The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本理学療法教育学会 » ポスター発表

[P-ED-12] ポスター(教育)P12

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本理学療法教育学会

[P-ED-12-3] 当院における人材育成のためのキャリアパス運用に対する意識調査
―評価者と被評価者の意識の比較―

本田 知久, 高野 稔, 佐藤 聡見, 三瓶 一雄, 舟見 敬成 ((一財)総合南東北病院)

Keywords:人材育成, 面談, 意識調査

【はじめに,目的】

近年,療法士数の急増に伴いその質が問われ,療法士の専門性に加え人間性も重視されている。当院では平成27年より段階を踏んだ長期的人材育成のためのキャリアパス運用を開始した。当院においてキャリアパスの運用とは,専門性スキルの「部署別キャリアパスシート」と全部署を対象とした医療人・社会人スキルとして「共通キャリアパスシート」(社会人基礎力を参考に作成),「目標管理シート」を用い,年2回の自己評価と面談によるフィードバックを実施することとした。本研究は,キャリアパス運用時の評価者と被評価者の意識を比較し,今後の課題を明らかにすることを目的とした。

【方法】

対象は当院で面談を実施した理学療法士44名と作業療法士20名の合計64名で評価者11名と被評価者53名に群を分けた。留置法による無記名自記式質問紙調査を実施。調査時期は平成28年5月。調査内容は面談時の経験年数と意識項目8項目(満足度,ストレス,意欲向上,行動変化,仕事への良い影響,継続,伝達2項目)を7件法で回答し,その他自由記載とした。なお伝達に関する2つの設問は,評価者は「職場期待を伝えたか」「被評価者の思いが分かったか」,被評価者は「職場期待がわかったか」「自分の思いを伝えたか」とした。アンケート回収後,意識項目の肯定的回答割合を求め,2群間の比較を行った。統計学的解析はR2.8.1を使用し,経験年数はマン・ホイットニー検定,意識調査項目はフィッシャーの正確確率検定を行い,有意水準は5%とした。

【結果】

結果を評価者,被評価者の順に示す。回収率(100%,90.6%)。経験年数の中央値(四分位範囲)18(16-21.5),3(2-9)年目で有意差あり(p<0.01)。肯定的回答割合は「満足度」(72.7%,72.9%)。「ストレス」(27.3%,52.1%)。「意欲向上」(54.5%,50%)。「行動変化」(72.7%,50%)。「仕事」(72.7%,47.9%)。「継続」(90.9%,60.4%)。「職場期待」(81.8%,66.7%)。「被評価者の思い」(90.9%,85.4%)。意識項目に有意な差はなかった。自由記載では「振り返りになる」「負担になる」などがあげられた。

【結論】

意識項目はどれも有意な差はなかったが,ストレス以外は概ね評価者の肯定的回答割合が高かった。評価者は複数の被評価者の評価や面談などやるべきことが多くストレスは掛かるが,継続意思は高く組織的な人材育成の必要性を感じている。一方,被評価者は自己の振り返りにはなるが,具体的な行動や仕事に活かすことが少ないと考えられる。河合塾によると人材育成のため社会人基礎力の向上には期待される役割を理解することが重要と言われている。よって本研究でも評価者が思うよりも期待する役割が伝わっていないことが,被評価者は行動や仕事に活かしきれていない一因と推察される。今後はストレス軽減のため仕組みの簡素化や,理解に合わせた期待の伝え方を検討していきたい。