[P-DM-04-3] 前足部足底負荷量の軽減を目的とした歩容修正方法に関する検討
Keywords:足底圧, 歩容, 足病変
【はじめに,目的】
歩行中に足底にかかる力学的負荷の集中は糖尿病足病変形成原因となることが報告されている。足底板や靴型装具の使用により効果的に力学的負荷の集中を解除できることが知られている一方で,着用率が低いと良好なアウトカムが得られないことも指摘されている。
歩行中にかかる足底圧が立脚終期に前足部で高くなることに注目した先行研究では,歩容の変化が足底圧軽減に寄与することが示されているが,歩行中の股関節の動きを修正し立脚終期の負荷量を軽減する方法は糖尿病神経障害を有する症例では習得されにくかったことも報告されており,効果的に足底負荷を軽減でき,容易に習得可能な歩容修正方法の探索が課題となっている。
そこで本研究では,前足部にかかる負荷量を軽減するための歩容修正方法について若年者および高齢者を対象に検討を行った。
【方法】
対象は若年者40名(男性21名,女性19名,平均年齢21±1歳)と高齢者39名(男性10名,女性29名,平均年齢72±6歳)とした。
揃え型歩行および歩幅短縮歩行(通常歩行の約2分の1の歩幅)の2条件を設定し,通常歩行時の足底負荷量との比較を行った。
15mの直線歩行路を設定し,加速・減速区間を除いた10m区間の歩数・歩行時間・測定圧を記録した。歩行中の足底圧は,靴型足圧測定器を用いて,前足部(内側・外側)と後足部(内側・外側)の4領域の圧を同時に検出した。サンプリング周波数は50Hzとし,歩行中の足底圧を連続的に記録した。測定値はパソコンに転送し,検出された圧波形から各領域の最大圧を求め,体重で正規化(MP/W)した。測定器の着用および測定値の記録は同一検者が行った。
MP/Wの比較は正規性の検定を行った後,条件間で平均値の差の検定を行った。統計解析はPASW statistics17.0(IBM社製)を使用して行い,有意水準は5%とした。
【結果】
前足部内側領域のMP/Wは,揃え型歩行は通常歩行と比較し若年者で73%(0.59→0.16,p<0.01),高齢者で58%(0.64→0.27,p<0.01)軽減した,歩幅短縮歩行は通常歩行と比較し,若年者で37%(0.59→0.37,p<0.01),高齢者で41%(0.64→0.38,p<0.01)軽減した。圧波形にて,揃え型歩行および歩幅短縮歩行では立脚周期の前足部圧の最大値の低下が観察された。
【結論】
揃え型歩行および歩幅短縮歩行を行うことで効率的に前足部内側領域の負荷量を軽減することが確認できた。また,圧波形の観察結果から,負荷量の軽減は,立脚終期に前足部に加わる最大圧が通常歩行時よりも低下することによるものであることが確認できた。先行研究で試行された歩容修正方法は,負荷軽減効果が得られるものの,習得が困難であることが検討課題となっていたが,本研究で設定した2種類の歩容は,高齢者においても容易に実施が可能であり,糖尿病神経障害を有する症例においても実用性があると考えられた。
歩行中に足底にかかる力学的負荷の集中は糖尿病足病変形成原因となることが報告されている。足底板や靴型装具の使用により効果的に力学的負荷の集中を解除できることが知られている一方で,着用率が低いと良好なアウトカムが得られないことも指摘されている。
歩行中にかかる足底圧が立脚終期に前足部で高くなることに注目した先行研究では,歩容の変化が足底圧軽減に寄与することが示されているが,歩行中の股関節の動きを修正し立脚終期の負荷量を軽減する方法は糖尿病神経障害を有する症例では習得されにくかったことも報告されており,効果的に足底負荷を軽減でき,容易に習得可能な歩容修正方法の探索が課題となっている。
そこで本研究では,前足部にかかる負荷量を軽減するための歩容修正方法について若年者および高齢者を対象に検討を行った。
【方法】
対象は若年者40名(男性21名,女性19名,平均年齢21±1歳)と高齢者39名(男性10名,女性29名,平均年齢72±6歳)とした。
揃え型歩行および歩幅短縮歩行(通常歩行の約2分の1の歩幅)の2条件を設定し,通常歩行時の足底負荷量との比較を行った。
15mの直線歩行路を設定し,加速・減速区間を除いた10m区間の歩数・歩行時間・測定圧を記録した。歩行中の足底圧は,靴型足圧測定器を用いて,前足部(内側・外側)と後足部(内側・外側)の4領域の圧を同時に検出した。サンプリング周波数は50Hzとし,歩行中の足底圧を連続的に記録した。測定値はパソコンに転送し,検出された圧波形から各領域の最大圧を求め,体重で正規化(MP/W)した。測定器の着用および測定値の記録は同一検者が行った。
MP/Wの比較は正規性の検定を行った後,条件間で平均値の差の検定を行った。統計解析はPASW statistics17.0(IBM社製)を使用して行い,有意水準は5%とした。
【結果】
前足部内側領域のMP/Wは,揃え型歩行は通常歩行と比較し若年者で73%(0.59→0.16,p<0.01),高齢者で58%(0.64→0.27,p<0.01)軽減した,歩幅短縮歩行は通常歩行と比較し,若年者で37%(0.59→0.37,p<0.01),高齢者で41%(0.64→0.38,p<0.01)軽減した。圧波形にて,揃え型歩行および歩幅短縮歩行では立脚周期の前足部圧の最大値の低下が観察された。
【結論】
揃え型歩行および歩幅短縮歩行を行うことで効率的に前足部内側領域の負荷量を軽減することが確認できた。また,圧波形の観察結果から,負荷量の軽減は,立脚終期に前足部に加わる最大圧が通常歩行時よりも低下することによるものであることが確認できた。先行研究で試行された歩容修正方法は,負荷軽減効果が得られるものの,習得が困難であることが検討課題となっていたが,本研究で設定した2種類の歩容は,高齢者においても容易に実施が可能であり,糖尿病神経障害を有する症例においても実用性があると考えられた。