[O-TK-07-3] リハビリ強化型入所における理学療法介入の効果検討
加速度計を用いた歩行の質的評価
Keywords:生活期, 集中的リハビリ, 加速度計
【はじめに,目的】
介護保険を利用している在宅生活者は,在宅生活の中で定型的パターンの構築化や廃用性の機能低下を生じ,ADL介助量が増大することで,介護者の介助量負担や精神的ストレスの増大を招き,在宅生活が困難となる方を多く見受けられる。当施設では在宅生活をしている方を対象に再び在宅で活動的な生活を送れるよう支援する為に,リハビリ強化型入所による個別リハビリ(週6日,1日3単位(内2単位は無請求))(以下,集中的リハビリ)を実施している。これまでに生活期での集中的リハの効果についての報告は散見されるが,10m歩行やTUG等の量的評価がほとんどであり,歩容の変化や定常性等の質的側面の評価は行われていない。本研究の目的は,生活期での集中的リハビリの理学療法効果を加速度計を使用して歩行の質的側面の評価から検討することである。
【方法】
対象は当施設にリハビリ強化型入所(36.7±2.08日)された脳卒中後遺症者2名(BRSV1名(以下A),BRSIII1名(以下B)),整形疾患者1名(以下C)の計3名(77.7±10.0歳)であり,歩行が見守りレベルとし,高次脳機能障がい・認知機能低下の既往を有する者を除いた。測定は慣性センサ(TSND121 ATR-Promotions社製)を第3腰椎部に伸縮性バンドで固定し,至適速度で10m歩行を行い加速度データを計測する。加速度データは50Hzでリサンプリングを行い,フィルタ処理後に中央5歩行周期分を解析に用い,定常性を表す指標として自己相関係数(Autocorrelation Coefficient:ACC)を算出した。統計解析はR2.8.1を使用し,入所時と退所時の比較をSpearmanの順位相関係数を用い,優位水準は5%とした。
【結果】
以下に(入所時→退所時)で示す。A(VT:0.29→0.66,ML:0.5→0.63,AP:0.3→0.83,各p<0.01),B(VT:0.35→0.29,ML:0.22→0.45,AP:0.83→0.86,各p<0.01),C(VT:0.56→0.78,ML:0.64→0.73,AP:0.66→0.83,各p<0.01)であり,入所時よりも退所時の方がBのVTを除いて優位にACCが高値を示す結果となった。随意性が保たれている者または整形疾患者では,随意性が低下している者に比べて特にVT・APではACCが高値を示した。
【結論】
本研究の結果,生活期の要介護認定者において,集中的リハビリを行うことで質的側面からも身体機能が向上する可能性が示唆された。脳卒中後遺症者の比較では,随意性の他に装具装着の有無・歩行補助具の差異・痙性による拘縮・筋緊張等の因子が関与することが考えられる。その為,今後の課題として,症例数の増加や疾患毎の傾向,普通入所・通所利用者との比較を行うことで,集中的リハビリの効果検討を行う必要があると考える。
本研究は,生活期における要介護認定者に対して集中的リハビリを行うことによる理学療法の介入効果を質的側面から示した点で,生活期でも理学療法介入することのエビデンスとなるデータを提示する上で貢献しうるものである。
介護保険を利用している在宅生活者は,在宅生活の中で定型的パターンの構築化や廃用性の機能低下を生じ,ADL介助量が増大することで,介護者の介助量負担や精神的ストレスの増大を招き,在宅生活が困難となる方を多く見受けられる。当施設では在宅生活をしている方を対象に再び在宅で活動的な生活を送れるよう支援する為に,リハビリ強化型入所による個別リハビリ(週6日,1日3単位(内2単位は無請求))(以下,集中的リハビリ)を実施している。これまでに生活期での集中的リハの効果についての報告は散見されるが,10m歩行やTUG等の量的評価がほとんどであり,歩容の変化や定常性等の質的側面の評価は行われていない。本研究の目的は,生活期での集中的リハビリの理学療法効果を加速度計を使用して歩行の質的側面の評価から検討することである。
【方法】
対象は当施設にリハビリ強化型入所(36.7±2.08日)された脳卒中後遺症者2名(BRSV1名(以下A),BRSIII1名(以下B)),整形疾患者1名(以下C)の計3名(77.7±10.0歳)であり,歩行が見守りレベルとし,高次脳機能障がい・認知機能低下の既往を有する者を除いた。測定は慣性センサ(TSND121 ATR-Promotions社製)を第3腰椎部に伸縮性バンドで固定し,至適速度で10m歩行を行い加速度データを計測する。加速度データは50Hzでリサンプリングを行い,フィルタ処理後に中央5歩行周期分を解析に用い,定常性を表す指標として自己相関係数(Autocorrelation Coefficient:ACC)を算出した。統計解析はR2.8.1を使用し,入所時と退所時の比較をSpearmanの順位相関係数を用い,優位水準は5%とした。
【結果】
以下に(入所時→退所時)で示す。A(VT:0.29→0.66,ML:0.5→0.63,AP:0.3→0.83,各p<0.01),B(VT:0.35→0.29,ML:0.22→0.45,AP:0.83→0.86,各p<0.01),C(VT:0.56→0.78,ML:0.64→0.73,AP:0.66→0.83,各p<0.01)であり,入所時よりも退所時の方がBのVTを除いて優位にACCが高値を示す結果となった。随意性が保たれている者または整形疾患者では,随意性が低下している者に比べて特にVT・APではACCが高値を示した。
【結論】
本研究の結果,生活期の要介護認定者において,集中的リハビリを行うことで質的側面からも身体機能が向上する可能性が示唆された。脳卒中後遺症者の比較では,随意性の他に装具装着の有無・歩行補助具の差異・痙性による拘縮・筋緊張等の因子が関与することが考えられる。その為,今後の課題として,症例数の増加や疾患毎の傾向,普通入所・通所利用者との比較を行うことで,集中的リハビリの効果検討を行う必要があると考える。
本研究は,生活期における要介護認定者に対して集中的リハビリを行うことによる理学療法の介入効果を質的側面から示した点で,生活期でも理学療法介入することのエビデンスとなるデータを提示する上で貢献しうるものである。