The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本支援工学理学療法学会 » 口述発表

[O-SK-02] 口述演題(支援工学)02

Sat. May 13, 2017 10:50 AM - 11:50 AM B4会場 (東京ベイ幕張ホール No. 8・9)

座長:杉原 俊一(札幌秀友会病院リハビリテーション科)

日本支援工学理学療法学会

[O-SK-02-5] HALを用いた介入効果について
システマティックレビューによる検討

宮崎 学1,2, 長谷川 真人2 (1.帝京平成大学健康メディカル学部, 2.東京大学医学部附属病院リハビリテーション部)

Keywords:Hybrid Assistive Limb, システマティックレビュー, 理学療法

【はじめに】

Hybrid Assistive Limb(以下,HAL)は身体装着型の動作支援ロボットであり,理学療法分野での臨床応用が進んでいる。これまでに脳卒中や脊髄損傷をはじめとして多くの疾患への適用が試みられており,有効性の報告を散見する。しかし,これらの報告は症例報告や対象なし研究が殆どであり,通常の理学療法との差異を明らかにするための対象群を設けた報告は少ない。また,先行研究としてHALに関するシステマティックレビュー(以下,SR)が英文で発表されているが,それには日本語論文は含まれていない。

そこで,今回は日本語論文でのHALの介入効果を検討するために,HALを用いた介入効果に関する研究について日本語でのSRの作成を目的とした。

【方法】

このSRはPRISMA statementに沿い,臨床疑問はPICOS(participant,intervention,comparator,outcome and study design)フォーマットを基に形成した。対象は健常者を除外した病態を有する患者とし,罹患期間は問わなかった。また,介入はHALを用いた理学療法とした。対象介入はその種類を問わなかった。評価尺度は機能障害とした。研究デザインは無作為化比較試験(randomized controlled trial,以下RCT)および比較臨床試験(controlled clinical trial,以下CCT)とした。対象言語は日本語とし,査読制度のある学術雑誌の原著論文を対象とした。

データベースは医中誌Web(Ver.5),CiNii,メディカルオンラインの3つを用いた。さらに,Google Scholarによる検索を補完的に行った。検索式は「ロボット and HAL」または「ロボット and Hybrid assistive limb」とした。検索期間は,データベースにより最も古い日付から2016年8月31日までとした。

系統的検索から得られた論文のうち重複するものを除外し,タイトルと抄録のスクリーニングから関連のない論文を除外し,残った論文の本文を評価することで論文を選択した。

【結果】

最初の検索で135の論文が同定された。31編の論文が重複していたため除外し,101編の論文のスクリーニングを行った。予め設定した研究選択の適格基準に合致した論文は1編であった。疾患は急性期脳卒中,介入内容は通常の理学療法に週2回,平均16.6±2.9回のHALを用いた理学療法であった。対象介入は通常の理学療法であった。主な評価指標は歩行速度,バランス,ADL能力であった。しかし,研究デザインはCCTであり,RCTの論文はなかった。

【結論】

今回のSRでは,条件に合う報告が1本のみであり,今後の報告に注目していく必要がある。今後は英語データベースと統合したSRを行い,HALの介入による有用性や結果を実証していく必要があると考えられる。