The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

Presentation information

日本糖尿病理学療法学会 » ポスター発表

[P-DM-02] ポスター(糖尿病)P02

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本糖尿病理学療法学会

[P-DM-02-4] 2型糖尿病患者の12か月間にわたる運動セルフエフィカシーの動向について

鷲田 恵, 松井 伸公, 正司 守生, 寺田 茂 (金沢赤十字病院)

Keywords:2型糖尿病, 運動セルフエフィカシー, BMI

【はじめに,目的】

糖尿病の療養指導において認知行動療法を用いた手法は,有効なアプローチとして知られている。その1つであるセルフエフィカシー(SE)は,療養行動の実行に対する見込み感・自信を表す。特に運動に関するSE(以下運動SE)は,その活用によって運動における療養行動を変容させ,更にはその継続の予測因子となりえるとされている。そのため,医療者側が患者の運動意欲や運動の中断リスクをとらえるためのツールとして有用な指標の1つといえる。SE総得点の経時的変化に関しては,療養指導介入後6か月以内までは保たれやすく,以後は減少しやすいといわれている。しかし,運動SEに関しては,経時的変化及びそれに伴う個人的特徴を明らかにしている先行研究は少ない。運動SEの経時的変化及びそれに伴う個人的特徴が明らかになれば,運動中断を未然に防ぐための適切な介入方法を検討するための一助になると考える。今回我々は2型糖尿病教育入院患者を対象に運動指導介入後12か月間における運動SEの動向を調査し,運動SEが低下しやすい患者の介入時点での特徴を抽出することを目的とした。

【方法】

対象は,2015年3月から2016年7月の間に当院へ教育及び血糖コントロール目的で入院した日常生活動作が自立している2型糖尿病患者のうち,12か月間継続して調査できた13名(年齢65±8.4,男性7名,女性6名)とした。また運動実施に影響を及ぼす運動器疾患や中枢神経疾患を有する者はいなかった。運動SEは退院時,退院から3か月と6か月及び12か月の各時点で岡らのスケールを用いて評価した。加えて病歴や行動変容ステージ,Body Mass Index(BMI),HbA1c,合併症の有無,薬物療法の内容,教育入院歴,同居家族の有無,及び就業の有無に関して調査し,各時点で得られた運動SEの総得点と各項目との関係を検討した。有意水準は5%以下とした。

【結果】

各時点の運動SE総得点の平均は退院時16.6±2.5点,退院後3か月16.4±3.3点,6か月17±2.4点,12か月16.4±3.1点であった。6か月及び12か月時点の運動SE総得点とBMIの間に負の相関関係が認められた。

【結論】

先行研究より肥満者は,減量や療養行動に対しSEが低下していることが多いと報告されている。今回,運動SEも同様にBMIが運動SEの動向に影響を及ぼす可能性が示された。また運動指導介入後6か月以降でBMIと負の相関関係がみられたことは,肥満者に対する運動指導の介入は非肥満者とは異なった介入方法をする必要があると考えられる。今後は,肥満者と非肥満者の運動SEの経時的変化や特徴を明らかにし,介入時期や介入方法の検討を進めていく必要があると考える。