[P-ED-08-2] 理学療法の臨床実習における効果的なチーム医療・多職種連携教育の検討
Keywords:臨床実習, 質的研究, 多職種連携教育
【はじめに,目的】
近年,医療系大学・学部における専門職連携教育(以下IPE)の重要性が唱えられ,その実践が広がってきている。一方,臨床実習における教育については,日本理学療法士協会(2007)が,チームアプローチのとり方に関する指導のポイントに言及しているが,実際に理学療法学生(以下PTS)の臨床実習におけるチーム医療や多職種連携についての具体的な経験や学習内容についての報告は少ない。そこで本研究では,臨床実習におけるPTSのチーム医療および多職種連携の経験を質的研究の手法で分析し,理学療法の臨床実習における効果的なIPE実践の一助としたい。
【方法】
対象は臨床実習がすべて終了した2015年度の県立広島大学理学療法学科4年生17名であった。対象者を4~5名1組の4グループに分け,各グループに約80分間のフォーカス・グループ・インタビュー(以下FGI)を実施した。FGIでは半構造化インタビューを行った。FGIにおける質問項目は,①学内でのチーム医療の学習について,②臨床実習における多職種連携やチーム医療についての経験,③将来,理学療法士として多職種連携やチーム医療にどのように関わっていくかについての考え,とした。FGIの内容はICレコーダに録音して逐語録を作成した後,修正版グラウンデッド・セオリーア・プローチを用いて分析した。
【結果】
逐語化されたデータから,65個の概念を生成し,10個のカテゴリーを形成した。形成されたカテゴリーは,<学内のチーム医療演習で感じたこと,学んだこと>,<臨床実習で学んだチーム医療の実際>,<病期/施設/病棟/個人によって異なるチーム医療の特異性と重要性>,<チーム医療にとって大切なもの>,<信頼関係を育むもの(教えてもらったもの)>,<信頼関係を育むもの(学生が自ら学んだもの)>,<チーム医療の学習方法>,<学生という立場での学習の限界>,<卒後のチーム医療実践への意志と困難性>,<チーム医療を現場で教えるには>であった。
【結論】
チーム医療に関わる学内教育と臨床教育には類似点と相違点があり,それぞれに教育の守備範囲が存在することが分かった。特に,インフォーマルな交流や会合は現場に身を置くことで学習可能な項目として挙げられた。これらの多くは言語によって教えられたものではなく,学生自らが現場の状況を体験する「隠れたカリキュラム(hidden curriculum)」によって学習されていた。よって,臨床実習におけるチーム医療の教育には,「認知的徒弟制」や「正統的周辺参加」などの理論に基づくや方法論が重要となる可能性があると考えられた。むろん,実習指導者からの指示や手助け,共同作業,説明なども具体的なチーム医療の学習方法として経験されていたが,実習先によってこれらの経験には大きな差が出る可能性が示唆された。
近年,医療系大学・学部における専門職連携教育(以下IPE)の重要性が唱えられ,その実践が広がってきている。一方,臨床実習における教育については,日本理学療法士協会(2007)が,チームアプローチのとり方に関する指導のポイントに言及しているが,実際に理学療法学生(以下PTS)の臨床実習におけるチーム医療や多職種連携についての具体的な経験や学習内容についての報告は少ない。そこで本研究では,臨床実習におけるPTSのチーム医療および多職種連携の経験を質的研究の手法で分析し,理学療法の臨床実習における効果的なIPE実践の一助としたい。
【方法】
対象は臨床実習がすべて終了した2015年度の県立広島大学理学療法学科4年生17名であった。対象者を4~5名1組の4グループに分け,各グループに約80分間のフォーカス・グループ・インタビュー(以下FGI)を実施した。FGIでは半構造化インタビューを行った。FGIにおける質問項目は,①学内でのチーム医療の学習について,②臨床実習における多職種連携やチーム医療についての経験,③将来,理学療法士として多職種連携やチーム医療にどのように関わっていくかについての考え,とした。FGIの内容はICレコーダに録音して逐語録を作成した後,修正版グラウンデッド・セオリーア・プローチを用いて分析した。
【結果】
逐語化されたデータから,65個の概念を生成し,10個のカテゴリーを形成した。形成されたカテゴリーは,<学内のチーム医療演習で感じたこと,学んだこと>,<臨床実習で学んだチーム医療の実際>,<病期/施設/病棟/個人によって異なるチーム医療の特異性と重要性>,<チーム医療にとって大切なもの>,<信頼関係を育むもの(教えてもらったもの)>,<信頼関係を育むもの(学生が自ら学んだもの)>,<チーム医療の学習方法>,<学生という立場での学習の限界>,<卒後のチーム医療実践への意志と困難性>,<チーム医療を現場で教えるには>であった。
【結論】
チーム医療に関わる学内教育と臨床教育には類似点と相違点があり,それぞれに教育の守備範囲が存在することが分かった。特に,インフォーマルな交流や会合は現場に身を置くことで学習可能な項目として挙げられた。これらの多くは言語によって教えられたものではなく,学生自らが現場の状況を体験する「隠れたカリキュラム(hidden curriculum)」によって学習されていた。よって,臨床実習におけるチーム医療の教育には,「認知的徒弟制」や「正統的周辺参加」などの理論に基づくや方法論が重要となる可能性があると考えられた。むろん,実習指導者からの指示や手助け,共同作業,説明なども具体的なチーム医療の学習方法として経験されていたが,実習先によってこれらの経験には大きな差が出る可能性が示唆された。