The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

Presentation information

日本地域理学療法学会 » 口述発表

[O-TK-07] 口述演題(地域)07

Sun. May 14, 2017 9:00 AM - 10:00 AM A3会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室201)

座長:藤井 智(横浜市総合リハビリテーションセンター理学作業療法課)

日本地域理学療法学会

[O-TK-07-6] 医療再編に伴い新生した当院の現状と,地域性を踏まえた今後の取り組み

中島 亮, 桑原 勇, 佐藤 純, 佐藤 由梨, 田中 優子, 清水 直之, 五十嵐 美紀, 高山 竜輔, 清水 小雪, 中林 百合恵, 今井 知恵美, 小川 菜々子 (一般財団法人魚沼医療公社魚沼市立小出病院)

Keywords:医療再編, 地域連携, 高齢化社会

【はじめに,目的】

魚沼医療圏は3市2町からなり,県内7医療圏域最大の面積を誇る。魚沼医療圏の問題点として医師不足を含めた医療資源不足や医療の拠点となる病院がなく,高度医療が提供できないこと。また,山間地帯の中に分散した集落が多く散在しているため救命救急センターへの搬送に時間がかかる,などが挙げられる。こうした問題を解決するために,2015年6月,圏域の拠点医療を担う「基幹病院」と,住民に身近な医療を担う「周辺病院」に再編し,他の地域医療機関を含めた機能分化とネットワーク化を進めることにより,前述した問題を解決する目的で医療再編は行なわれた。当院は魚沼市に位置し,元々,県立小出病院として地域の中核的な役割を担っていたが,医療再編に伴い,地域住民のためのプライマリケア病院機能を担うため,新たに魚沼市立小出病院として新生した。開院して1年経過した当院リハビリテーション科(以下リハ科)の現状と地域の特性を踏まえた今後の課題について報告する。

【方法】

平成27年6月1日から平成28年5月31日の間に当院に入院し,リハビリテーション科で実施した409件(平均年齢82±10歳)を対象とし,当院での疾患別内訳,平均在院日数,在宅復帰率などを後方視的に調査した。

【結果】

疾患別内訳は運動器疾患138件,脳血管疾患65件,呼吸器疾患114件,廃用症候群92件。平均在院日数は35.8日。在宅復帰率は85.6%となった。

【結論】

当院の位置する魚沼市は介護保険施設の入所可能数が人口1万人に対して76.5人,南魚沼市・湯沢町地区は127.9人,十日町市・津南町地区は170.5人と同医療圏内の他地域と比較して特に低い。また,人口1万人に対する療養病床数も10.6人と少ない。この点を踏まえると当院は開院1年で在宅復帰率は85.6%という結果を得たが,介護ベッド数不足という問題点を踏まえた結果とも言える。本市は医療資源不足に加え,高齢化率は33%を超え,単身高齢者や高齢者夫婦のみの世帯も増加してきている。こうした状況の中,家族だけで日常生活を支えるには限界があり,地域や社会全体で支えるシステムの構築が必須である。当院リハ科の取り組みとしては入院患者に対して退院カンファレンス・退院前訪問を積極的に実施し,在宅ケアスタッフとの情報共有の充実化。また,当院主催の在宅ケアスタッフとの意見交換を目的とした病院連絡会の開催や地域ケア会議などへ積極的に参加することで地域住民・在宅ケアスタッフとのさらなる連携・協働を推進していきたい。