第52回日本理学療法学術大会

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日本地域理学療法学会 » 口述発表

[O-TK-02] 口述演題(地域)02

2017年5月12日(金) 12:50 〜 13:50 A4会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室301)

座長:野尻 晋一(介護老人保健施設清雅苑リハビリテーション部)

日本地域理学療法学会

[O-TK-02-5] 介護予防事業で使用可能な参加の指標の開発に向けて
ICFに準拠した参加のコードの精選

浅川 育世1, 佐野 岳2, 小貫 葉子2, 前沢 孝之2, 齋藤 由香3, 内田 智子2 (1.茨城県立医療大学, 2.茨城県立医療大学付属病院, 3.茨城県立健康プラザ)

キーワード:参加, 国際生活機能分類, デルファイ法

【はじめに,目的】市町村が行う介護予防事業において,リハ専門職に対する期待が高まる一方,活動や参加に焦点をあててこなかったことに対し苦言が呈されている。活動と参加はICFでは心身機能・身体構造と共に生活機能の要素であり,特に参加は家庭や社会生活で役割を果たすこととされ,QOLの維持向上に重要な要素である。しかし,参加の概念は個人の価値観や文化的背景により異なり複雑であり,また参加を評価する指標も乏しい。そこで,介護予防事業において,リハ専門職および事業の対象者自らが参加を評価できる尺度をICFに準拠し開発することを目的とし,基礎調査を実施した。【方法】重要度の高い項目を精選するため,3回の調査で構成されるデルファイ法を用いた。対象は茨城県リハ専門職協会に市町村担当者として登録されるPT(42名),OT(40名),ST(24名),計106名。質問項目はICFの第6章から第9章の第3レベルのコードを採用した。その際,第2レベルの分類で終了し,それ以上細分類されていないコードは第2レベルのコードを採用し,下1桁の数値が8,9のコードを除外し最終的に83コードを質問項目とした。初回調査は,①介護予防事業において対象者の参加を継続的に評価することを目的とし,②ICFに準拠し,③リハ専門職種および介護予防事業の対象者自身がチャート式評価用紙にて簡便に評価できるものという3つの基準を設け,各項目に0;不必要から4;必要の5段階のリッカートスケールで回答を得る調査用紙を作成し,調査を実施した。第二次調査では,初回調査に有効な回答を得られた回答者に対し,初回調査と同様の内容で実施した。その際,参考値として,初回調査の回答で3;やや必要,4;必要と答えた者の割合を全体,PT,OT,ST別に,また不必要から必要をそれぞれ0点から4点に得点化した際の平均点及び標準偏差を示し,初回調査の結果を踏まえ回答を求めた。第三次調査では第二次調査に有効な回答を得られた回答者に対し,初回調査・第二次調査と同様の内容・方法で実施した(3回ともに郵送による自記式調査)。最終的に3;やや必要,4;必要と答えた者の割合が80%を超え,四分位範囲(IQR)が1以下,IQR%の値が80%以上のコードについて同意を得たとした。【結果】初回調査の回答者数は79名(74.5%),第二次調査は72名(91.1%),第三次調査は67名(93.1%)。3回の調査を経て,第6章からは10/26コード(採択率38.5%),第7章16/27コード(59.2%),第8章2/17コード(11.8%),第9章6/13コード(同6.2%)が同意を得たコードであった。【結論】第7章の対人関係や第9章のコミュニティライフ・社会生活・市民生活などは同意を得たコード数の割合が比較的高く,QOLの維持向上にも有用な項目である。教育や仕事などを含む第8章の主要な生活領域は同意を得たコード数の割合が低く,介護予防事業の対象者の年齢層に合ったコードの精選ができたものと思われる。