と不良群の2群に分けた。2群間の基礎情報(年齢,性別,身長,体重,BMI,有病期間,内科疾患・下肢疾患有無,処置椎間数),術前・術後3ヶ月時の理学所見(toe Walk・heel Walk可否,立ち上がりテスト,2ステップテスト(身長で除して正規化),10m歩行時間,腰痛・下肢痛・下肢しびれvisual analog scale(以下VAS)改善率(50%以下を改善と定義),術後3ヶ月時JOABPEQ歩行機能障害ドメイン獲得点数を比較した。統計学的検討ではStudent t-test,Mann-WhitneyのU検定,Fisherの正確確率検定を用いて有意水準は5%とした。
【結果】
術後3ヶ月時において良好群23名,不良群14名であり,基礎情報に有意差を認める項目はなかった。理学所見では術後3ヶ月時の立ち上がりテスト・2ステップテストに有意差を認めた。立ち上がりテストは「片脚40cmまたは両脚10cmが可能」において良好群が73%,不良群が14%であり,2ステップテストは「身長の1.15倍」をカットオフとして1.15倍以上の者の割合は良好群70%,不良群29%(感度58.8%特異度80.0%)であった。VAS改善率は全てに有意差を認め,それぞれ改善した者の割合は腰痛(良好群74%不良群36%),下肢痛(良好群91%不良群50%),下肢しびれ(良好群91%不良群43%)であった。JOABPEQ歩行機能障害ドメイン獲得点数に有意差を認め,良好群64.9±24.4,不良群30.6±22.7であった。
【結論】
村永らは立ち上がりテストと膝伸展筋力/体重比(体重支持指数WBI:weight bearing index)との関係について報告しており両脚で10cm台からの立ち上がり動作には片脚あたり51.9±14.0%,片脚で40cm台からの立ち上がり動作には62.3±14.3%必要と述べている。2ステップテストに関しても6分間歩行距離,平均歩行速度と正の相関があったと述べている。先行研究をふまえLSS術後患者が連続歩行を獲得するためには筋力が一つの因子であることが示唆された。術後3ヶ月時に連続歩行を獲得するためには「両脚で10cm台から立ち上がり動作可能」,「2ステップテストで身長の1.15倍以上ステップ可能」を具体的な目標として下肢筋力に介入することで術後3ヶ月時の歩行機能を改善することができると考える。