The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » 口述発表

[O-TK-05] 口述演題(地域)05

Sat. May 13, 2017 4:50 PM - 5:50 PM A4会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室301)

座長:金谷 さとみ(菅間記念病院リハビリテーション科)

日本地域理学療法学会

[O-TK-05-5] リハビリテーションに特化したデイケアを利用した脳卒中者における利用終了理由の検討

松永 玄1,2, 山口 智史3,4, 宮本 沙希1, 鈴木 研1, 近藤 国嗣1, 大高 洋平1,3 (1.東京湾岸リハビリテーション病院, 2.桜美林大学大学院老年学研究科老年学専攻, 3.慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室, 4.日本学術振興会海外特別研究員(コペンハーゲン大学))

Keywords:通所リハビリテーション, 後方視的研究, 利用者動向

【はじめに,目的】

近年,通所リハビリテーション(デイケア)は,心身機能,活動,参加にバランスよく働きかけることによって,社会参加を維持できるサービス等に移行する取り組みが推進されている(石川,2016)。当デイケアは,リハビリテーションに特化したデイケア(リハ特化型デイケア)として,身体機能や歩行能力の改善,生活機能の向上を目的としたリハビリテーションを積極的に提供している。その結果,脳卒中者において,身体機能や歩行能力が長期に改善することを報告した(松永ら,2016)。しかし,改善の一方で,当リハ特化型デイケア利用者の利用終了理由を検討することは,今後のリハ特化型デイケアを考える上で重要と考える。本研究では,当リハ特化型デイケアを終了した脳卒中者について後方視的に調査し,利用期間による違いから,終了理由を検討した。

【方法】

対象は,2007年5月から2016年4月の間に当デイケアを利用した725名のうち,利用を終了した脳卒中者114名(女性32名),利用開始時の年齢70±10歳(平均値±標準偏差)とした。選択基準は主疾患が脳卒中とした。

調査項目は,デイケアの終了理由と利用期間(年)とした。データ解析は,全対象者の終了理由を,通所リハビリテーションの適切な実施に関する調査報告書(平成27年度厚労省)を参考にカテゴリーに分類した。また,デイケアの利用期間を1年毎(1年未満,1年以上2年未満,2年以上3年未満,3年以上4年未満,4年以上5年未満,5年以上)に分類し,終了理由をカテゴリー別に分類した。

【結果】

全対象者の終了理由は,身体機能・動作能力・社会参加の改善(改善)が21%,死亡が14%,施設等への入所(入所)が13%,本人の拒否(拒否)が13%,医療機関への入院(入院)が8%,その他が31%であった。その他の理由として,送迎が困難,介護サービスの変更が挙げられた。

利用期間別では,1年未満が32名,1年以上2年未満が27名,2年以上3年未満が16名,3年以上4年未満が13名,4年以上5年未満が11名,5年以上が15名であった。終了理由を改善,死亡,入所,拒否,入院,その他の順に割合(%)で示す。1年未満では16,9,6,22,6,31であった。1年以上2年未満では11,19,11,11,4,44であった。2年以上3年未満では31,6,25,6,6,25であった。3年以上4年未満では31,8,31,0,8,23であった。4年以上5年未満では18,18,0,36,9,18,5年以上では33,27,13,0,0,27であった。

【結論】

終了理由として,改善者の割合が多く,リハ特化型デイケアの重要性を裏付ける結果であった。一方で,利用期間の違いにより終了理由の傾向が異なっており,リハ特化型デイケアがどのように提供されていくべきか,さらなる検討が必要である。