The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本糖尿病理学療法学会 » ポスター発表

[P-DM-05] ポスター(糖尿病)P05

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本糖尿病理学療法学会

[P-DM-05-3] 高齢2型糖尿病者におけるサルコペニア有病率と血糖コントロールの関連性

舘 友基1,2, 木村 圭佑1, 松本 和隆2, 山本 実香2 (1.医療法人松徳会花の丘病院リハビリテーション科, 2.医療法人松徳会松本クリニック糖尿病内科)

Keywords:2型糖尿病, サルコペニア, 高齢者

【はじめに,目的】

近年,高齢者のサルコペニアが注目されており,高齢糖尿病者においても同様である。骨格筋量の低下は,インスリンによるグルコース処理の低下(インスリン抵抗性)につながり,さらに身体活動量の低下を引き起こすことで糖尿病悪化の一因となることが報告されている。本研究の目的は,高齢2型糖尿病者におけるサルコペニア有病率と血糖コントロールの関連性について明らかにすることである。

【方法】

対象は2016年4月から10月までに当院糖尿病内科を受診した高齢2型糖尿病者45名(男性24名,女性21名,年齢70.7±4.6歳,BMI23.1±3.6kg/m2)とした。四肢骨格筋量は生体電気インピーダンス法(BIA)であるIn Body 770で測定し,骨格筋量を身長の二乗で除したSkeletal Muscle mass Index(SMI)を算出した。サルコペニアの判定は,Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)のアルゴリズムに従い,握力は男性26kg,女性18kg未満かつSMIは男性7.0kg/m2,女性5.7kg/m2未満を満たした者とした。判定の結果,サルコペニア群8名(年齢73.4±6.2歳,男性:女性=5:3,BMI:20.0±2.8kg/m2),非サルコペニア群37名(年齢70.1±4.0歳,男性:女性=19:18,BMI:23.5±3.6kg/m2)に分類した。血糖コントロール指標としてHbA1c,空腹時血糖,HDL-C,LDL-C,中性脂肪,糖尿病罹患期間,運動習慣の有無,インスリン抵抗性改善薬使用の有無を調査した。運動習慣の有無は行動変容段階(TTM)に基づき,準備期までを「運動習慣無し」,実行期以降を「運動習慣有り」とした。統計処理はIBM SPSS Statics22.0を使用し,2群間の各指標の比較にはMann-Whitney検定,カイ二乗検定を用いた。有意水準は5%とした。

【結果】

サルコぺニア有病率は全体で17.8%(男性:20.8%,女性:14.3%)であった。2群間の基本属性において有意差は見られなかった。血糖コントロール指標は,サルコペニア群はHbA1c8.4±1.0%,空腹時血糖163.8±47.4mg/dl,HDL-C55.0±14.8mg/dl,LDL-C94.5±34.2mg/dl,中性脂肪108.3±26.0mg/dl,糖尿病罹患期間16.3±5.3年,運動習慣(有)25%,インスリン抵抗性改善薬使用(有)75%。非サルコペニア群はHbA1c7.3±1.2%,空腹時血糖154.1±53.9 mg/dl,HDL-C58.6±13.0mg/dl,LDL-C115.1±31.3 mg/dl,中性脂肪154.1±53.9 mg/dl,糖尿病罹患期間10.8±8.7年,運動習慣(有)40%,インスリン抵抗性改善薬使用(有)88%であった。2群間における血糖コントロール指標の比較では,HbA1cはサルコペニア群で有意に高い値を示した(p<0.01)。運動習慣の有無,インスリン抵抗性改善薬使用の有無はサルコペニア群で有意に低い値を示した(p<0.01)。

【結論】

当院糖尿病内科を受診した高齢2型糖尿病者におけるサルコぺニア有病率は17.8%であり,サルコペニアの有病は血糖コントロールの悪化と関連していることが示唆された。この結果は,糖尿病悪化抑制のためにもサルコぺニア予防へアプローチを行う重要性を示しており,今後の糖尿病理学療法において非常に有意義であると考える。