[O-NV-03-6] 当院における脳梗塞発症3週後の移動能力に関わる因子について~病型別の検討~
Keywords:脳梗塞, 急性期, 歩行自立度
【はじめに,目的】当院は脳卒中患者を中心とした急性期病院であり脳梗塞患者が多いが,脳梗塞患者の予後を急性期で検討した先行研究は少ない。また脳梗塞はアテローム血栓性,心原性,ラクナの3つの病型があり,病型により予後が異なる可能性がある。そこで本研究では,病型別に脳梗塞発症3週後の移動能力に関わる因子を検討することとした。
【方法】対象は平成26年4月から平成28年3月に当院に入院した脳梗塞患者287例とした。入院期間は中央値21(14-36)日であり,発症前のmodified Rankin Scaleが2以上の者,テント下病変を除外した。入院から3週後の移動が車椅子または介助・見守り歩行を非自立群,歩行自立を自立群とし,以下の項目を比較検討した。項目は,基本情報として性別,年齢,病巣側,病型,理学療法開始日,理学療法時の端座位初回日(離床日),端座位初回日の座位自立度(初回座位),1週目評価として下肢のBrunnstrom Recovery Stage(BRS),Japan Coma Scale(JCS),表在感覚,深部感覚,端座位自立度(座位)とした。統計学的解析として,各群(非自立群,自立群)にて各項目を比較した。基本情報の性別,病巣側,病型はχ二乗独立性検定,その他の項目はMann-Whitneyの検定を行った。有意差が認められた項目について,ロジスティック回帰分析(変数増加法,尤度比)を行った。有意水準は5%とした。
【結果】全病型をまとめた解析では年齢,病型,離床日,初回座位,1週目評価の全項目で非自立群と自立群に有意差を認めた。ロジスティック回帰分析の結果,影響する要因はBRS(オッズ比4.06;p<0.01),JCS(オッズ比0.44;p<0.01),座位(オッズ比0.02;p<0.01)が選択された。アテローム血栓性では初回座位,1週目評価の全項目において有意差を認め,影響する要因はBRS(オッズ比2.94;p<0.01),JCS(オッズ比0.30;p=0.01),座位(オッズ比0.07;p=0.04)が選択された。心原性では年齢,離床日,初回座位,1週目評価のBRS,JCS,座位に有意差を認め,影響する要因はJCS(オッズ比0.32;p=0.02)が選択された。ラクナでは初回座位,1週目評価のBRS,JCS,座位に有意差を認め,影響する要因はBRS(オッズ比32.24;p<0.01)が選択された。
【結論】全病型の結果と同様にアテローム血栓性では,影響する要因としてBRS,JCS,座位が選択された。中でも座位の影響は大きい。座位は体幹機能の指標となるが,その自立度にはBRSのように随意性のみではなく,意識状態や筋緊張なども影響する。その為,麻痺の重症度だけではなくそれらも考慮しながら歩行自立度を予測する必要がある。一方,心原性ではJCS,ラクナはBRSが選択された。心原性は梗塞巣が広範であり,他の病型と比較して意識障害が重度である。ラクナは対称的に梗塞巣が限局し意識障害が軽度であり,麻痺の重症度で歩行自立度を予測できると考える。以上より,病型ごとに移動能力の予後を検討する必要性が示唆された。
【方法】対象は平成26年4月から平成28年3月に当院に入院した脳梗塞患者287例とした。入院期間は中央値21(14-36)日であり,発症前のmodified Rankin Scaleが2以上の者,テント下病変を除外した。入院から3週後の移動が車椅子または介助・見守り歩行を非自立群,歩行自立を自立群とし,以下の項目を比較検討した。項目は,基本情報として性別,年齢,病巣側,病型,理学療法開始日,理学療法時の端座位初回日(離床日),端座位初回日の座位自立度(初回座位),1週目評価として下肢のBrunnstrom Recovery Stage(BRS),Japan Coma Scale(JCS),表在感覚,深部感覚,端座位自立度(座位)とした。統計学的解析として,各群(非自立群,自立群)にて各項目を比較した。基本情報の性別,病巣側,病型はχ二乗独立性検定,その他の項目はMann-Whitneyの検定を行った。有意差が認められた項目について,ロジスティック回帰分析(変数増加法,尤度比)を行った。有意水準は5%とした。
【結果】全病型をまとめた解析では年齢,病型,離床日,初回座位,1週目評価の全項目で非自立群と自立群に有意差を認めた。ロジスティック回帰分析の結果,影響する要因はBRS(オッズ比4.06;p<0.01),JCS(オッズ比0.44;p<0.01),座位(オッズ比0.02;p<0.01)が選択された。アテローム血栓性では初回座位,1週目評価の全項目において有意差を認め,影響する要因はBRS(オッズ比2.94;p<0.01),JCS(オッズ比0.30;p=0.01),座位(オッズ比0.07;p=0.04)が選択された。心原性では年齢,離床日,初回座位,1週目評価のBRS,JCS,座位に有意差を認め,影響する要因はJCS(オッズ比0.32;p=0.02)が選択された。ラクナでは初回座位,1週目評価のBRS,JCS,座位に有意差を認め,影響する要因はBRS(オッズ比32.24;p<0.01)が選択された。
【結論】全病型の結果と同様にアテローム血栓性では,影響する要因としてBRS,JCS,座位が選択された。中でも座位の影響は大きい。座位は体幹機能の指標となるが,その自立度にはBRSのように随意性のみではなく,意識状態や筋緊張なども影響する。その為,麻痺の重症度だけではなくそれらも考慮しながら歩行自立度を予測する必要がある。一方,心原性ではJCS,ラクナはBRSが選択された。心原性は梗塞巣が広範であり,他の病型と比較して意識障害が重度である。ラクナは対称的に梗塞巣が限局し意識障害が軽度であり,麻痺の重症度で歩行自立度を予測できると考える。以上より,病型ごとに移動能力の予後を検討する必要性が示唆された。