The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本理学療法教育学会 » ポスター発表

[P-ED-13] ポスター(教育)P13

Sat. May 13, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本理学療法教育学会

[P-ED-13-2] 中堅職員の育成を目指して
臨床教育の充実に向けた職場での取り組み

近藤 友加里, 福原 隆志, 吉田 拓也, 田安 義昌, 山内 康子, 小貫 渉 (中通リハビリテーション病院リハビリテーション部)

Keywords:臨床教育, 臨床推論, 評価

【はじめに,目的】

理学療法士の増加に伴い,臨床教育の必要性は年々重要性を増してきている。当院では職場内教育の一環として,理学療法士の臨床推論過程を整理するため,役割分担を定めた小グループの症例検討会を実施しており,一定の成果を得ている。症例検討会は主に司会者,評価者,治療者で構成している。全体の進行を行う司会者は中堅職員が担っており,その役割は重要である。役割分担をしていることで問題点を抽出する思考過程がより明確にされる一方で,問題点の整理が円滑に進まない例も生じており,その原因を探る必要がある。本研究の目的は,臨床推論を円滑に進めるために必要な要素を明確にすることである。

【方法】

司会者,評価者,治療者で構成される症例検討会の役割に加え,各グループから独立した観察者を設けた。観察者は中堅職員(臨床経験10年目前後)とし,症例検討会における各グループの問題点や改善点について客観的に評価を行った。記録は自由記載にて行い,気付いた点を記録し集計した。

【結果】

進行が滞るグループの特徴は,患者の治療目標が不明確であること,評価が曖昧だと治療に繋がらない,適切な場面で司会が流れを調整できていないことであった。一方,進行がスムーズなグループの特徴は,評価の段階で明確に問題点の抽出ができている,評価から治療までの流れを司会者がスムーズに進行できていることであった。

【考察】

今回の結果から,臨床推論を円滑に進めるためには治療目標や評価の目的が明確になっていることが重要であり,司会者はそれに向けてグループ内の理解を促すことが必要と思われた。症例検討会において中堅職員が司会者や観察者の役割を経験することは,全体の流れを把握した上での治療実践を学ぶことに繋がると考えられる。結果的に,中堅職員自らの臨床的な評価・治療能力を高めると同時に,若手職員への指導力の向上も期待できる。職場における症例検討の積極的な導入は,臨床教育を充実させていくために効果的な取り組みと思われた。