第52回日本理学療法学術大会

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日本糖尿病理学療法学会 » ポスター発表

[P-DM-04] ポスター(糖尿病)P04

2017年5月13日(土) 12:50 〜 13:50 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本糖尿病理学療法学会

[P-DM-04-1] 超音波画像を用いた母趾中足骨頭下の動態観察
内側種子骨下の軟部組織層の測定に関する信頼性の検討

瀧原 純, 伊野 智美, 蛯原 文吾, 村野 勇, 橋本 貴幸 (茨城県厚生農業協同組合総合病院土浦協同病院リハビリテーション部)

キーワード:超音波画像診断装置, 種子骨, 信頼性

【はじめに,目的】母趾中足骨頭下にある種子骨と皮膚との間には脂肪層を含む軟部組織層があり,荷重時に柔軟に変化する機能が重要となる。この柔軟性に異常を生じると,荷重分散機構に問題が生じ,足病変を助長すると考えられる。我々は,超音波画像診断装置(以下エコー)のプローブを内側種子骨(medial sesamoid:以下MS)上の皮膚に軽く当てた時とMSに押し付けた時の皮膚からMS間の動態を観察し,これらの差や変動率から柔軟性異常を捉えようとしている。そこで今回,母趾中足骨頭下における軟部組織層の柔軟性異常に関する病態評価の基礎研究として,超音波検査を用い皮膚からMS間距離の測定方法の信頼性を検討した。


【方法】対象は,整形外科的既往の無い健常成人18名36肢(男女9名ずつ)とした。年齢の平均±標準偏差は25.4±5.9歳,BMIの平均±標準偏差は20.3±1.6であった。測定は超音波検査(Super Sonic Imagine社の汎用エコーAixplorer)でリニア型プローブ(15-4MHz)を用い,Bモードの長軸像を描出した。測定肢位は,背臥位で,足関節背屈0°にて母趾中足趾節関節伸展10°を他動的に保持した。測定部位は,母趾中足骨頭下のMSで,皮膚からの最短部を指標とした。測定部位を定めた後,皮膚とプローブの間の層が5mm程度になるようにジェルを塗り,プローブを皮膚面に垂直に軽く当て,非圧迫時の軟部組織層の静止画像を描出した。この際,軟部組織の形状がプローブの圧迫により変化しないように配慮した。その後,MSにプローブを押し付け,圧迫時の軟部組織層の静止画像を描出した。この際,軟部組織層の形状が変化しないところまで押しつけた。皮膚からMS間距離(単位mm)の測定は静止画像の保存後に行った。これを3回繰り返し,平均値を代表値とし,統計解析を行った。検者内信頼性では1回目のテストから1日以上の間隔を設け,同時刻で再テストを実施した。検者間信頼性では検者Aと同日同条件にて測定し,検者Bの1回目の数値を用いた。統計解析は,R2.8.1の「改変Rコマンダー」パッケージを用いて,級内相関係数(以下,ICC)の検者内信頼性をICC(1,1),検者間信頼性をICC(2,1)で算出し,桑原の評価指標にて判定した。


【結果】本測定方法のICCは非圧迫時の検者内が0.93,検者間が0.94であり,圧迫時の検者内が0.91,検者間が0.90であった。

【結論】桑原のICCの判断指標から本測定方法はいずれにおいても信頼性が高いといえる。本測定方法に高い信頼性が示された理由は,測定肢位やプローブの位置をあらかじめ定めたこと,皮膚からMS間距離が最短となる部分を指標としたこと,測定部位の軟部組織への配慮を行ったことが考えられる。今後,皮膚からMS間距離に関与する要因を明らかにすることが課題である。