[P-ED-15-4] 地域ケア会議における急性期理学療法情報に基づくEPDCAマネジメント
―福岡県古賀市“結ネットいきいき”における情報共有とヒューマンブリッジ―
Keywords:地域ケア会議, EPDCA, 理学療法マネジメント
【はじめに,目的】「21世紀(2025年)日本モデル」の社会保障については,限られた資源を有効活用するとともに,QOLの向上という観点から,様々な生活上の困難があっても,地域の中でその人らしい生活が続けられるよう,それぞれの地域の特性に応じた支え合いの仕組みをハード面,ソフト面におけるまちづくりにチャレンジすべきであるとしている。今回,在宅医療・看護の連携協議会で顔の見える関係を作り,理学療法士が病院内情報の伝達と退院前カンファレンス内容の継続に基づくマネジメントを検討したので報告する。【方法】平成18年地域住民が安心安全に暮らせるように粕屋医師会と当院と行政で“地域医療を考える会”を立ち上げ粕屋在宅医療ネットワークを構築しました。さらに当院と粕屋医師会共催の地域交流学習会で,特に退院前カンファレンスでの報告内容と介護保険の主治医意見書について医療と介護の立場から求める情報の質を検討しました。また当院では平成24年より電子カルテの改造に着手し,本体パッケージの記事記載とは別に,exChart機能を開発し看護基本情報やリハビリ基本情報がリコメンデーションされ,多職種共有画面と専門化向け待ち受け画面により双方向で情報が共有できる“結ネットいきいき”を構築しました。平成28年6月に当院を退院した患者さんの処遇困難事例に対して地域ケア会議出席の要請が求められました。事例紹介;80歳代女性,平成24年12月認知症のため住宅型施設に入所し,攻撃的性格と性的妄想が認められたが身体介護なく暮らされていた(要介護度2)。平成28年5月入所施設内で転倒され,診断名;左大腿骨頚部骨折(左人工骨頭挿入術),急性期理学療法・作業療法にて平行棒内歩行練習に至り(HDSR6点,MMSE11点),退院前カンファレンス実施後家族の意向により術後第20病日で在宅型施設に戻られました。退院同日に膀胱留置カテーテル留置され,見当識障害が強まり車椅子全介助生活となりました。ケアマネージャーより入所施設の方針に基づきリハビリの介入が抑制されたケアプランで区分変更の申請が提出された。【結果】7月地域ケア会議にて,介護保険区分変更によるケアプランが見直され(訪問リハとデイケアの追加),9月末日まで訪問リハビリの介入により膀胱留置カテーテルは抜管され,食堂まで車椅子の自走駆動が可能となり,当院退院時の目標通り介助量の軽減が達成できました。【結論】急性期病院における多数の医療職が24時間常駐し,短期集中での観察に基づく理学療法評価による障害分析と予後予測は精度の高いものであるが,退院直前のプログラムが安全に継続できなければ,限られた資源での在宅生活を積極的にデザインできないことが判明した。EPDCAサイクルを入院セラピストから在宅セラピストと家族へ継続することで地域資源の質が向上できるまちづくりの文化が醸成されるであろう。