The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本呼吸理学療法学会 » 口述発表

[O-RS-01] 口述演題(呼吸)01

Sat. May 13, 2017 2:10 PM - 3:10 PM A6会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室303)

座長:玉木 彰(兵庫医療大学大学院医療科学研究科), 座長:堀江 淳(京都橘大学健康科学部)

日本呼吸理学療法学会

[O-RS-01-6] COPD患者に対する低頻度外来呼吸リハビリテーションの有効性

秋山 歩夢1, 辻村 康彦1, 平松 哲夫1, 三川 浩太郎1,2 (1.平松内科・呼吸器内科小牧ぜんそく睡眠リハビリクリニック, 2.中部学院大学看護リハビリテーション学部)

Keywords:COPD, 外来呼吸リハビリテーション, 在宅運動指導

【はじめに,目的】

COPDは国内外で今後死亡率の上昇が見込まれる慢性呼吸器疾患である。疾患治療において重要なことは早期発見・介入であり,その際,呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)が果たす役割は大きいと思われる。しかし,現在COPD患者の多くは薬物療法が治療の中心となっており,呼吸リハが実施されている症例は少ない。臨床上の理由として,クリニックにおける外来呼吸リハの実施機関が少ないことや,呼吸リハ効果を得るために必要な週2回以上の来院が困難で,低頻度の介入効果が不確定であることが考えられる。当院では月1または2回の低頻度しか介入できない症例に対しても在宅運動指導を中心とした介入で健康管理や増悪予防に努めてきたので,今回その有効性を報告する。

【方法】

対象は当院にて月1または2回の外来通院による呼吸リハを6か月以上継続できたCOPD患者35名(平均年齢:72±7.3歳,男性:33名,女性:2名,%VC:95.6±23.3%,%FEV1.0:68.5±30.5%,GOLD重症度分類I/II/III/IV:10/11/10/4)。呼吸リハは呼吸練習,筋力トレーニング,持久力トレーニング,歩数計を用いた在宅運動指導を積極的に実施した。評価項目は,息切れ問診票,6分間歩行距離(6MWD),COPD Assessment Test(CAT),身体活動量とした。身体活動量はスズケン社製ライフコーダを用いて14日間連続装着し,平均歩数を測定した。検討内容は各評価項目の呼吸リハ開始前と開始後6か月後データを比較し,wilcoxon符号付順位和検定を用いて分析した。検定における統計学的有意差はp<0.05とした。

【結果】

息切れ問診票:10.3±6.4→6.9±4.1点(p<0.01),6MWD:474.2±78.5→506.4±79.5m(p<0.01),CAT:8.2±3.7→5.4±2.4点(p<0.01),身体活動量:4687±2817→5720±3104歩(p<0.05)。全ての評価項目において有意な改善を認め,さらに6MWDとCATにおいてはそれぞれのMCIDを上回る改善を認めた。

【結論】

低頻度の介入によって幅広い重症度の症例に対して運動耐容能やHRQOL,身体活動量の改善が認められ,その有効性が認められた。主な理由としては,歩数計および歩数記録帳を活用した在宅運動指導を積極的に行ったことが考えられる。さらには軽症から中等症の病期の早い段階の症例にも有効であったことから,早期から呼吸リハが介入することで疾患進行による経年低下や急性増悪の予防に何らかの影響を与えることができる可能性も考えられた。結論として,本研究よりCOPD治療においては月1または2回の低頻度の介入であっても,できる限り外来にて呼吸リハ介入すべきと考える。今後の課題として,症例数を増やし,疾患進行と低頻度外来呼吸リハとの関連性を継続して検討する必要がある。